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極私的新型コロナウイルス感染症情報(2021年5月21日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

今日はクリニック周辺の新型コロナウイルス感染症情報です。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いています。

クリニックで診療をしている感触としては、
今年の1月くらいの方が、
感染者は多かったという印象がありますが、
おそらく患者の主体が若年者に移っていて、
クリニックで診断されるような患者さんの比率は、
逆に減っているのかも知れません。

症状としては、
突然の寒気と関節痛と共に高熱で発症、
というインフルエンザ様の症状の方が多く、
それでいて高熱が持続するという感じではなく、
熱は上がったり下がったりを繰り返すという感じです。
重症の事例ではそこに強い咳込みなどが加わるので、
ほぼ典型的な印象になります。

印象に残ったケースを幾つかご紹介します。
実際の事例を基にしていますが、
守秘義務及び、患者さんの特定を避ける観点から、
実際とは表現を変えている部分のあることをお断りしておきます。

事例の1つ目は家族内感染で、
まずお仕事をされていた30代の男性が発熱で発症し、
同居していた男性の妻、母親、
そして1歳未満のお子さんの3人が、
検査で全員陽性となったケースです。
母親は風邪症状はありましたが軽度で、
男性の妻とお子さんは無症状でした。
昨年くらいまではこうしたケースでは、
1歳未満のお子さんが感染した、
という事例は遭遇したことがありませんでした。
矢張り変異株主体の感染となって、
家族内感染での感染率は、
小さなお子さんを含めて高くなっていることを、
実感した事例でした。

もう1例はデパートに勤務されていた、
接客業の20代女性のケースですが、
急な寒気を伴う高熱で発症し、
勤務先の指示でその日のうちに、
近くのクリニックを受診して、
新型コロナウイルスの抗原検査と、
インフルエンザの抗原検査を同時に施行されています。
結果はいずれも陰性であったため、
翌日は出勤をされているのですが、
熱は下がっていたもののだるさは持続していて、
その翌日再度発熱があったため、
クリニックを受診。
同日のRT-PCR検査で陽性を確認した方です。

まあ、当たり前のことなのですが、
発熱初日に抗原検査をしても、
あまり役には立たず、
むしろ陰性であることで油断を誘い、
感染を拡大してしまうという典型的なケースです。
個人的には今の時期のこの症状で、
インフルエンザの検査は不要だと思います。
まず新型コロナを疑い、
お子さんであればアデノウイルス感染症も否定は出来ない、
という判断でしょうか。

最近は自宅療養で経過を診ている患者さんが、
発熱や咳などの症状が悪化した際に、
入院の可否の検証のために、
胸部レントゲンや採血の依頼が増えています。

宿泊療養は原則平熱が対象なのですね。
熱があると自宅療養か入院しか選択肢はないのですが、
保健所的には軽症で入院という判断をすると、
病院側からクレームが付くので、
その判断の基準となる所見を求められるのです。

ただ、もう感染していることは分かっていて、
全くの初診で、
ガンガン熱が出ていて咳き込みも酷い、
という患者さんを、
通常診療の合間に診るというのは、
結構しんどい仕事ではあります。

有熱者は完全に導線を分けていて、
その点では問題はないのですが、
胸部レントゲンを撮影するレントゲン室は1つしかないので、
他の患者さんがいない時間に、
レントゲンを撮り、
それから部屋を消毒する作業に入ります。

現状他の時間での対応は困難なので、
診療終了直前くらいに来て頂き、
他の患者さんがいなくなってから、
レントゲンを撮影するような段取りで対応しています。

新型コロナウイルスワクチンについては、
僕自身は6月2日に2回目の接種を予定しています。
おそらく6月中には全ての「医療従事者」への接種が終了する、
というような流れになるようです。

クリニックでは品川区と渋谷区の患者さんが多く、
品川区では6月19日から75歳以上の高齢者の、
集団接種受付が開始という遅さです。
クリニックなどでの個別接種は、
どうやら6月から開始となるようです。

現状問題と感じるのは、
1回目と2回目の接種予約の位置づけがまちまちであることです。

僕自身の接種の場合は、
1回目と2回目を完全に3週間後の同じ時間に、
同時に予約するというシステムで、
勿論同じことが行われているのだろうな、
と思っていたのですが、
渋谷区から来た患者さんは、
1回目の予約しか取れない仕組みになっていた、
と話されていて、
2回目をいつどのくらいの間隔で予約して良いのか、
何処にも書いていない、
とこぼされていました。

これはどうも市町村によって対応が異なっているようで、
たとえば世田谷区では、
1回目と2回目の予約を同時に取って下さい、
というように明記されていますが、
2回目は希望通りには取れないこともあります、
というような記載もあって、
取ろうと思っても希望の時間に取れない、
というような事態もあり得るようです。

以前ブログでご紹介したイギリスの論文にあったように、
海外でも1回目と2回目の接種間隔には混乱もあって、
現状はファイザー社のワクチンでは、
3週間での2回目接種が推奨されていると思いますが、
もっと長い間隔(8週間くらい)で接種した方が、
より強い免疫反応が得られるのでは、
という試行錯誤があって、
そうした接種が行われたこともあり、
1回で充分との判断で、
1回のみの接種が広がった時期もあったようです。

ただ、現状の添付文書では3週間という間隔が明記されているので、
そうした対応が取られるべきだと考えますが、
現状は必ずしもそうなっていないようです。

渋谷区の文書を読むと、
1回の予約では1回のみで、
2回予約をして2回目の接種をしろ、
というような文面に読めます。
間隔も3週間以上、
なるべく6週間以内というような記載で、
はなはだ不明瞭であることは間違いがありません。

品川区の場合、
対象者に送られて来た書類を読むと、
1回目の接種の予約をまずして、
その接種を終えてから、
改めて2回目の接種の予約をしろ、
と言う意味のことが書かれています。

酷いよね。

ただ、品川区のサイトを見ると、
1回目の接種会場で、
その3週間後の2回目の予約が取れる、
と言う意味のことが書かれています。

これが本当に会場で予約が取れるという意味なのか、
それとも「この日に自分で予約して下さい」
と言われるだけのことなのか、
幾ら読んでも明確に分かりません。

こんな状況であると、
3週間で2回目の接種を行う人もいれば、
8週間以上のように間隔をあけてしまう人もいて、
1回目の接種だけで終了してしまう人もいることになりますから、
国も市町村ももう少し情報を整理して、
2回の接種が適切に行われるように、
もっと効率的な方法を考える必要があると思います。

そんなこんなで現状はどう転ぶか分からない、
不安定な状況が続く医療現場ですが、
今出来ることを出来る範囲で無理なくこなしつつ、
少しでも収束が早まることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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