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南アフリカ型変異株による交差免疫 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
南アフリカ型の交差免疫.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2021年4月7日ウェブ掲載されたレターですが、
新型コロナウイルスの変異株の免疫について検証した内容です。

新型コロナウイルスの変異株のうち、
英国型、南アフリカ型、ブラジル型と呼ばれる3種類は、
いずれもN501Yという点変異を有していて、
そのため、
それぞれ「501Y.V1」、「501Y.V2」、「501Y.V3」、
と呼ばれています。

このうち南アフリカ型とブラジル型が持つE484Kという点変異は、
従来型の免疫で産生される中和抗体をすり抜ける、
逃避変異と呼ばれていて、
従来型の感染による免疫の有効性が低く、
再感染のリスクも否定できないと考えられています。

実際に従来型の感染やワクチンにより誘導される、
中和抗体を反応させても、
その有効性が低いことが確認されています。

それでは、
逆に南アフリカ型ウイルスの感染により、
誘導される中和抗体は、
他の感染に対しても有効なのでしょうか?

今回の研究では、
まず初期の変異株でオリジナルに近い、
B.1系統と呼ばれる新型コロナウイルスに感染した患者の血清を、
南アフリカ型変異株に反応させたところ、
南アフリカ型への抗体産生能は弱く、
44件中48%の21件では、
中和抗体の産生が認められませんでした。

つまり、
従来型の新型コロナウイルス感染症に罹患していても、
南アフリカ型変異株にはほぼ半数は感染します。
免疫は成立していないからです。

逆に南アフリカ型変異株に感染した患者の、
回復期の血清を、
従来型のウイルスに反応させると、
その86%では中和抗体が産生されました。

つまり、南アフリカ型変異ウイルスに感染すると、
従来型の感染にもほぼ免疫が成立しています。

更には南ア型変異株の感染者の血清を、
ブラジル型変異ウイルスに感染させると、
全例で中和抗体が産生され、
むしろ強い免疫が誘導されました。

このように、
従来型のウイルスの免疫は、
南ア型変異ウイルス感染への交差免疫をあまり誘導しませんが、
逆に南ア型変異ウイルスの免疫は、
他の変異ウイルスに対しても有効な交差免疫を誘導しています。

ここから言えることは、
今後南ア型変異ウイルスの抗原を元にして、
ワクチンを産生すれば、
それは全ての新型コロナウイルスに対して、
有効である可能性が高い、
ということです。

日本における変異株の解析は、
その多くはN501Yと場合によりE484Kを、
単独で検出しているだけなので、
その数値に一喜一憂してもあまり意味はありませんが、
いずれの変異株ウイルスも、
もう日本で流行していること自体は事実なので、
流行の初期に新型コロナウイルス感染症に感染した人も、
変異株には再感染することは間違いなくあり得ることで、
感染者であっても油断なく感染対策をとることが必要です。

ワクチンにより誘導される免疫は、
ファイザーとモデルナのmRNAワクチンに限定すれば、
自然感染より高いレベルでの免疫を誘導しているので、
一定レベルの有効性は変異株に対しても期待はされます。
ただ、英国型には効いても、
南ア型やブラジル型への有効性は、
かなり低いことは想定されるところです。

政治家の方は、
都合が悪くなると感染拡大を変異ウイルスのせいにするので、
その本当の影響は見えにくい面が、
これはもう国内外を問わずあるように思いますが、
いずれにしてもこのウイルスと人間との闘いは、
まだ一山も二山も越える必要があるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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