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執刀医の誕生日の手術は危険?(BMJ2020年クリスマス論文) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
執刀医が誕生日の手術は危険?.jpg
British Medical Journal誌に、
2020年12月10日ウェブ掲載された、
執刀医の誕生日と患者の死亡リスクを比較するという、
ユニークな内容の論文です。

慶應大学の研究者や、
新型コロナについての情報発信などもされている、
津川友介先生らによる研究です。

データも本物で解析も真面目にされていますが、
これはクリスマス特集というこの雑誌の恒例の企画で、
ユーモアに満ちた肩の力の抜けた研究を、
特集しようというものです。

そのつもりで、
「ひょっとしたら、そういうこともあるかもね」
くらいに読んで楽しむという性質のものです。

その点は誤解のないようにお読み下さい。

さて、外科医も人間ですから、
本当は仕事をしたくない日に呼び出されて手術、
ということもあります。
そうした日とやる気満々で手術を迎えた日では、
その結果にも違いがあっておかしくはありません。

勿論手術を受ける患者の立場に立てば、
そんなことは絶対にあってはならないことですが、
きれい事ではなく現実の問題として考えれば、
そうしたことはあり得るのですから、
データを検証することは意味のある行為であるのです。

今回の研究はアメリカの65歳以上の高齢者への、
公的保険制度であるメディケアの大規模な医療データを活用して、
2011年から2014年に行われた緊急手術、
トータル980876件をその主治医毎に解析して、
手術日が誕生日であることの影響をみたものです。

手術は47489名の外科医によって行われ、
その0.2%に当たる2064件が外科医の誕生日に施行されていました。
関連する他の因子を補正して解析したところ、
外科医の誕生日に行われた手術を受けた患者の、
術後30日以内の死亡率が6.9%であったのに対して、
誕生日以外の手術の死亡率は5.6%で、
その差は1.3%(95%CI: 0.1から2.5)と、
誕生日の手術は若干ながら、
患者の死亡率の増加に結び付いていた、
という結果になっていました。

このデータをそこまで真面目に議論する必要は、
ないように思いますが、
医師の意欲やモチベーションによって、
手術の予後に変化が生じる可能性がある、
という指摘自体は重く受け止める必要があり、
こうしたことが起こらないような予防策については、
案外真面目に議論する必要があるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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