SSブログ

極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2021年4月14日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日は新型コロナウイルス感染症の、
クリニック周辺での状況です。

2021年の2月と3月は、
クリニックの発熱外来のRT-PCR検査でも、
殆ど陽性者はいない、という状態が続きましたが、
4月に入ってからは明らかに増加傾向が認められ、
毎日数名の陽性者がコンスタントに認められる、
という状況が続いています。

最近の傾向としては、
症状は咳込みが多く、
会食はおろか、仕事もリモートで、
買い物以外は殆ど家から出ない、
というような人でも、
感染が確認される、
というようなケースが、
しばしば認められるようになっています。

市中感染が広がるようになると、
こうした状況になるのだなあと、
そんな思いもあるのですが、
もう症状からは全く普通の風邪と新型コロナの見分けは付かない、
というのが臨床医としての実感です。

感染者はまた増えていますが、
保健所の体制や対応は、
第1波から3波の時のような、
力の入ったものではなくなっています。

以前は本当に朝早くから夜遅くまで、
連絡をすれば発生届は受け取ってくれて、
相談にも乗ってくれたのですね。

それが数日前にショックを受けたのですが、
午前8時前に患者さんに陽性の連絡をして、
それから午前8時10分にいつも連絡している電話に、
発生の連絡を入れたのですが、
電話に出たのが担当の課長さんで、
開口一番、
「まだ就業時間前です」と一方的に宣言されると、
こちらの事情も聴かずに、
向こうから電話を切ってしまわれました。

こんな対応は初めてであったので、
医療現場と保健所の温度差というのか、
トップがそのような事務的な対応で、
他人の話に聞く耳を持たないという態度に、
とてもショックを受けて力が抜けました。

勿論就業時間以降でもう一度連絡を入れて、
詳細を説明しました。
その時は部下の方が電話に出たので、
とても真摯な対応でした。

なんだかなあ、という感じです。

それからこんなこともありました。

先日濃厚接触者に認定された、
という男性が受診をされて、
お話しを聞くと特に症状はなく、
感染者に接触したのは2日前というお話しであったので、
RT-PCR検査をするのであれば、
接触から5から7日目くらいが最も適切で、
今慌てて検査をするよりも、
数日待って検査をした方がいい、
という話を結構念を入れてしました。

その時は分かって頂いたと思ったのです。
それで、3日後に検査の予約をしてお帰り頂いたのですが、
それから1時間もしないうちに電話があって、
「ともかく今日検査をさせろ」
と矢の催促です。
「それでは感染しているかどうか、本当の意味では分かりませんよ」
ともう一度そう説明しましたが、
聞き入れることもなく、
その日結局検査をすることになりました。
結果は陰性で、
本人は「そうか、そうか」と大喜びです。
「まだ分かりませんよ」というお話しはしましたが、
内心はもう、
検査が陰性だから感染していない、
と思い込んでいることは明らかで、
無力感を覚えつつその日の仕事を終えました。

こうしたことを沢山経験すると、
人間は結局信じたいことしか信じず、
自分が結論を決めている時には、
何を言っても無駄な生き物なのだ、
という考えに至るので、
勿論仕事ですから説明はするのですが、
無益な説得はしないようにしています。

ワクチンはようやく5月中旬から、
僕達のような末端の医療者の接種が開始されることが決まりました。
同時期から高齢者の集団接種も始まり、
その手伝いにも行く予定です。

全てが遅々として進みませんが、
まあこんな社会で物事が早く進む筈もありませんよね。

あせらず、出来ることを積み重ねるしかないのだと、
半ば達観しつつ日々を送っています。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0)