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脳卒中の生涯リスクの地域差 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
脳卒中の生涯発症リスク.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
世界規模での脳卒中の地域差を分析した論文です。

脳卒中には地域差があるという話は以前からありますが、
実際にそれが信頼のおける大規模データによって、
検証された事例はあまりありません。

今回のデータは世界規模の大規模な疫学データを活用したものですが、
世界規模で25歳以降の脳卒中の生涯リスクが推計されています。

それによると、
2016年における世界全体での脳卒中の生涯リスク(25歳以降)は、
24.9%(95%CI: 23.5 から26.2)でした。
男女別では男性では24.7%(95%CI: 23.3から26.0)、
女性では25.1%(95%CI: 23.7から26.5)と明らかな性差は認められません。

脳卒中の生涯リスクが最も高かったは、
中国などの東アジアで38.8%、
次がリトアニアなどの中央ヨーロッパで31.7%、
それに続くのがウクライナなどの東ヨーロッパで31.6%でした。

一方で脳卒中の生涯リスクが低かったのは、
サハラ砂漠より南のアフリカ大陸で11.8%でした。

それを図示したものがこちらになります。
脳卒中の生涯発症リスクの図.jpg
暖色で色が濃いほどリスクが高い地域、
ということになります。

ただ、この図では日本は比較的リスクの低い地域となっていますが、
特に出血系梗塞に関しては、
日本の発症リスクは高いという常識が一方ではあり、
この結果は日本に関しては、
やや疑問を感じないでもありません。

いずれにしてもこのような世界規模の検証は非常に貴重で、
今後の臨床研究などにおいても、
大きな影響を与えるものではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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