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極私的新型コロナウイルス感染症の現在(2021年3月17日) [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業面談で都内を廻る予定です。

今日は新型コロナウイルス感染症の現況です。

今年の2月以降はRT-PCR検査の件数はガクッと減りました。
陽性者も2月は2名のみで、
今月も今のところ2名のみです。
陽性者はいずれも濃厚接触者で症状は非常に軽症です。
症状からの判断はほぼほぼ無理、
というような事例ですね。
東京の救急病院の医師に話を聞いても、
重症の入院事例は殆どないという状況であるようです。

ただ、その一方で東京の感染者数は、
1日300名を切らない状態が続いています。

感覚としては、
「一体どこで感染しているの?」
と言う感じなのですが、
気を付けている人はもう充分気を付けているでしょうし、
ここから更に減らすとすれば、
もう人の流れを物理的に止めるしかない、
ということになるのだと思います。

人の流れが増えていること自体は間違いがなく、
東京のような大都市に関しては、
感染を完全に抑え込むには、
人の流れ自体を止めないと無理なのが、
残念ながら実際であるようです。

重症者も減っていますし、
医療体制自体は余裕がある状態だと思います。

ただ、これで緊急事態宣言を解除するでしょ。
誰でも想定出来ることですが、
すぐに感染者は1000人や2000人にはなりますよね。
気を付けている人がどんなに気を付けていても、
一定数の「飲み屋やカラオケでどんちゃん騒ぎ」という人は、
これはもういなくなることはないので、
人の流れが解除によって増えれば、
それだけで感染者数が増加するのは自明の理です。

でも打つ手なしという感じですね。

リバウンド防止の対策と言うと、
結局医療体制の強化と検査数の増加、
みたいなことになるでしょ。

でも、今は患者が少ないのに医療体制を強化しても、
それこそ全て公費で賄うのでなければ、
医療機関が赤字になるだけですよね。
ただ、行政は繰り返しそうした言い方をするので、
一般の方は、
「何で1年前から医療体制の強化をしろ、と言っているのに、改善されないんだ。患者が1000人でも300人でも、同じように大変、というのはおかしいじゃないか」
と思われると思いますし、
それに簡単に反論できないのが難しいところです。

一般の方のイメージとしては、
感染拡大を見据えて、
たとえば1000人入院出来るような施設を、
最初から確保しておけ、
ということだと思うのですね。

でも、設備だけでは駄目で、
人員もそれだけ確保しないと駄目でしょ。
それを1000人になることを予想して、
300人のうちに用意しておくというのは、
現実的ではないと思います。

検査についてはね、
たとえば嘱託医をしている特別養護老人ホームがあるのですが、
今月の初めに、
職員全員のRT-PCR検査が実施されたのですね。
結果は全員陰性だったのですが、
今のところ今回1回きりなのですね。

こうした計画性のないことをしても、
それで老人ホームの集団感染の予防にはならないですよね。
無症状の人に1回だけ検査をしても、
これはもう暗闇に闇雲に鉄砲を撃ち込むようなもので、
全く効率的ではないからです。
これね、行政検査ではなくて、
委託事業として自費検査をしているPCRセンターが請け負っているんですね。
本人確認もない郵送検査で、
陽性になったら、個別に医療機関を受診して下さい、
ということなんですね。
これじゃ、行政が自費検査のセンターに、
儲けさせているだけ、のように思えてなりません。

ワクチンも色々事情はあるのでしょうが、
遅々として進まない感じですよね。

国立病院機構とか、そうしたところの接種は、
行なわれてはいるんですね。

でも、たとえば品川区でも、
まだ通常の医療従事者の接種も、
アンケートで人数確認をしただけで止まっているんですよ。
「都の方針が出ていない」というのがその理由の1つらしいのですが、
何で方針が出ないものやら、
話を聞いても訳が分かりません。

少なくとも僕も接種は出来ていません。

人の流れを減らす以外の方策としてはね、
病院や高齢者施設のクラスターを阻止するために、
そこの職員のワクチン接種は急ぐ必要がありますよね。
それだけやればかなり違う可能性はあると思うのですが、
現実にはまだそこまで行っていません。

ある程度医療従事者や高齢者施設の職員、入所者に、
ワクチンが行き渡ってから、
人の流れを緩和するというのが、
筋ではあると思うのですが、
そこまで待っていられないから21日で解除する、
というのが既定方針であるようです。

そんな訳でまだ先行きは多難と思われますが、
感染防御に留意しつつ、
今後も自分に出来ることを日々こなしながら、
「多くの医者は楽をしている」と言われないように、
気を引き締めて診療に当たりたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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