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新型コロナウイルス感染症の後遺症(イタリア単独施設報告) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルス感染の後遺症.jpg
JAMA誌に2020年7月9日ウェブ掲載されたレターですが、
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染回復後の、
後遺症についての報告です。

日本にでも報道などでは、
新型コロナウイルス感染症から回復後に、
全身倦怠感や微熱などの体調不良が、
持続しているというような話が聞かれます。

実際にクリニックで経験した患者さんでも、
回復後に体調不良が続いている、
というような話は聞くことがあります。

ただ、感染症の後の持続する体調不良というのは、
新型コロナウイルスに限ったものではありません。
「免疫のバランスが崩れている」というような説明がされることもあり、
病原体の抗原に対するアレルギー反応が、
持続するというような説明がされることもあります。
ただ、その裏付けとなるような明確な根拠が、
存在しているかどうかは甚だ疑問で、
感染のストレス後のうつ状態で、
説明されることもあります。

新型コロナウイルス感染症回復後の体調不良が、
この病気の特徴的な所見であるのか、
それとも他の感染症後の体調不良と、
変わることのない現象に過ぎないのかについては、
まだ明確なことが分かっていないのです。

今回の研究はイタリアの単独施設のもので、
発熱などの症状が改善し2回のPCR検査で陰性で退院した、
179名の患者を登録してその後の経過を観察し、
そのうちの14名は経過フォローを拒否し、
22名はその後にPCR検査が再度陽性となったため除外して、
結果として143名の解析を行なっています。

その結果平均で60.3日の経過観察において、
体調不良の症状が全くなかったのは、
全体の12.6%に当たる18名のみで、
残りの87.4%の患者さんは、
その後も体調不良の症状が持続していました。

最も多かったのは全身倦怠感で53.1%、
呼吸困難が43.4%、関節痛が27.3%、
胸部痛が21.7%と続いていました。
44.1%の患者さんはこうした症状により、
生活の質が低下していました。
発熱などの急性症状を呈したケースは認められませんでした。

このように、
検査が陰性化して臨床的には治癒とされた患者において、
8割を超える比率でだるさなどの症状が、
平均で2か月以上持続していました。

これが新型コロナウイルス感染症の、
何らかの特徴によるものなのか、
それとも他の感染症後の体調不良と、
同じ性質のものなのか、
ストレスに起因する心因反応のようなものなのか、
と言った点はまだ不明ですが、
多くの回復後の患者さんが、
こうした症状に苦しんでいること自体は、
おそらくは事実で、
今後この現象をより詳細に解析し、
より大規模な検証を行なって、
その原因に迫る必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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