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新型コロナウイルスと血液型との関係 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルスと血液型.jpg
これは2020年4月11日にmedRxivに掲載された査読前の論文です。
medRxivというのはまだ査読前の論文を保存しているサーバーで、
今回のものはその重要性から、
その時点で公開されているものです。

査読を受けてチェックされた論文ではないので、
その内容の信頼性は、
現時点ではそれほど高いものではない、
という点には注意が必要です。

皆さんもその点はよくご理解の上お読み下さい。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の疫学には、
男性にやや多く発症しているなど、
まだ明確な理由の分かっていない臨床上の特徴があります。
そのうちの1つが、
血液型と発症リスクとの関連についての知見です。

ウイルス感染と血液型と言うと、
ノロウイルス感染症が有名です。
ノロウイルスは腸管の血液型抗原に結合するので、
非分泌型では感染しにくいという性質があり、
またそのタイプによっては、
特定の血液型で感染しやすさに差があります。

今回の新型コロナウイルスに関しては、
3月27付のmedRxivに中国での疫学データの解析結果が報告されていて、
それによると血液型がA型であると、
感染が起こり易く、
O型では起こり難い、
という結果になっていました。

今回の研究はニューヨークにおいて、
1559件の新型コロナウイルスPCR検査データ(陽性682件)を、
血液型毎に解析して、その傾向をみているものです。

その結果、
血液型がA型であると、そうでないより感染のリスクは、
1.338倍(95%CI: 1.072から1.672)有意に高く、
血液型がO型であると、そうでないより感染のリスクは、
20%(0.804;95%CI: 0.654から0.987)有意に低くなっていました。
これはいずれもRh陽性のみで成り立つ所見でした。

一般住民の分布と比較して、
新型コロナウイルス感染症の患者は、
A型とB型は多く、O型は少なくなっていました。

ただ、血液型と病気の重症度や死亡リスクとの間には、
有意な関連はありませんでした。

このように、
中国のみならずニューヨークの解析でも、
新型コロナウイルス感染症がA型に多く、
O型に少ないという傾向は認められていて、
その理由は現時点では不明ですが、
そうした現象のあること自体は、
ほぼ事実と言って良いようです。

今後感染メカニズムなどの知見がより蓄積されれば、
その原因もまた明らかになるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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