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コロナウイルスは机の上でどのくらい生きているのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルスの物体上での生存期間.jpg
2020年のJournal of Hospital Infection誌に掲載された、
コロナウイルスのガラスやプラスチックなどの上での、
生存期間についてのレビューです。
生存というと語弊があるかも知れません。
これは感染を起こす可能性のある期間、
という意味でご理解下さい。

新型コロナウイルスによる感染症において、
問題になる点の1つは感染経路です。

感染は主に咳などによる飛沫感染と、
ウイルスが付着した物を触ることによる接触感染と考えられています。

接触感染で問題となる事項の1つは、
飛沫により机の上やドアのノブなどに付着したウイルスが、
どのくらいの期間感染力を持っているのか、
ということです。

実際今回の新型コロナウイルスが、
物の上でどのくらいの期間感染力を持つか、
という点についてのデータはまだ殆どありません。

今回の研究では、
これまでのSARS、MERS、
そしてそれ以外の風邪の原因となるコロナウイルスの、
同種の物体上での感染可能期間のデータをまとめて解析することで、
この問題において、
これまで分かっていることを整理しています。

その結果、
金属、ガラス、プラスチックなどの上での、
コロナウイルスの感染可能期間は、
2時間から9日の間に分布していました。

MERSコロナウイルスは、
最も感染可能期間は短く、
概ね48時間という報告が殆どです。

SARSコロナウイルスは、
24時間という短い報告もあるのですが、
4から5日というものが多く、
中には9日に及ぶというものもあります。

風邪のコロナウイルスでは、
2時間というものから9日まで、
かなりばらつきがあり一定していません。

消毒については、
62から71%のエタノール、0.5%の過酸化水素、
0.1%の次亜塩素酸ナトリウムの使用により、
1分以内にウイルスは不活化されます。

以上は敢くまで、
今回の新型コロナウイルスの知見ではない、
と言う点に注意が必要ですが、
現状ではこうした知見を元に、
その性質を推測して対応しているのが実際なのです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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