新型コロナウイルスは動物に感染するのか? [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
色々ありまして本日は遅い更新となります。
とてもブルーで何処かに遁走したい気分ですが、
行くところもないので仕方がありません。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Science誌に2020年4月8日にウェブ掲載された、
新型コロナウイルスの動物への感染感受性を検証した論文です。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が、
コウモリを宿主とするコロナウイルスに、
非常に強い相同性を持っていることから、
コウモリ由来のウイルスが変異したものではあることは、
ほぼ間違いがありません。
ただ、それではコウモリから直接人に感染したのか、
それとも何か他の動物を間に介して感染したのか、
という点については明確ではありません。
今回の研究では、
人間の多くのウイルスが感染するイタチ(フェレット)と、
人間のペットである犬や猫、
食べる機会の多い豚、鶏、七面鳥に、
今回の新型コロナウイルスを実験的に感染させ、
その動態を比較検証しています。
その結果、
犬、豚、鶏、七面鳥については、
その鼻腔にウイルスを感染させても、
体内での増殖は殆ど認められませんでした。
つまり、
犬、豚、鶏、七面鳥の体内では、
今回の新型コロナウイルスは増えることが出来ないようです。
一方でフェレットと猫は新型コロナウイルスに感染し、
その体内でウイルスが増殖して、
咳や発熱などの症状を出すことが確認されました。
フェレットについては、
上気道ではウイルスは増殖していましたが、
下気道での増殖は殆ど認められませんでした。
一方で猫では新型コロナウイルスは下気道でも増殖して肺炎を起こし、
猫から猫に空気感染(飛沫核感染)することも確認されました。
つまり、
猫は人間と同じか、
それ以上に新型コロナウイルス感染に罹りやすく、
証明はされていませんが、
猫から人間への感染も起こることが同時に示唆されます。
今回の新型コロナウイルスが、
その突起を体内のACE2に結合させて感染することは、
皆さんもご存じの事実ですが、
フェレットも猫も下気道にACE2が発現していて、
その塩基配列は2塩基の違いしかないので、
何故フェレットでは下気道感染が起こらないのか、
というのは興味深い現象で、
ひょっとするとそこに新型コロナウイルス克服のカギが、
隠れているのかも知れません。
いずれにしても猫が新型コロナウイルスの宿主となり、
感染を拡大させる可能性がある、
という知見は非常に重要なもので、
今後このことが大きな問題となる可能性を秘めていると思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
色々ありまして本日は遅い更新となります。
とてもブルーで何処かに遁走したい気分ですが、
行くところもないので仕方がありません。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Science誌に2020年4月8日にウェブ掲載された、
新型コロナウイルスの動物への感染感受性を検証した論文です。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が、
コウモリを宿主とするコロナウイルスに、
非常に強い相同性を持っていることから、
コウモリ由来のウイルスが変異したものではあることは、
ほぼ間違いがありません。
ただ、それではコウモリから直接人に感染したのか、
それとも何か他の動物を間に介して感染したのか、
という点については明確ではありません。
今回の研究では、
人間の多くのウイルスが感染するイタチ(フェレット)と、
人間のペットである犬や猫、
食べる機会の多い豚、鶏、七面鳥に、
今回の新型コロナウイルスを実験的に感染させ、
その動態を比較検証しています。
その結果、
犬、豚、鶏、七面鳥については、
その鼻腔にウイルスを感染させても、
体内での増殖は殆ど認められませんでした。
つまり、
犬、豚、鶏、七面鳥の体内では、
今回の新型コロナウイルスは増えることが出来ないようです。
一方でフェレットと猫は新型コロナウイルスに感染し、
その体内でウイルスが増殖して、
咳や発熱などの症状を出すことが確認されました。
フェレットについては、
上気道ではウイルスは増殖していましたが、
下気道での増殖は殆ど認められませんでした。
一方で猫では新型コロナウイルスは下気道でも増殖して肺炎を起こし、
猫から猫に空気感染(飛沫核感染)することも確認されました。
つまり、
猫は人間と同じか、
それ以上に新型コロナウイルス感染に罹りやすく、
証明はされていませんが、
猫から人間への感染も起こることが同時に示唆されます。
今回の新型コロナウイルスが、
その突起を体内のACE2に結合させて感染することは、
皆さんもご存じの事実ですが、
フェレットも猫も下気道にACE2が発現していて、
その塩基配列は2塩基の違いしかないので、
何故フェレットでは下気道感染が起こらないのか、
というのは興味深い現象で、
ひょっとするとそこに新型コロナウイルス克服のカギが、
隠れているのかも知れません。
いずれにしても猫が新型コロナウイルスの宿主となり、
感染を拡大させる可能性がある、
という知見は非常に重要なもので、
今後このことが大きな問題となる可能性を秘めていると思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。