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運動とBMIと心血管疾患リスクとの関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
BMIと心血管疾患リスク.jpg
European Journal of Preventive Cardiology誌に、
2021年1月22日ウェブ掲載された、
内臓脂肪と運動習慣と心血管疾患リスクについての論文です。

心血管疾患のリスクとして、
肥満が重要視され、
体重が多い(概ねBMIが25.0以上)人は、
生活改善により体重を適正に低下させることが、
健康のために必要であると指導されます。

この場合の生活改善の柱は、
食事と運動です。

ただ、食事療養と比較すると、
ダイエットのための運動指導というのは、
こうした生活習慣病の予防という観点では、
かなりざっくりとしたもので、
「1日8000歩以上歩きましょう」とか、
週に何回か運動する習慣を持ちましょう、
という程度のものであることが殆どです。

一方でプロの運動選手はBMIのみで言うと、
種目にもよりますがパワーを要するものでは、
25を超えるような選手は多く存在しています。
こうしたプロのスポーツ選手も、
健康という観点からはダイエットするべきなのでしょうか?

常識的にはそうするべきではない、
と誰でも思いますが、
そこにどれだけの根拠があるのかと考えると、
考えは袋小路に迷い込んでしまいます。

要するにBMIでは肥満の基準に該当していても、
「健康な体重の多い人」も存在していて、
そうした人では心血管疾患のリスクは低いのではないか、
という推測はありますが、
それを証明するような信頼のおけるデータは、
あまりないというのが実際なのです。

運動の指針については、
最近心肺フィットネス(cardiorespiratory fitness)、
という考え方が注目されています。
これは体力の1つの指標で、
心肺持久力とも言われ、
最大酸素摂取量を増加させることを目標にして、
科学的トレーニングを行うという方法です。

今回の研究では、
18歳から64歳の一般住民トータル527662名を解析し、
体格を正常範囲(BMIが20.0から24.9)、
過体重(BMIが25.0から29.9)、
肥満(BMIが30.0以上)の3群に分けて、
心肺フィットネスの観点からの運動習慣を、
運動習慣なし、運動習慣不充分、充分な運動習慣に分け、
それぞれの関係を心血管疾患リスクの観点から比較検証しています。

その結果、
充分な運動習慣を有していても、
過体重や肥満があると、
通常の体重で運動習慣のない人と比較しても、
糖尿病などのリスクは高くなる、
という結果が得られました。

つまり、運動習慣のみでは心血管疾患リスクを下げるには不充分で、
肥満の補正は必須である可能性が高い、
という結果です。

ただ、これは敢くまでトータルに見て、
という話で、
個別には勿論過体重でも健康、
という人も多いのが実際であることは、
一般的な感覚としては事実と思われるので、
個々に若い頃からの体重増加量などから、
判断するのが妥当ではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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