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サムゴーギャットモンテイブ「NAGISA 巨乳ハンター/広島死闘編」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日はもう1本忘れないうちに演劇の話題です。
それがこちら。
サムゴー巨乳ハンター.jpg
劇団員のいない山並洋貴さんの1人劇団、
サムゴーギャットモンテイブのヒット作、
「NAGISA 巨乳ハンター」が、
新たに「NAGISA 巨乳ハンター/広島死闘編」として、
規模を拡大して今日まで上演されています。

これはオリジナルの「NAGISA 巨乳ハンター」が、
2年前に上演されていて、
その時に観ています。
2年前のオリジナルは1時間くらいの中編で2本立ての1本でしたが、
今回はそれを元にして、
よりお話を膨らませて1時間40分ほどの、
1本立て興行として復活させています。
題名は続編のようなのですが、
実際にはリニューアルでの再演です。

巨乳ハンターは、
貧乳のヒロインが巨乳の宇宙人などと戦う漫画ですが、
この作品は副題からも分かるように、
東映の仁義なき戦いとさそりのシリーズがベースになっています。
登場する女性は殆どが貧乳で、
巨乳のヤクザと戦うというへんてこりんな設定です。
今回は個々のキャラの人間ドラマ(と言っても真面目なものではない)と、
時間SF的設定が加わって、
ラストは無限ループのような楽しいクライマックスに帰着します。

間違いなく2年前の初演より面白く、
キャストも充実していて、
皆伸び伸びとふざけているのが素晴らしいのです。

上演場所のシアター711は、
元々映画のミニシアターだったので、
オンボロな割にムードがあり、
今回はそこに小さな回り舞台を配して
(と言ってもただの大きなお盆ですが…)、
それと黒いカーテンという、
最小限の舞台装置で、
お盆を色々なスピードで人力で廻すことにより、
巧みに舞台転換を成立させています。
それを後半になると時間の移動と置き換えるのがクレヴァーで、
ラストはシベリア少女鉄道を観ているようなテイストもありました。
(「残酷な神が支配する」のアレです)

座組は主役の田中渚さんがスレンダーな魅力で素晴らしく、
前回から再登板の巨乳ヤクザの面々も、
迫力押しの楽しい芝居で舞台を支えています。
こちらも再登板の塚田詩織さんは、
前回より演技もこなれていて、
より役柄にフィットしていました。
ただ、さすがに前回のような、
キワドイ観客サービスはありませんでした。

それに加えてコケティッシュで、
アニメから抜け出したような赤猫座ちこさんや、
捕まってしまう劇団員を、
等身大(?)で演じた伊藤貴史さんなど、
今回参加組も個性豊かで楽しめました。

前回も思いましたが、
この個性的な座組を1つにまとめ上げた、
作・演出の山並さんの手腕はなかなかのもので、
猥雑でちょっとエッチでデタラメでエネルギッシュな、
ほぼ理想的な小劇場活劇を成立させていました。

昔、演劇団などが上演していた舞台に、
テイストとしては近いのですが、
クオリティとセンスという面では、
今回の作品の方が数段レベルの高いものでした。

客席は何か誤解をしているのか、
それとも誤解をしていないからそうなのか、
エッチな冴えない中高年の男性が殆どで、
入場前は「止めときゃ良かった」という気分にもさせられたのですが、
入ってみると同化してしまいました。
そう言えば毛皮族も、
かつてエロを売りにしていた時は、
こんな感じの客席でした。

そんな訳で小劇場でしか存在し得ない楽しい舞台で、
久しぶりに小劇場愛に全身を一杯にすることが出来ました。

お好きな方だけのお楽しみです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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根本宗子「プレイハウス」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
プレイハウス.jpg
根本宗子さんがパルコ・プロデュース公演として、
新作「プレイハウス」を、
今池袋の芸術劇場プレイハウスで上演しています。

最近は根本さんの作品はほぼほぼ全部観ています。

最近の出来は玉石混交という感じで、
小空間での密度の濃い素晴らしいお芝居がある一方、
キャストの豪華なこの間の「クラッシャー女中」のように、
ちょっと意図不明の、
明らかな失敗作という感じの作品もありました。

今回は企画公演で劇場は大きいのですが、
10人組のアイドルグループが、
自分達を模したようなショーパブの風俗嬢を演じ、
その店の店長や客、ホストという男たちと、
バトルを繰り広げるという、
根本さんの得意パターンの群像劇で、
過去にもスーパー限定のアイドルと、
その仕掛人の男たちとのバトル、
というような似通った設定の作品があり、
今回はその豪華拡大版といった感じの舞台です。

内容はなので新味はないのですが、
根本さんならではの世界が確立していて安定感があり、
今回は意図的にベタな設定も多くて、
ラストも破格なくハッピーエンドで終息するので、
万人向きの娯楽作に仕上がっていたと思います。

GANG PARADEというアイドルグループのメンバーが、
なかなか個性的で1人1人が魅力的ですし、
演技も悪くなく、
歌と踊りもふんだんにあって見応え聴き応えがありました。
この10人をきちんと描き分けていて混乱のない辺りは、
集団劇を得意とする根本さんの面目躍如という感じがします。

根本さんのお芝居の男性キャストは、
大体が女性陣にとっちめられ、
哀れに泣きわめいたり許しを請うのが定番の、
言ってみれば損な役回りなのですが、
今回メインの磯村勇斗さんは、
もともと善玉悪玉の両者を演じられる色悪的資質を持っているので、
役柄には合っていて悪くありませんでした。

そんな訳で、
万人向きの楽しい舞台に仕上がっていて、
それでいて根本さんの色はしっかり出ていますし、
やや守りに入った感じはありますが、
まずは成功と言ってよい作品だと思います。

偉そうな言い方すいません。
これからも頑張ってく下さい。

それではこの話題はこのくらいで。
今日もう1本あります。

石原がお送りしました。
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