SSブログ

「行き止まりの世界に生まれて」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
行き止まりの世界に生まれて.jpg
これは2018年にHULUが制作したドキュメンタリーで、
中国系アメリカ人の若者であるビン・リューが、
自分と自分の友人の若者の、
12年に渡る人生を撮影したものです。
オバマ前大統領が絶賛するなど、
アメリカで評価の高かった作品が、
今劇場公開されています。
映画館に足を運びました。

「mid90s」という映画が公開されていますが、
内容はほぼ同じなのですね。
スケボーが青春という若者の人生模様。
「mid90s」はドキュメンタリーっぽいフィクションで、
こちらはとてもパーソナルな感じのドキュメンタリー、
という点は違っていますが、
描かれている内容はほぼ同じですし、
観客の受ける感動の質も、
かなり似通っていると思います。
ひょっとしたらどちらか影響を受けているのかな、
とも思いますが、
ほぼ同じ時期の映画ですし、
実際はよく分かりません。
スケボーの撮り方もね、
わざわざ転倒する場面を撮ったり、
車など無視して道路を走る様を、
延々と長回しで撮るのも同じですね。

「mid90s」も今年屈指の素敵な映画ですが、
このドキュメンタリーもなかなか良いんですね。
自意識過剰のドキュメンタリーの厭らしさ、
みたいなものは濃厚にあるのですが、
それでも本物の人生の持つ重みと価値のようなものを、
とても強く感じますし、
3人の12年の映像を、
バッとラストで早回しで見せられるとね、
ちょっと胸が熱くなりますね。

アメリカの田舎町の貧困と家庭内暴力の連鎖、
人種差別と偏見など、
多くのアメリカの持つ問題とされるものも織り込まれていますが、
それほど押しつけがましく描かれるということではなく、
主人公が義父の白人から受ける暴力については、
インタビューで延々と母親に語らせるなど、
やや個人的情念が先に立つような場面もありますが、
それ以外は比較的淡々と、
実人生のスケッチに、
寄り添うように描かれているのが印象的です。
生きることそのものの価値を、
純粋に描いているのがこの映画の優れた点だと思います。

構成的には語り手がアジア系で、
2人の友達が白人と黒人というバランスが良く、
2人の対象的な友達がそれぞれに個性的なので、
地味な素材が巧みに大きく肉付けされていると感じました。

監督の優等生的なタッチや、
自分の母親に画面で謝らせるというあざとさ、
白人の友人の駄目男ぶりを、
やや誇張して描くような臆面のなさなど、
これがもし100%の事実であるとすれば、
少し引っかかる部分もあるのですが、
おそらくは演出や虚構もあるのでしょうし、
アメリカのある断面を知的にかつ抒情的に切り取った、
パーソナルなドキュメンタリーとして、
一見の価値は間違いなくある映画だと思います。

個人的にはフィクションの「mid90s」の方が好きですが、
こちらもお勧めしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。

実年齢56歳、血管・骨年齢30代の名医が実践!  コーヒーを飲む人はなぜ健康なのか?

実年齢56歳、血管・骨年齢30代の名医が実践! コーヒーを飲む人はなぜ健康なのか?

  • 作者: 石原 藤樹
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2020/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


nice!(3)  コメント(0)