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アスピリン使用によるCOPDの予後改善効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
COPDにおけるアスピリンの有効性.jpg
2018年のChest誌に掲載された、
慢性の肺疾患に対するアスピリン使用の効果についての論文です。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、
主に喫煙に伴って、
肺に慢性気管支炎などの肺の炎症が起こり、
それが気道の細菌感染などをきっかけとした急逝増悪を繰り返し、
肺気腫へと進行して呼吸不全に至る、
という病気です。

このCOPDに対しては、禁煙に加えて、
抗コリン剤や気管支拡張剤、ステロイド剤などの吸入が、
呼吸機能の改善や急性増悪の予防目的で使用されています。

ただ、COPDは全身の炎症性疾患という側面があるのですが、
現行の治療は気道の局所の炎症を抑えるには有効でも、
全身の炎症に対しては有効ではありません。

そのために、
全身の炎症への対応として、
マクロライド系の抗菌剤の継続使用や、
スタチンの使用が試みられていますが、
抗菌剤には耐性の問題や聴力低下などの有害事象の問題があり、
スタチンの有効性は、
精度の高い臨床試験にておいては確認されていません。

低用量のアスピリンには抗血小板作用や抗炎症作用があり、
COPDにアスピリンを使用すると、
未使用と比較して生命予後が改善することを、
示唆する疫学データが存在しています。
しかし、データは限られていてその詳細も不明です。

そのため今回の研究では、
COPDの患者さんの疫学データを活用して、
503組のアスピリン未使用と使用のペアにより、
アスピリンの使用がCOPDの予後に与える影響を検証しています。

その結果、
アスピリンの使用により、
COPDの急性増悪のリスクは22%(95%CI: 0.65から0.94)
有意に低下していました。
ただ、救急外来受診や入院を要するような、
重症の事例に限って解析した場合には、
そのリスクの低下は有意ではなくなりました。

また患者さんの呼吸困難度やQOLについても、
アスピリン使用群で改善する傾向を示しました。

このように今回の解析では、
アスピリン使用がCOPDの予後に、
一定の改善をもたらす可能性が示唆されました。

アスピリンには出血系の合併症などの有害事象もあり、
今後より精度の高い介入試験を実施して、
患者さんにとって有効性と安全性のバランスの問題が、
解決されることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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高感度CRPと肺癌リスクとの関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
CRPと肺癌.jpg
2018年のBritish Medical Journals誌に掲載された、
炎症反応の検査値と肺癌のリスクとの関連についての論文です。

CRPというのは、
炎症に伴って肝臓で産生される蛋白質で、
炎症の急性期に高値となることから、
その血液濃度の測定は、
「炎症反応」と呼ばれて臨床に広く使用されている検査です。

通常その値は、
0.3mg/dL以下であれば正常と判断されていますが、
近年高感度CRPと言って、
0.01mg/dLまで正確に測定出来るようになると、
通常の基準値であれば正常値であっても、
それがやや高いということが、
身体の状態にとって意味があるのではないか、
という知見が多く報告されるようになりました。

動脈硬化の進行に伴う、
心筋梗塞や脳卒中のような心血管疾患では、
その進行度によって、
高感度CRPが上昇する、
という知見があります。

また、肺癌を含む複数の癌において、
矢張り高感度CRPが上昇しているという知見が報告されています。

今回の検証は喫煙歴や癌の組織型を分けて、
肺癌と高感度CRPとの関連をみたものです。

アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカにおける、
20種類の疫学データをまとめて解析したもので、
5299名の肺癌と診断された患者さんを、
年齢などをマッチさせた同じ5299名のコントロールと比較しています。

その結果、
肺癌と診断されるリスクと高感度CRPとの間には、
喫煙歴のない非喫煙者では、
明確な関連は認められませんでした。
その一方で現在の喫煙者では、
高感度CRP値が2倍に増加することにより、
肺癌のリスクが9%(95%CI: 1.05から1.13)、
喫煙歴のある非喫煙者でも9%(95%CI: 1.04 から1.14)と、
それぞれ有意な肺癌リスクの増加が認められました。

肺癌の組織型との比較では、
腺癌では明確な関連は認められませんでしたが、
小細胞癌と扁平上皮癌においては、
特に喫煙歴のある非喫煙者において、
高感度CRPとの間に有意な関連が認められました。

この高感度CRPと肺癌リスクとの関連は、
特にCRP測定後1から2年の間の、
肺癌発症リスクと高い相関を示していました。

このことから、
高感度CRPの上昇で推測される、
身体の軽度の炎症は、
肺癌の原因であるというより、
その初期診断のマーカーとしての意味を持っている可能性が高い、
と推察されました。

炎症反応の上昇は、
様々な病気によっても引き起こされるものなので、
高感度CRPの計測を肺癌の早期診断に利用する、
というのは実現性は低い考え方であるように思いますが、
組織型や喫煙歴によっても、
高感度CRPの数値と肺癌リスクとの関連に差がある、
という今回の知見は興味深く、
今後の知見の蓄積を待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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高齢者への長期の運動習慣の健康効果(2018年のメタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談などに都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
高齢者への運動の効果のメタ解析.jpg
2018年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された、
高齢者が定期的に運動することの効果についてのメタ解析の論文です。

定期的に運動の習慣を持つことが、
筋肉量を維持して骨折を予防し、
心血管疾患や認知症の予防にもなることは、
これまでの多くの疫学データや観察研究により、
ほぼ確立された事実です。

