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「43年後のアイ・ラヴ・ユー」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
43年後のあい・らぶ・ゆー.jpg
初恋の人に43年ぶりに再会するという、
ハートフルコメディで、
昔風に言うと「老いらくの恋」というジャンルの映画です。

アメリカのLAが舞台で、
主役はかつての演技派ブルース・ダーンですが、
スペイン、フランス、アメリカ合作で、
スペインの監督にヒロインはフランス女優、
スタッフも多くはスペインやフランスからのようです。

要するにアメリカ映画っぽい、
ヨーロッパの映画ということのようです。

地味な素材ですし、
通常であれば日本でのロードショーは、
なかったのではないかと思われますが、
コロナ禍でハリウッド映画はほぼ全滅ですから、
こうしたヨーロッパの地味な映画が、
公開されることが増えているようです。

でもこれね、そう悪くないんですよ。
ブルース・ダーンは演劇評論家で、
若い頃にフランス人の女優さんと恋に落ちるんですが、
一緒にはなれずに終わるんですね。
その女優さんがアルツハイマー病になって老人ホームにいることを知って、
自分は認知症の振りをして、
老人ホームに入所するのです。
もちろん認知症の女優は、
主人公のことを覚えてなどいないのですが、
それでも主人公はかつての恋を、
思い出してもらうために奮闘するのです。

まあ比較的ありふれた話で、
日本でしたら山田太一さんや倉本聰さんが書きそうですよね。
でもヨーロッパ製なので、
センスはちょっと違うんですね。
昔の手紙を読ませてそこに雨が降って来たり、
ユリの花と好きだったガーシュインのCDを送ったりと、
やることもロマンチックですよね。
ヒロインには夫がいるのですが、
三角関係で一旦こじれそうになりながら、
最終的には全て丸くおさまる、
というところ、
ドロドロさせないで面白く見せきる、
というところが好印象で、
89分という上映時間に過不足なくおさめている、
という点も良いと思いました。

殆どの映画は、
昔のように90分という尺で、
必要にして充分なのではないかしら、
そんな風にも感じました。

シェイクスピアの「冬物語」が、
重要なモチーフとして使用されていて、
かつてのヒロインの当たり役で、
ハーマイオニーの復活を、
認知症の彼女の記憶がもどる、
という奇跡に重ね合わせているんですね。
そればかりでなく、このお芝居が、
主人公と孫の世代とを結びつける役割も果たす、
という辺りに台本の工夫が感じられます。

それから主人公の友人が薬マニアという設定で、
リピトールやフォサマックなど、
馴染みの薬の名前が次々に登場します。
クレストールは効かないからリピトールに変えろ、
みたいな話まで出て来ます。

まあちょっと大甘のお話ですし、
それほど特徴的な見せ場や盛り上がりがある、
という訳ではない地味な映画なので、
たまに映画を…というような方には、
あまりお勧めは出来ませんが、
ギスギスして残酷で目まぐるしいテンポの、
今の娯楽映画にはうんざりという方には、
一服の清涼剤とはなると思います。

控え目のお勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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