PCR顛末記(2020年7月22日の現状) [身辺雑記]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今とても困っています。
7月の10日から唾液のPCR検査が可能となり、
ある大手の検査会社に検査を依頼しています。
7月11日に施行した検査の結果は、
12日にはファックスでクリニックに送付されました。
その後も概ねそのペースで結果が来たので、
患者さんにも概ね翌日か遅くても2日後には結果が出ます、
という説明をしていました。
ところが…
7月20日に数人の検査を行なって、
検体を3重に封をして提出しました。
翌日の朝に確認しましたがファックスは来ませんでした。
昼にもう一度確認しましたがファックスは来ません。
それで窓口となる検査会社の営業所に連絡をすると、
「正確には言えないが本日の午後5時までには届く予定です」
ということなので、
遅いなあ、と思いながら待っていました。
しかし、午後5時を過ぎても結果は届きません。
それでもう一度営業所に連絡すると、
「今日の夜には届く予定です。24時間体制で検査をしていますから」
というやや不安に感じる曖昧な答えでした。
それで当日は無理と考え、
検査をした患者さんにも、
結果が出次第連絡はするけれど、
今日になるか明日になるかは分からない、
というお話しをしました。
翌日朝クリニックに来ましたが、
まだファックスは届いていませんでした。
検査会社への連絡は午前10時にならないと出来ないので、
外来をしながら10時を待って連絡しました。
すると、「こちらでは確認出来ません」
というすげない返事です。
「何処に聞けばいいのですか?」
と聞くと、
「ラボのPCR受付に聞いて下さい」
と携帯の電話番号を教えられました。
それでラボに連絡すると、
20日1日だけで3000件以上の検体が集まっているとのことで、
検査はまだ半分程度しか済んでいない、ということでした。
「それではいつ結果が出るのですか?」
と聞くと、
「今日の昼の12時までには出すように最大限努力しています」
というやや語尾に不安を感じる返答です。
それで患者さんには、
「申し訳ありません。どうか、今日の昼まで待って下さい」
と個別に連絡し、
外来をしながら午後0時を待ちました。
午前11時55分です。
ファックスは来ません。
午後0時丁度です。
複合機はうんともすんとも言いません。
午後0時5分にファックスが来ましたが、
ただの宣伝でした。
午後0時10分です。
ファックスは来ません。
午後0時30分です。
ファックスは来ません。
幾らなんでも酷いじゃないかと思い、
もう一度営業所に連絡をしました。
すると営業担当の方の話では、
「午後0時に送信する筈のファックスの予定が、
午後2時くらいに遅れるという連絡が入っています」
という脱力するような返事でした。
「それは間違いがないのですか?午後2時には来るんですか?」
と再度尋ねると、
「午後2時から3時には…」という案の定の返事です。
「もし午後3時を過ぎるようなら、
僕の携帯に連絡して下さい」
と言って電話を切ると、
再び検査をした患者さんに連絡を取り、
もう一度説明をして、
午後3時にこちらから電話をすると説明しました。
午後は予定があったのですが、飛びました。
それで今、ファックスを待っているところです。
現状はこんな感じで、
PCR検査はあちこちでパンク状態になっているようです。
品川区のPCRセンターも予約がパンクに近い状態で、
6月には殆ど陽性者はいなかったのですが、
先週1週間の陽性率は12.2%となっています。
これで明日から連休突入ですか…
僕は比較的楽天的な方ですが、
それでもかなりまずい状況であることは、
ひしひしと感じています。
ファックスは…まだ来ません。
(2020年7月22日午後2時5分)
北品川藤クリニックの石原です。
今とても困っています。
7月の10日から唾液のPCR検査が可能となり、
ある大手の検査会社に検査を依頼しています。
7月11日に施行した検査の結果は、
12日にはファックスでクリニックに送付されました。
その後も概ねそのペースで結果が来たので、
患者さんにも概ね翌日か遅くても2日後には結果が出ます、
という説明をしていました。
ところが…
7月20日に数人の検査を行なって、
検体を3重に封をして提出しました。
翌日の朝に確認しましたがファックスは来ませんでした。
昼にもう一度確認しましたがファックスは来ません。
それで窓口となる検査会社の営業所に連絡をすると、
「正確には言えないが本日の午後5時までには届く予定です」
ということなので、
遅いなあ、と思いながら待っていました。
しかし、午後5時を過ぎても結果は届きません。
それでもう一度営業所に連絡すると、
「今日の夜には届く予定です。24時間体制で検査をしていますから」
というやや不安に感じる曖昧な答えでした。
それで当日は無理と考え、
検査をした患者さんにも、
結果が出次第連絡はするけれど、
今日になるか明日になるかは分からない、
というお話しをしました。
翌日朝クリニックに来ましたが、
まだファックスは届いていませんでした。
検査会社への連絡は午前10時にならないと出来ないので、
