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「聖なる犯罪者」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
聖なる犯罪者.jpg
これは珍しいポーランドとフランスの合作映画です。
基本的にはポーランドが舞台のポーランド映画で、
フランスが資本を含めて協力している、
というような格好であるようです。

実話を元にして、
少年院を出所した若者が、
ひょんなことからカトリックの司祭に間違われ、
そのまま司祭の代役を演じて、
田舎町の住民の中に溶け込んで行く、
という「偽神父」という、
「偽医者」とも似通った性質のお話です。

これはコミカルにもシリアスにも振れるお話ですが、
この映画はコミカルな部分もあるものの、
基本的にはかなりシリアスな雰囲気で、
最初の少年院の描写からして、
暴力的な苛めなどがハードに展開されますし、
住民のネチっこい嫌らしさもなかなかです。

色々あって村に恋人が出来たりもするのですが、
最後は正体がバレて少年院に逆戻り、
というのはまあ誰でも予測出来る通りです。

ただ、村を分断してしまう危険を孕んだ、
不幸な自動車事故の真相を、
主人公が彼を愛する少女と一緒に追及する、
という社会派ミステリーのような趣向があり、
それが1つの軸になっている、という点が特色であるのと、
主人公が少年院で野獣のような姿を見せるラストが、
ちょっと規格外で独特です。

法律や規則、戒律などでがんじがらめになった世界に対する、
抗議の表明がテーマであるように思われますが、
それにしてはラストが身も蓋もないな、
というような感じはします。

この辺りは民族性というのか、
感覚の本質的な違いのようなものがあるのかも知れません。

トータルにはなかなか見応えのある、
良質の映画であることは間違いがありません。

主人公の独特の雰囲気とふるまいが面白いですし、
草の匂いのするような映像は、
これはもうヨーロッパでないと出ないセンスですね。
意味の取り難い場面も一部にありますが、
基本的には理解可能な表現になっていて、
ヨーロッパ映画としては、
それほどハードルが高くはない作品だと思います。

今はあまり新作が公開されない状態が続いていますし、
ちょっと歯応えのある映画を1本、
という向きにはそこそこお勧め出来る作品です。

ご興味があればどうぞ。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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