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食事と2型糖尿病リスクとの関係(2019年のアンブレラレビュー) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2型糖尿病と食事の関連.jpg
2019年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
2型糖尿病を予防する食事についての論文です。

2型糖尿病の発症に、
食事などの環境要因が大きく影響していることは、
間違いのない事実です。

ただ、それではどのような食事を摂れば、
最も糖尿病になりにくいのか、
という点については、
多くの臨床データや疫学データはあるものの、
互いに相反するような結果も多く、
データの信頼度も玉石混交で、
あまりクリアな結論が出ているとは言えません。

そこで今回の研究では、
これまでの臨床データや疫学データを、
まとめて解析したメタ解析の複数の論文を、
更にまとめて解析する、
アンブレラレビューと呼ばれる手法により、
これまでの「集合知」としてこの問題を検証しています。

これまでのデータをまとめて解析した結果として、
精製していない全粒穀物の摂取は、
1日の摂取量を30グラム増やすことで、
2型糖尿病の発症リスクを13%(95%CI: 0.82から0.93)、
穀類(シリアル)由来の食物繊維の摂取は、
1日の摂取量を10グラム増やすことで、
2型糖尿病の発症リスクを25%(95%CI:0.65から0.86)、
それぞれ有意に低下させていました。

つまり、全粒穀物を多く摂ることで、
2型糖尿病のリスクを下げることが出来る、という結果です。

また、1日12から24グラムのアルコールの摂取は、
2型糖尿病の発症リスクを25%(95%CI:0.67から0.83)、
これも有意に低下させていました。

つまり、ちょっと議論を呼ぶところですが、
1日1合程度のアルコールは、
糖尿病の予防になるという結果です。

一方で糖尿病のリスクを増加させる食品としては、
赤身肉を1日100グラム摂取することで17%(95%CI:1.08から1.26)、
加工肉を1日50グラム摂取することで37%(95%CI:1.22から1.54)、
ベーコン2枚で107%(95%CI:1.40から3.05)、
砂糖加糖飲料1本で26%(95%CI:1.11から1.43)、
それぞれ2型糖尿病の発症リスクを有意に増加させていました。

このように、
ベーコンやソーセージなどの加工肉が、
糖尿病のリスクとしてかなり大きい、
ということはほぼ間違いがなさそうで、
現状の予防策としては、
白いパンや白米よりも、
玄米や全粒粉のパンを食べ、
加工肉は極力避け、
赤身肉の摂り過ぎにも気を付ける、
というくらいが、
現状は科学的根拠のある糖尿病予防のための食事、
と言って良いようです。
アルコールは1日1合程度はむしろ悪くない、
というデータが多いのですが、
他の病気のリスクは上げる可能性もありますから、
ケースバイケースで考える必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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