鵺的「悪魔を汚せ」(2019年再演版) [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は中村医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
アングラ色の強い舞台が魅力の鵺的が、
2016年に初演されて好評であった「悪魔を汚せ」を、
ほぼオリジナルキャストで再演しています。
高木登さんによるドロドロの家庭崩壊劇を、
アングラ演出では当代随一の演出家寺十吾(じつなしさとる)さんが、
外連味たっぷりに演出しています。
これは歴史のある製薬会社の創業者の一族が、
当主である老人の死をきっかけにして、
家族同士の闘争が加速し、
屋敷は燃え尽き終焉を迎えるという物語です。
一応現代に時間は設定されているようですが、
とても現代という感じではなく、
ゴシックロマンや横溝正史の作品を彷彿とさせるような物語です。
子供たちの世代が悪魔として暗躍するというのも、
古典的なミステリーを想起させるような趣向です。
ただ、内容に意外性のあるような展開はほぼないので、
ミステリーに傾斜している感じはあまりありません。
正直同じような話が続くので、
退屈に感じる部分はあります。
最初に「家族の嫌な姿を思う存分見せる」
というようなことをセリフで言ってしまうので、
観客としてはどうしても過度な期待を持ってしまい、
「その割には…」という感想になってしまいます。
より過激なものを、と期待をしてしまうのです。
その辺りは構成にもやや問題があるように感じました。
途中で明らかになる家族の秘密と称するものも、
とてもありきたりなのでガッカリします。
ただ、ラストに至る展開の意外性と、
ラストに対決する2人の少女が、
絶叫しつつ終わるというのはとても面白くて、
この部分は斬新で一気に覚醒するような思いがありました。
作家としての高木さんの個性が良く表れた、
名シーンであったと思います。
キャストはトータルにはなかなか頑張っていたと思います。
ただ、親子の年齢差があまりない感じなので、
設定に違和感を感じるという部分はありました。
しかし、作者の高木さんも若者3人をそのままのキャストで再演したかった、
と言われているので、
それは承知の上であったのかな、
という気はしました。
特筆するべきは矢張り演出で、
狭い空間に作り込んだ、
奥行と立体感のあるセットも素晴らしいですし、
闇と光を巧みに使った効果も抜群です。
来年もまた高木さんの作品と寺十さんの演出で、
新作が予定されているようですから、
これはもう最大の期待を持って待ちたいと思います。
アングラ小劇場の好きな方には絶対の贈り物です。
臭って来るような血みどろ家族崩壊劇で、
観劇の夜の悪夢に登場することは確実の、
「残る」芝居です。
ただ、明るさや軽みや笑いや勧善懲悪などの要素は皆無で、
通常の倫理観を踏みにじるようなところがありますから、
「まっとうな感覚のお芝居」を希望される向きには、
全く向いていないということは、
補足しておきたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は中村医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
アングラ色の強い舞台が魅力の鵺的が、
2016年に初演されて好評であった「悪魔を汚せ」を、
ほぼオリジナルキャストで再演しています。
高木登さんによるドロドロの家庭崩壊劇を、
アングラ演出では当代随一の演出家寺十吾(じつなしさとる)さんが、
外連味たっぷりに演出しています。
これは歴史のある製薬会社の創業者の一族が、
当主である老人の死をきっかけにして、
家族同士の闘争が加速し、
屋敷は燃え尽き終焉を迎えるという物語です。
一応現代に時間は設定されているようですが、
とても現代という感じではなく、
ゴシックロマンや横溝正史の作品を彷彿とさせるような物語です。
子供たちの世代が悪魔として暗躍するというのも、
古典的なミステリーを想起させるような趣向です。
ただ、内容に意外性のあるような展開はほぼないので、
ミステリーに傾斜している感じはあまりありません。
正直同じような話が続くので、
退屈に感じる部分はあります。
最初に「家族の嫌な姿を思う存分見せる」
というようなことをセリフで言ってしまうので、
観客としてはどうしても過度な期待を持ってしまい、
「その割には…」という感想になってしまいます。
より過激なものを、と期待をしてしまうのです。
その辺りは構成にもやや問題があるように感じました。
途中で明らかになる家族の秘密と称するものも、
とてもありきたりなのでガッカリします。
ただ、ラストに至る展開の意外性と、
ラストに対決する2人の少女が、
絶叫しつつ終わるというのはとても面白くて、
この部分は斬新で一気に覚醒するような思いがありました。
作家としての高木さんの個性が良く表れた、
名シーンであったと思います。
キャストはトータルにはなかなか頑張っていたと思います。
ただ、親子の年齢差があまりない感じなので、
設定に違和感を感じるという部分はありました。
しかし、作者の高木さんも若者3人をそのままのキャストで再演したかった、
と言われているので、
それは承知の上であったのかな、
という気はしました。
特筆するべきは矢張り演出で、
狭い空間に作り込んだ、
奥行と立体感のあるセットも素晴らしいですし、
闇と光を巧みに使った効果も抜群です。
来年もまた高木さんの作品と寺十さんの演出で、
新作が予定されているようですから、
これはもう最大の期待を持って待ちたいと思います。
アングラ小劇場の好きな方には絶対の贈り物です。
臭って来るような血みどろ家族崩壊劇で、
観劇の夜の悪夢に登場することは確実の、
「残る」芝居です。
ただ、明るさや軽みや笑いや勧善懲悪などの要素は皆無で、
通常の倫理観を踏みにじるようなところがありますから、
「まっとうな感覚のお芝居」を希望される向きには、
全く向いていないということは、
補足しておきたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。