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赤身肉と虚血性心疾患リスク(2020年アメリカの疫学研究) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ベーコンと健康.jpg
British Medical Journal誌に2020年ウェブ掲載された、
赤身肉の摂取と心血管疾患との関連についての論文です。

牛、豚、羊などの赤身肉、
特にソーセージやベーコンなどの加工肉を多く摂ることが、
心血管疾患のリスクになるという知見は、
これまでにも数多くあります。

ただ、他の蛋白源との比較や、
加工肉とそうでない赤身肉の摂取との比較などは、
研究によってもまちまちで、
まだ検討の余地を残しています。

今回の研究はアメリカにおいて、
医療従事者の男性43272名を対象としたもので、
食事調査を行うと共に長期間の経過観察を行っています。

赤身肉の摂取については、
どのくらいの回数そうした食事を摂ったかのアンケートから、
その摂取量を推定しています。

その結果、
心血管疾患のリスクは、
トータルな赤身肉を1日1単位摂取することにより12%(95%CI: 1.06から1.18)、
加工肉を1日1単位摂取することにより15%(95%CI: 1.06から1.25)、
加工肉以外の赤身肉の摂取により11%(95%CI: 1.02から1.21)、
それぞれ有意に増加していました。

ここで赤身肉の摂取を、
同じ1単位の植物性蛋白(ナッツ、豆など)に交換すると、
トータルな赤身肉で14%(95%CI: 0.80から0.93)、
加工肉では17%(95%CI: 0.76から0.91)、
心血管疾患のリスクは有意に低下すると推測されました。

このように今回の大規模な検証においても、
赤身肉、特に加工肉の摂取と、
心血管疾患リスクとの間には関連が認められました。

赤身肉を多く食べている人で、
高血圧など心血管疾患のリスクのある人は、
なるべく加工肉の摂取は避け、
植物性蛋白の摂取を増やすことで、
そのリスクの低減に繋がる可能性があるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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