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新型コロナウイルス感染症の神経系病変(ニューヨークの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は終日レセプト作業の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
COVID-19の神経系症状.jpg
Neurology誌に、
2021年1月26日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症に合併する、
神経系症状についての論文です。

新型コロナウイルス感染症は、
当初は呼吸不全を来す重症肺炎がその典型とされましたが、
その後多くの全身臓器に影響を及ぼし、
多くの合併症を引き起こすことが明らかになりました。

その1つが神経系の合併症です。
新型コロナウイルスの入院中に、
脳症による意識障害や低酸素性脳障害、
けいれんや頭痛、脳卒中、髄膜脳炎などが、
合併することが報告されています。

ただ、それが新型コロナウイルス感染に、
直接的に起因するものなのか、
全身状態の悪化やショックなどに起因するものなのか、
といった点については必ずしも明確ではありません。

今回の検証ではニューヨークの複数の病院において、
遺伝子検査で新型コロナウイルス感染症と診断されて入院した、
トータル4491名の患者を検証したところ、
入院の経過中にそのうちの13.5%に当たる606名が、
神経内科の専門医によって、
神経系疾患を診断されていました。

内訳では、
最も多かったのが中毒性・代謝性脳症で6.8%、
脳卒中が1.9%、けいれん発作が1.6%、
低酸素性・虚血性脳障害が1.4%となっています。

脳炎や髄膜炎などが、
新型コロナウイルスの直接浸潤によるものと、
証明された事例はなく、
18例で施行された脳脊髄液の検査では、
ウイルス遺伝子は全例で検出はされませんでした。

感染の予後に関わる因子を補正した結果として、
合併する神経疾患の存在は、
新型コロナウイルス感染症の入院中の死亡リスクを38%
(95%CI: 1.17から1.62)、
有意に増加させ、
退院して自宅に戻れる頻度を28%
(95%CI: 0.63から0.85)、
こちらは有意に低下させていました。

このように新型コロナウイルス感染症の入院時には、
神経系病変の合併が少なからず見られることは事実で、
その多くは全身状態の悪化に伴うものと思われますが、
ウイルス感染との直接的関連も否定は出来ず、
今後のより精度の高い検証に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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