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川村毅「クリシェ」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。
ただ、老人ホームの診療と訪問診療には出掛ける予定です。

ふーっ…

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
クリシェ.jpg
第三エロチカ時代から、
映画的でスケールの大きなアングラ芝居を、
その都度形は変えながらも一貫して作り続けて来た川村毅さんが、
その劇作40周年と還暦を記念した公演の一環として、
旧作のアングラ芝居「クリシェ」を、
装いも新たに再演しました。

川村毅さんのお芝居は、
正直それほど熱心なファンという訳ではありません。

深浦加奈子さんや有園芳記さんが在籍していた頃の舞台は、
多分「ボディ・ウォーズ」1本しか観ていません。
その後「ジョーの物語」など何本か観ましたが、
映画の台本のようなお話が、
活字として読んでいる分には面白いのですが、
実際の舞台になると、
映画のような舞台面にはならないので、
どうも物足りなく感じてしまうのです。

ただ、最近の劇作は少し力が抜けた感じで、
特に唐組と乾電池のコラボ公演に書き下ろした、
「嗤うカナブン」という舞台は抜群に面白くて、
川村さんを見直した気分になりました。
(失礼な表現をお許し下さい。)

今回の作品は、
徹底して悪趣味と様式美に振った、
今時珍しい残酷見世物的アングラ芝居で、
「何がジェーンに起こったか」と「サンセット大通り」という、
ハリウッドカルトの名作を下敷きに、
老いたかつての名女優の姉妹を、
川村毅さん自身と花組芝居の加納幸和さんが外連味たっぷりに、
アングラ女形として演じ、
他にも奇怪な人形など、
ギミック満載の楽しい舞台に仕上がっています。

内容はオリジナルのストーリーを超えるものはないので、
最後の殺人人形の登場が少し盛り上がる程度で、
正直もう一押し欲しかったな、
という印象はあります。

会場となったあうるすぽっとは、
こうした濃密なお芝居を上演するにはいささか大きく、
装飾もかなり無機的な感じで、
これももう少し小空間で、
雰囲気のある小屋で観たかったな、
という思いはありました。

今回は何と言っても、
主役の1人を演じた川村さん自身の演技が素晴らしくて、
不気味な女装でダミ声を張り上げ大暴れする姿は、
これはもう生ける「日本のアングラ」そのものの姿として、
それは強く心に焼き付くことになったのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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