ワーグナー「ワルキューレ」(2021年新国立劇場上演版) [オペラ]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
今月新国立劇場でワーグナーの「ワルキューレ」が上演されました。
これはフィンランド歌劇場からの借り物のプロダクションなのですが、
2016年に新国立劇場で上演されていて、
実際に聴いていますが、
非常に感動的かつ官能的な素晴らしい上演でした。
ラストの岩山の演出の素晴らしさも脳裏に焼き付いています。
その時は主要な役柄には、
海外の一流歌手がキラ星の如く揃っていて、
圧倒的な迫力で至福の時間でした。
2016年はワーグナー上演の当たり年で、
4月には東京・春・音楽祭が、
ヤノフスキの指揮にNHK交響楽団の演奏、
そして世界的な第一線の歌手が揃う豪華な布陣で、
「ジークフリード」の見事な演奏を聴かせ、
それから新国立劇場の「ワルキューレ」があり、
11月にはウィーン国立歌劇場の同じ「ワルキューレ」、
そしてザルツブルグ・イースター音楽祭の来日公演として、
ティーレマンが「ラインの黄金」を振ったという、
奇跡的な舞台もありました。
凄かったですよね。
その時はそうも思わなかったのですが、
今思うともう夢のようですよね。
もう二度とあんなことはないのだなあ、
と思うと感慨もひとしおです。
さて、今回の上演も、
当初はお馴染みイレーネ・テオリンなど、
世界的なワーグナー歌いを招聘していたのですが、
コロナ禍によって来日は不可能となり、
フリッカの藤村実穂子さんのみがオリジナルキャストで、
それ以外は主だった役柄は全て変更となりました。
ヴォータンには1月から来日していたドイツ出身のバリトン、
ミヒャエル・クプファー=ラデツキーさんが急遽出演となり、
他は全員日本人キャストの中で、
作品全体の核になっていたのは不幸中の幸いでした。
僕が聴いたのは14日の公演ですが、
指揮は大野和士さんで東京交響楽団の演奏でした。
うーん。
矢張り2016年の上演と比べてしまうと、
あちこちに綻びのある上演ではありました。
まあでもそれはこんな状況ですから仕方がないですね。
ジークムントを1幕と2幕で2人の歌手が別々に演じていて、
これはメトロポリタン歌劇場が来日した時の、
ドミンゴもそうでしたね。
相当スタミナがないと、
2幕通して歌うのはきついようです。
1幕の村上敏明さんが、勿論第一人者なのですが、
後半の盛り上がりでちょっと失速していて、
ラストは音楽は怒濤の盛り上がりなのに、
声は付いてこない、という、
ちょっと残念な仕上がりでした。
総じて良いところもあるのですが、
随所にポカッと間があるような感じなんですね。
色々と調整不足もあるのかな、とも感じました。
残念ながら初演の官能的な盛り上がりは、
今回は感じられなかったですね。
ただ、2幕前半の、
ラデツキーさんと藤村さんの神様夫婦喧嘩の部分は、
これぞ本物という感じがありましたし、
ブリュンヒルデの池田香織さんは良かったと思います。
日本を代表するワーグナー歌いですね。
演出もラストは矢張り素晴らしいと思います。
そんな訳でちょっとモヤモヤのワルキューレでしたが、
今後はもう来日公演も望めないですし、
当面は新国立劇場頼りという感じのオペラですが、
ここから日本人のオペラが新たな進化を遂げ、
新たなスターが出現することも期待しつつ、
舞台には足を運びたいと思っています。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
今月新国立劇場でワーグナーの「ワルキューレ」が上演されました。
これはフィンランド歌劇場からの借り物のプロダクションなのですが、
2016年に新国立劇場で上演されていて、
実際に聴いていますが、
非常に感動的かつ官能的な素晴らしい上演でした。
ラストの岩山の演出の素晴らしさも脳裏に焼き付いています。
その時は主要な役柄には、
海外の一流歌手がキラ星の如く揃っていて、
圧倒的な迫力で至福の時間でした。
2016年はワーグナー上演の当たり年で、
4月には東京・春・音楽祭が、
ヤノフスキの指揮にNHK交響楽団の演奏、
そして世界的な第一線の歌手が揃う豪華な布陣で、
「ジークフリード」の見事な演奏を聴かせ、
それから新国立劇場の「ワルキューレ」があり、
11月にはウィーン国立歌劇場の同じ「ワルキューレ」、
そしてザルツブルグ・イースター音楽祭の来日公演として、
ティーレマンが「ラインの黄金」を振ったという、
奇跡的な舞台もありました。
凄かったですよね。
その時はそうも思わなかったのですが、
今思うともう夢のようですよね。
もう二度とあんなことはないのだなあ、
と思うと感慨もひとしおです。
さて、今回の上演も、
当初はお馴染みイレーネ・テオリンなど、
世界的なワーグナー歌いを招聘していたのですが、
コロナ禍によって来日は不可能となり、
フリッカの藤村実穂子さんのみがオリジナルキャストで、
それ以外は主だった役柄は全て変更となりました。
ヴォータンには1月から来日していたドイツ出身のバリトン、
ミヒャエル・クプファー=ラデツキーさんが急遽出演となり、
他は全員日本人キャストの中で、
作品全体の核になっていたのは不幸中の幸いでした。
僕が聴いたのは14日の公演ですが、
指揮は大野和士さんで東京交響楽団の演奏でした。
うーん。
矢張り2016年の上演と比べてしまうと、
あちこちに綻びのある上演ではありました。
まあでもそれはこんな状況ですから仕方がないですね。
ジークムントを1幕と2幕で2人の歌手が別々に演じていて、
これはメトロポリタン歌劇場が来日した時の、
ドミンゴもそうでしたね。
相当スタミナがないと、
2幕通して歌うのはきついようです。
1幕の村上敏明さんが、勿論第一人者なのですが、
後半の盛り上がりでちょっと失速していて、
ラストは音楽は怒濤の盛り上がりなのに、
声は付いてこない、という、
ちょっと残念な仕上がりでした。
総じて良いところもあるのですが、
随所にポカッと間があるような感じなんですね。
色々と調整不足もあるのかな、とも感じました。
残念ながら初演の官能的な盛り上がりは、
今回は感じられなかったですね。
ただ、2幕前半の、
ラデツキーさんと藤村さんの神様夫婦喧嘩の部分は、
これぞ本物という感じがありましたし、
ブリュンヒルデの池田香織さんは良かったと思います。
日本を代表するワーグナー歌いですね。
演出もラストは矢張り素晴らしいと思います。
そんな訳でちょっとモヤモヤのワルキューレでしたが、
今後はもう来日公演も望めないですし、
当面は新国立劇場頼りという感じのオペラですが、
ここから日本人のオペラが新たな進化を遂げ、
新たなスターが出現することも期待しつつ、
舞台には足を運びたいと思っています。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。