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「透明人間」(2020年新作) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
透明人間.jpg
久しぶりに映画館に映画を観に行きました。

これはひねりのあるシチュエーションスリラー、
「ソウ」シリーズの脚本を手がけた才人リー・ワネルが、
ウェルズ原作の古典SFスリラーである透明人間を、
現代化して新たに映画化したものです。

「透明人間」は1930年代にユニバーサル映画が、
一連のホラークラシックのシリーズの1つとして映画化し、
当時としては最新の特殊効果で評判になったものです。
その後何本か続編も作られています。
その後2000年に鬼才ポール・バーホーベンが、
「インビジブル」としてリニューアルしました。
これはバーホーベンらしい、
かなりの変態映画でなかなか楽しめました。

今回の作品はユニバーサル映画が、
かつての古典の「透明人間」をリニューアルするという企画で、
そこに「ソウ」のテイストが組み合わされたような作品になっています。

透明人間はどういう訳か、
いつも異常性格やサイコパスなんですよね。
それもちょっと間抜けなサイコパス。
これは原作のウェルズの作品自体がそんな要素があり、
「インビジブル」もそうした映画でした。

今回の「透明人間」は、
エリザベス・モス演じる女性が主人公で、
彼女は異常性格の天才科学者からDVを受けていて、
そこから命からがら逃げ出した後で、
そのDV男が自殺したことを知らされるのですが、
死んだ筈のその男の見えない影が、
彼女につきまとうようになるのです。

前半はサイコスリラーのような雰囲気で展開し、
透明人間は主人公の妄想であるようにも思われるのですが、
後半になり物語は俄然スリリングに動き出し、
予想より奥行きのある展開が待っています。
江戸川乱歩的テイストというのか、
ちょっと変態的な描写もマニアックで魅力的です。
イタリアのジャーロ的な雰囲気もありますね。

ただ、まあB級なんですよね。

あまり完成度は高くなく、
この人誰?というような人が急に出て来たり、
前半は特に展開がギクシャクしています。
オープニングの無言劇のように、
スタイリッシュで完成度の高い場面もあるのですが、
展開が滑らかではなく、
繋ぎの部分が弱いのですね。
ラストは「ソウ」シリーズでもお馴染みの、
「悪の継承」ということなのだと思いますが、
何となくモヤモヤする感じです。

基本的にマニア向きのスリラーで、
技巧的なサスペンスやホラーのお好きな方なら、
一見の価値があると思いますが、
普通に面白い映画が観たい、という方には、
あまり向かない映画であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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