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「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ドン・キホーテ.jpg
テリー・ギリアム監督が30年前から撮影に取り掛かるも、
数々の困難があって完成されなかった作品が、
当初の構想そのままではないのだと思いますが、
2017年に何とか完成して、
今回日本でも地味に劇場公開の運びとなりました。

テリー・ギリアム監督の作品は、
「バンデットQ」、「未来世紀ブラジル」、
「バロン」、「12モンキーズ」辺りは観ています。
どれも結構トラブル続きで撮影され、
予算がなかったり、短縮版で公開されたりと、
曰くつきのものが殆どです。

そのせいか作品自体も、
いつも何かモヤモヤとした仕上がりで、
「ええっ。こんなだったのに、こんなになって、このまま終わっちゃうの?」
というような感じの作品が多いですよね。
一部で絶賛される批評家の方がいらっしゃるのですが、
どうなのかな、
正直そこまで好きではありません。

今回の作品は「ドン・キホーテ」が下敷きですが、
舞台は現代で、
アダム・ドライバー演じるCM監督の主人公が、
10年前に大学の卒業制作として、
現地の靴職人の老人を主人公として、
「ドン・キホーテを殺した男」という映画を撮り、
それがきっかけとなって、
その老人は自分が遍歴の騎士と思い込むようになり、
10年後に行き詰まったCM撮影現場で、
その老人と再会して、
疑似的な「ドン・キホーテ」が再開される、
という捻った趣向になっています。

基本的にはフェリーニの「81/2」なんですよね。
行き詰まった映画監督がウロウロして、
過去の自分の幻想の産物や、
エロチックな妄想に囚われるという話。
ただ、テリー・ギリアムは、
そこにドタバタ・コメディの要素を、
隙あらばという感じで盛り込むので、
それが内容とあまりかみ合っていなくてイライラするのと、
幻想世界のビジュアルも、
それほど魅力的には仕上がっていません。
ちょっと劣化版のフェリーニという感じ。

最後に巨人が出て来るのですが、
かなり安っぽいんですよね。
テリー・ギリアム監督は他の作品にも巨人が出て来ますが、
いずれも安っぽいのは意図的なのかしら。
でも、せっかく大作感があるのに、
ラストにこれじゃな、という気分には、
どうしてもなってしまいます。

そんな訳で面白い部分はありながらも、
いつものギリアム作品と同じように、
「もうちょっと何とかならなかったのかしら」
という印象を強く感じさせる映画でした。

マニアの方のみにお勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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