外来をしながら10時を待って連絡しました。
すると、「こちらでは確認出来ません」
というすげない返事です。
「何処に聞けばいいのですか?」
と聞くと、
「ラボのPCR受付に聞いて下さい」
と携帯の電話番号を教えられました。
それでラボに連絡すると、
20日1日だけで3000件以上の検体が集まっているとのことで、
検査はまだ半分程度しか済んでいない、ということでした。
「それではいつ結果が出るのですか?」
と聞くと、
「今日の昼の12時までには出すように最大限努力しています」
というやや語尾に不安を感じる返答です。
それで患者さんには、
「申し訳ありません。どうか、今日の昼まで待って下さい」
と個別に連絡し、
外来をしながら午後0時を待ちました。
午前11時55分です。
ファックスは来ません。
午後0時丁度です。
複合機はうんともすんとも言いません。
午後0時5分にファックスが来ましたが、
ただの宣伝でした。
午後0時10分です。
ファックスは来ません。
午後0時30分です。
ファックスは来ません。
幾らなんでも酷いじゃないかと思い、
もう一度営業所に連絡をしました。
すると営業担当の方の話では、
「午後0時に送信する筈のファックスの予定が、
午後2時くらいに遅れるという連絡が入っています」
という脱力するような返事でした。
「それは間違いがないのですか?午後2時には来るんですか?」
と再度尋ねると、
「午後2時から3時には…」という案の定の返事です。
「もし午後3時を過ぎるようなら、
僕の携帯に連絡して下さい」
と言って電話を切ると、
再び検査をした患者さんに連絡を取り、
もう一度説明をして、
午後3時にこちらから電話をすると説明しました。
午後は予定があったのですが、飛びました。
それで今、ファックスを待っているところです。
現状はこんな感じで、
PCR検査はあちこちでパンク状態になっているようです。
品川区のPCRセンターも予約がパンクに近い状態で、
6月には殆ど陽性者はいなかったのですが、
先週1週間の陽性率は12.2%となっています。
これで明日から連休突入ですか…
僕は比較的楽天的な方ですが、
それでもかなりまずい状況であることは、
ひしひしと感じています。
ファックスは…まだ来ません。
(2020年7月22日午後2時5分)
新型コロナウイルス重症事例に対するステロイド治療の効果 [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は水曜日なので外来は午前中で終わり、
午後は事務作業などの予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
the New England Journal of Medicine誌に、
2020年7月17日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症に対する、
ステロイド治療の効果を検証した論文です。
新型コロナウイルス感染症は、
8割以上の患者さんは軽症で推移しますが、
肺炎から重篤な呼吸不全に進行するケースがあり、
人工呼吸器の装着が必要となるような事例では、
その致死率も25%以上と報告されています。
上記文献にあるイギリスのデータでは、
入院して人工呼吸器を装着した事例の致死率は、
37%と記載されています。
抗ウイルス剤のレムデシビルは、
患者の回復までの期間を短縮する効果が、
臨床試験で報告されていますが、
現状重症の事例で明確に死亡リスクを低下させた、
という信頼のおけるデータが、
存在しているような治療はありません。
新型コロナウイルス感染症の肺病変の重症化には、
免疫系の過剰な反応が影響しているのでは、
という考え方があります。
炎症性サイトカインなどの増加は、
その可能性を示唆しています。
デキサメサゾンなどの、
強力な合成ステロイド(糖質コルチコイド)剤には、
強い抗炎症作用と免疫抑制作用があり、
免疫の暴走を抑えるような効果が期待されます。
その一方で免疫の抑制は、
ウイルス感染の経過を悪化させるような可能性も、
否定は出来ません。
強力なステロイド剤の使用は、
諸刃の刃という側面があるのです。
これまでに少数の事例のデータにおいて、
メチルプレドニゾロンというステロイド剤の使用により、
新型コロナウイルス感染症の予後が改善した、
というようなデータはあるものの、
大規模なデータや介入試験での有効性は確認されておらず、
現状のガイドラインの多くにおいて、
ステロイドの使用は推奨されていません。
しかし、実際には臨床においてステロイド剤は、
少なからず使用されているのです。
今回の研究はそのギャップを埋めようとしたもので、
イギリスにおいて新型コロナウイルス感染症と診断されて入院した患者さんを、
1対2の比率でクジ引きで2つの群に分けると、
4321名は通常の治療を行ない、
2104名はデキサメサゾンというステロイドを、
経口もしくは経静脈投与で、
1日6ミリグラムを最長10日間使用して、
登録後28日の時点での生命予後を比較検証しています。
その結果、
デキサメサゾン使用群の22.9%に当たる482名と、
通常治療群の25.7%に当たる1110名が、
登録28日の時点までに死亡していて、
