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「アギーレ・神の怒り」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
アギーレ.jpg
ドイツの鬼才ヘルツォークが1972年に製作した、
「アギーレ・神の怒り」です。

日本公開は1983年なので現地公開の10年以上後です。
「地獄の黙示録」の元ネタの1つと言われていて、
それが公開のきっかけとなったように記憶しています。
観ると確かにそっくりなところがあるんですよね。

この映画が評判になったので、
その後何本かのヘルツォーク映画が日本でも公開され、
何度か特集上映も行われています。

ロードショーは岩波ホールだったと記憶していますが、
その時は観ることは出来ませんでした。
初見はビデオで、
その時から最も好きな映画の1本になりました。

16世紀にスペイン軍の部隊が、
アマゾンの奥地にあるというエル・ドラドを目指すんですね。
その分遣隊の副官のアギーレが、
上官に反逆して勝手に独立国を名乗ります。
それから、先住民の攻撃を受けながら、
数十人しかいないのに、
手製の筏で取り憑かれたように、
アマゾン川をさかのぼってゆきます。

ラストはたった1人になったアギーレが、
「世界の征服者になってやる」みたいなことを、
叫ぶ場面で終わります。
詳しくはネタバレになるので書きませんが、
ラストは現実が後退して幻想と狂気と妄執とが入り混じる、
ヘルツォークならではの極めつけの名場面です。
何度観ても凄いです。

登場するのはスペイン人とインディオなのに、
言葉はドイツ語なんですからかなりヘンテコなのですが、
如何にもアマゾンの奥地という感じの、
生々しい映像が凄いですよね。
オープニングの山を降りて来る俯瞰撮影など、
どうやって撮ったのかと不思議に思うくらい。
ジャングルや泥水の表現も凄まじいですね。

テンポは割合にスローなんですね。
展開もそれほどダイナミックという感じではないのです。
それでいて、主人公達が絶望的に死に向かって進んでいる、
という雰囲気がリアルで力強いので、
観始めると画面に惹き込まれて、
主人公達と一緒にアマゾンを旅しているような気分になります。
ハリウッド製とは明らかに肌合いの異なる、
迫力やサスペンスの表現が当時はとても新鮮でした。
音楽もとても印象的で、
その後NHKのドキュメンタリーなどで、
定番の音効として使われました。

テーマは根拠のない人間の妄執みたいなものですね。
それが、どんどん現実離れして、
ある種観念的なものになってゆくのが面白いですね。
それを狂暴な自然の風景の中に置いた、
と言う点がこの映画の魅力です。

ヘルツォークの映画はどれも面白いのですが、
個人的には矢張り最初に観たこの作品が、
最も強く印象に残っています。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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