SSブログ

新型コロナウイルス感染症の再感染率(米国海兵隊員のコホート研究) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルスの再感染リスク.jpg
Lancet Respiratory Medicine誌に、
2021年4月15日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の再感染率を、
アメリカ海兵隊の新兵を対象としたコホート研究で、
検証した論文です。

これは2021年1月に査読前の論文サーバーに公開された知見で、
その時にも一度記事にしています。
今回ほぼ同じ内容で査読を受け一流誌に掲載となりましたので、
再度ご紹介させて頂きます。

自然感染の場合の、新型コロナウイルス感染症の免疫が、
1年は保たないというのはほぼ間違いのない事実ですが、
それでは一度感染してから数ヶ月以内という短期間で、
どのくらいの再感染が起こるのでしょうか?

今回の疫学研究はアメリカ海兵隊の新兵を対象としたもので、
2週間の隔離により、その時点での感染有無を確認し、
その後6週間の経過観察を行って、
その間の再感染率を検証しています。

対象は3076名の新兵で、
年齢は18から20歳、92%は男性です。
そのうちの189名が新型コロナウイルスの抗体が陽性で、
感染の既往ありと判断されました。
勿論観察開始の段階で複数回のRT-PCR検査を行い、
陰性であることは確認されています。
6週の観察期間中に、
10%に当たる19名がRT-PCR検査で陽性と確認、
つまり、10人に1人は再感染した、
ということになります。
一方で登録時に抗体陰性で未感染の2247名中では、
48%に当たる1079名が感染しています。
要するに集団感染が起こってしまったのです。

ここから、
一度感染して抗体が出来ると、
短期的な感染リスクは、
未感染者の18%(95%CI:0.11から0.28)に減少したと推計されます。

つまり、
感染リスクは既感染により5分の1になりますが、
それでも10%の抗体陽性者が、
6週間という短期間で再感染しているのですから、
集団感染が発症したような場合には、
再感染も稀ではない、
という認識を持っていた方が良いようです。

ただ、抗体陽性者の再感染では、
検出されたウイルス量は初感染より明らかに少なく、
一定の防御は働いていると思われます。

前回の既感染者に1回のワクチン接種でブースター効果が確認された、
という知見も併せて考えると、
一度新型コロナウイルス感染症に罹患した人でも、
1回のワクチン接種を行うことは、
有効性の高い予防策であるように考えられます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(3)  コメント(0)