デキサメサゾンの使用は28日間の死亡リスクを、
17%(95%CI:0.750.93)有意に低下していました。
これを人工呼吸器使用者のみで解析すると、
デキサメサゾン使用群は通常治療群と比較して、
28日間の死亡リスクを36%(95%CI:0.51から0.81)、
より大きく低下させていました。
一方で人工呼吸器や酸素療法を施行していない患者のみの解析では、
デキサメサゾンの使用は生命予後に有意な影響を与えていませんでした。
このように、今回の大規模な検証においては、
重症の事例において、
デキサメサゾンの使用は患者の生命予後を、
短期的に改善していました。
このデータは更なる検証が必要ですが、
事例を選べばステロイドの使用にょり、
患者の生命予後が改善する可能性が示されたことの意義は大きく、
この結果を受けて、
レムデシビルに次ぐ新型コロナウイルス治療薬として、
日本でもデキサメサゾンが承認の運びとなったようです。
実地臨床での有効性など、
今後の推移に注視したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は水曜日なので外来は午前中で終わり、
午後は事務作業などの予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
the New England Journal of Medicine誌に、
2020年7月17日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症に対する、
ステロイド治療の効果を検証した論文です。
新型コロナウイルス感染症は、
8割以上の患者さんは軽症で推移しますが、
肺炎から重篤な呼吸不全に進行するケースがあり、
人工呼吸器の装着が必要となるような事例では、
その致死率も25%以上と報告されています。
上記文献にあるイギリスのデータでは、
入院して人工呼吸器を装着した事例の致死率は、
37%と記載されています。
抗ウイルス剤のレムデシビルは、
患者の回復までの期間を短縮する効果が、
臨床試験で報告されていますが、
現状重症の事例で明確に死亡リスクを低下させた、
という信頼のおけるデータが、
存在しているような治療はありません。
新型コロナウイルス感染症の肺病変の重症化には、
免疫系の過剰な反応が影響しているのでは、
という考え方があります。
炎症性サイトカインなどの増加は、
その可能性を示唆しています。
デキサメサゾンなどの、
強力な合成ステロイド(糖質コルチコイド)剤には、
強い抗炎症作用と免疫抑制作用があり、
免疫の暴走を抑えるような効果が期待されます。
その一方で免疫の抑制は、
ウイルス感染の経過を悪化させるような可能性も、
否定は出来ません。
強力なステロイド剤の使用は、
諸刃の刃という側面があるのです。
これまでに少数の事例のデータにおいて、
メチルプレドニゾロンというステロイド剤の使用により、
新型コロナウイルス感染症の予後が改善した、
というようなデータはあるものの、
大規模なデータや介入試験での有効性は確認されておらず、
現状のガイドラインの多くにおいて、
ステロイドの使用は推奨されていません。
しかし、実際には臨床においてステロイド剤は、
少なからず使用されているのです。
今回の研究はそのギャップを埋めようとしたもので、
イギリスにおいて新型コロナウイルス感染症と診断されて入院した患者さんを、
1対2の比率でクジ引きで2つの群に分けると、
4321名は通常の治療を行ない、
2104名はデキサメサゾンというステロイドを、
経口もしくは経静脈投与で、
1日6ミリグラムを最長10日間使用して、
登録後28日の時点での生命予後を比較検証しています。
その結果、
デキサメサゾン使用群の22.9%に当たる482名と、
通常治療群の25.7%に当たる1110名が、
登録28日の時点までに死亡していて、
デキサメサゾンの使用は28日間の死亡リスクを、
17%(95%CI:0.750.93)有意に低下していました。
これを人工呼吸器使用者のみで解析すると、
デキサメサゾン使用群は通常治療群と比較して、
28日間の死亡リスクを36%(95%CI:0.51から0.81)、
より大きく低下させていました。
一方で人工呼吸器や酸素療法を施行していない患者のみの解析では、
デキサメサゾンの使用は生命予後に有意な影響を与えていませんでした。
このように、今回の大規模な検証においては、
重症の事例において、
デキサメサゾンの使用は患者の生命予後を、
短期的に改善していました。
このデータは更なる検証が必要ですが、
事例を選べばステロイドの使用にょり、
患者の生命予後が改善する可能性が示されたことの意義は大きく、
この結果を受けて、
レムデシビルに次ぐ新型コロナウイルス治療薬として、
日本でもデキサメサゾンが承認の運びとなったようです。
実地臨床での有効性など、
今後の推移に注視したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍発売中です。
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