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ロタウイルスワクチンの有効性比較(2021年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事や事務作業の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ロタワクチンの有効性のメタ解析.jpg
JAMA Pedatrics誌に、
2021年5月10日ウェブ掲載された、
ロタウイルスワクチンの有効性についてのメタ解析の論文です。

ロタウイルスによる急性胃腸炎は、
5歳未満のお子さんにおいては、
激しい嘔吐下痢のため脱水症などを来し、
特に発展途上国では乳幼児の死亡の原因としても、
大きな比率を占めています。

そのため予防のためのワクチンが開発され、
日本においても漸く昨年から、
定期接種の扱いとなっています。
日本で承認されているワクチンは2種類で、
1価のロタリックスと、5価のロタテックです。
この2種類のワクチンは、
その製法は大きく異なっていますが、
その有効性については、
明確な差はないという理解が一般的です。

この2種のワクチン以外にも、
複数のロタウイルスワクチンが世界で流通していて、
そのうちの2つはインドでもっぱら使用されていて、
中国のみで流通しているワクチンや、
ベトナムのみで流通しているワクチンがあるようです。

今回の検証はこれまでの介入研究や観察研究を、
まとめて解析したメタ解析ですが、
主にロタリックスとロタテックの有効性を比較検証しています。

これまでの20の介入研究と、
38のケースコントロール研究をまとめて解析した結果として、
ロタリックスはロタウイルスによる感染性腸炎の発症リスクを、
68.4%(95%CI:0.224 から0.345)、
ロタウイルス腸炎による入院のリスクを、
65.3%(95%CI:0.279から0.42)、
それぞれ有意に低下させていました。

一方でロタテックはロタウイルスによる感染性腸炎の発症リスクを、
65.0%(95%CI:0.275から0.445)、
ロタウイルス腸炎による入院のリスクを、
72.8%(95%CI:0.197 から0.376)、
こちらもそれぞれ有意に低下させていました。

他の4種類のロタウイルスワクチンについては、
臨床データ自体充分ではありませんが、
現状解析可能なデータの範囲で、
その有効性はロタテックやロタリックスより低いものに留まっていました。

このように、
現状ロタリックスとロタテックは、
臨床的にい同様の有効性があり、
共に重篤な有害事象のリスクは少なく、
どちらを選んでも大きな差はないと、
そう考えて大きな問題はないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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