SSブログ

新型コロナウイルスの目を介した感染リスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルスの目からの感染リスク.jpg
Br J Ophthalmol 誌に2020年2月21日にウェブ掲載された、
新型コロナウイルスの、
目からの感染リスクについての解説記事です。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染は、
中国本土のみならず、
日本、韓国、イタリアでも広がりを見せ、
その世界的な深刻度も増していることは、
皆さんも良くご存じの通りです。

欧米の医学の一流誌も、
連日のようにこの問題の記事や論文を載せていますが、
正直この2月に入って以降、
それほど特筆に値するような情報はありません。
実際世界の一般的な認識よりも、
日本の状況は遙かに先を行っているので、
今既に発表されてる情報は、
もう周回遅れのように思えてしまうのかも知れません。

今回の解説記事は短いものですが、
時々指摘されることがある、
新型コロナウイルスの目の粘膜(結膜)
からの感染の可能性についてまとめたものです。

新型コロナウイルスの人から人への感染は、
物を介した接触感染と飛沫感染が主体であると、
考えられています。

これはいずれも、
鼻や咽を介してウイルスが身体に侵入する、
ということを意味しています。

しかし、SARSやMERSの感染の検証でも、
それでは説明が困難な感染事例があり、
皮膚や粘膜を介した感染の可能性が、
推測されることがありました。

粘膜面を介しての感染として、
最も可能性があるのは目の結膜からの感染です。
SARSとMERSのいずれも、
明確に目の粘膜からの感染は証明されていません。
しかし、SARSの感染者の涙から、
PCRでウイルス遺伝子が検出された、
という報告はあり、
これは目からの感染の可能性を示唆するものです。

また、風邪症候群の原因であるコロナウイルスNL63では、
その小児感染事例の17%でウイルス性結膜炎が認められた、
という報告もあります。

新型コロナウイルスの患者と濃厚な接触をした医療者では、
防護服やN95マスクなどを使用した感染対策を取っていても、
感染を防げなかった事例が報告されています。

現時点でその感染経路は不明ですが、
今後は粘膜や体液を介した感染の可能性についても、
その予防に充分な配慮をする必要があるのではないか、
というのが上記論考の結論となっています。

要するに、
現時点で証明はされていませんが、
新型コロナウイルスが目の結膜を介して感染する可能性は、
決して否定は出来ないものなのです。

だからどうするのか、
日常診療もゴーグルを付けてしないといけないのかしら、
と診療の前に考えても埒が明かないのですが、
手指消毒や換気や接触感染予防などに留意しつつ、
結膜も感染のリスクがあることを念頭に置きながら、
可能な限りの慎重さを持って、
今日も診療には当たりたいと思っています。

でもね、怖いのは風邪ですね。
少しでも風邪症状があったら、
診療は止めてクリニックも閉めるのが正解なのかしら。
今の指針は要するにそういうことですよね?
違うのかな?
幸い今は風邪症状はないのですが、
明日はもう分からないですよね。

まあ明日のことは明日考えるしかないですね。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(1)