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新型コロナウイルス感染症のトイレでの感染リスク(中国の病室でのデータ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
トイレのウイルスリスク.jpg
Science of Total Environment誌に、
2021年1月20日ウェブ掲載された、
病室のトイレにおける新型コロナウイルス感染症の、
感染リスクについての論文です。

そう大した内容ではないのですが、
結果が分かりやすいのでネットなどでは割と話題になっているものです。

新型コロナウイルス感染症の集団感染において、
問題となることが多いのが、
洗面、トイレ、浴室の水廻りの感染です。

今回の研究は中国において、
新型コロナウイルス感染症の患者を隔離して入院させている、
1室3ベッドの隔離病室において、
環境サンプリングを行いその感染リスクを検証したものです。

その結果はこちらをご覧下さい。
トイレのウイルスリスクの図.jpg
環境サンプリングの結果を分かり易く図示したものです。

通常の清掃が行われた病室において、
部屋の表面サンプルでウイルス陽性となったのは、
主にトイレの便器などの表面でした。
ベッド周辺や空気中のサンプルからは、
ウイルス遺伝子は検出されませんでした。

具体的には107カ所の物体表面のサンプルを採取し、
ウイルス遺伝子をRT-PCRにより検出しています。
その結果7カ所で新型コロナウイルス遺伝子陽性を確認。
ウイルス量が多く陽性(Ct≦38)だったのが、
2カ所の廊下側のドアノブ、
トイレカバー1カ所、トイレのドアノブ1カ所でした。
ウイルス量が少なく弱陽性(Ct 37から38)であったのが、
トイレの便座シート、水栓のレバー、排気口のサンプルでした。

病室は換気システムが作動していて、
空気のサンプルは病室の46カ所で採取されましたが、
トイレ前の廊下で弱陽性であった以外は、
ウイルス遺伝子は検出されませんでした。

このように、充分に換気された室内で、
空気感染は通常の場合は問題にはならず、
トイレなどの水廻りの接触感染が、
最も高リスクであると想定されます。

この場合必ず触るドアノブなどを消毒し、
便座も使用する毎に消毒すると共に、
トイレ使用時はマスクを着用し、
トイレを離れてからしっかりと手指消毒することが、
現状は最も有効性の高い予防法であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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