ただ、1年以上の長期の運動習慣が、
高齢者に与える影響というように限定すると、
それほど裏打ちとなるデータが豊富にある訳ではありません。

2014年のJAMA誌に掲載された、
LIFE(ライフ)研究は、
その数少ない介入試験のデータです。
それがこちらです。
高齢者への運動の効果ライフ研究.jpg
ここでは70歳から89歳の一般住民1635名を登録し、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は健康維持の指導のみを行ない、
もう一方は週に2回(家庭では3から4回)の運動を行なって、
平均で2.6年の経過観察を行なっています。

その結果、
400メートルの歩行が困難となるような身体機能低下は、
運動療法群で28%有意に予防されていました。
しかし、その一方で病気での入院や死亡は、
むしろ運動療法群で多い傾向が認められました。

高齢者の身体機能の低下は様々ですから、
画一的に運動を強制するようなことを行なっても、
かならずしも高齢者のトータルな予後を、
改善することには結び付かない可能性もある、
という問題を示唆する結果です。

今回の研究はその後に発表されたデータも含めて、
60歳以上の高齢者を対象に、
1年以上の運動療法の効果を検証した臨床データを、
まとめて解析する、スステマティック・レビューとメタ解析という手法で、
この問題の現時点でのまとめを行なっています。

これまでの46の臨床研究における、
22709名のデータをまとめて解析した結果として、
概ね週に3回程度のエアロビックやバランス体操を取り入れた運動療法は、
転倒のリスクを12%、
外傷性転倒のリスクを26%、それぞれ有意に低下させ、
有意ではないものの骨折のリスクも低下させる傾向を示しました。
ただ、頻回の骨折や入院のリスク、
また生命予後の改善効果は有意には見られませんでした。

つまり、高齢者の長期の運動療法は、
ライフ研究単独と同様、
今回のメタ解析においても、
骨折や転倒のリスクの予防にはなっても、
明確に患者さんの生命予後や、
健康寿命の延長には結び付くとは言えないようです。

運動習慣は確かに高齢者においても、
転倒予防や筋力の維持などには有効ですが、
それ自体身体に負荷を掛ける行為ではあるので、
個々の高齢者の状態に応じて、
画一的ではなく、
きめ細かい個別の対応が必要な事項であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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血液アルコール濃度の規制値変更と飲酒運転予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アルコール濃度と飲酒運転予防効果.jpg
2018年のLancet誌に掲載された、
血液アルコール濃度の基準値の変更が、
飲酒運転予防に与える影響についての論文です。

飲酒運転による自動車事故は、
日本でも最近大きな問題となっていますが、
海外でもその状況は同じで、
個々の国においてそれぞれの、
飲酒運転の規制の法律が施行されています。

ただ、検査においてどのレベルを超えるアルコールが検出されれば、
それを飲酒運転と見做すかという基準値には、
各国において少なからず違いがあります。

日本では血液のアルコール濃度が、
0.3mg/mL以上が飲酒運転(正確には酒気帯び運転)
の基準として使用されていますが、
これは世界でも厳しいレベルの基準値で、
欧米では0.8mg/mLを基準としていることが多く、
それが最近0.5mg/mLに厳しくなって来ている、
というのが実状であるようです。

基準値を厳しくすることには、
どのような効果があるのでしょうか?

一般的には法律で基準値を厳しくすることにより、
より少量のお酒でも捕まるということがある、
という認識が広まって、
飲酒後の運転により気をつけるようになり、
飲酒運転が減るという抑止効果があると、
そうした効果が期待をされています。

しかし、そうした効果は実際に証明出来るものなのでしょうか?

スコットランドにおいては、
2014年に血液アルコール濃度の基準値が、
0.8mg/mLから0.5mg/mLへと厳格化されました。

今回の研究では基準値厳格化前後の、
飲酒運転による事故や飲酒量などの疫学データ、および、
コントロールとして基準値が0.8mg/mLのまま固定されている、
イギリスやウェールズの疫学データも比較して、
基準値厳格化の影響を検証しています。

その結果、飲酒運転の基準厳格化の前後において、
バーやレストランでの個人の飲酒量は若干低下が認められましたが、
交通事故の頻度には明らかな違いはなく、
イギリスやウェールズとの比較では、
むしろ事故数は基準が厳格化したスコットランドで多い傾向がありました。

これはトータルな事故の件数を見たものですから、
これだけで基準値の厳格化が無意味とは言えませんが、
単純に基準を厳格化すれば、
それだけで飲酒事故が減ると考えるのは誤りで、
「飲んだら乗るな」の啓蒙活動を含めて、
飲酒運転の撲滅のためには、
その効果を含めて科学的かつ多角的な検証が、
必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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シャワーヘッドの汚染による非結核性抗酸菌症のリスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

クリニックは1月5日から、
いつも通りの診療を行っています。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
シャワーヘッドの汚染.jpg
2018年のmBio誌に掲載された、
シャワーヘッドの細菌汚染が身体に与える影響についての論文です。

シャワーや入浴は身体を清潔にして、
感染症の予防効果もあると一般的には考えられています。

実際入浴の温熱による免疫力の賦活作用や、
サウナによる肺炎予防効果などが報告はされています。

一方で浴室やシャワールームは、
感染のリスクのある場所でもあります。

循環系の浴槽では、
クラミジアのような特殊な細菌が繁殖し、
難治性の肺炎などの原因となることがあります。
浴室は湿気が多く、
カビなどが繁殖することにより、
その吸入により気管支炎や肺炎などを起こすこともあります。
病原体が微小な水滴と一緒に吸引されると、
より肺の奥まで病原体が吸引されるので、
感染のリスクが高いと考えられています。

シャワーは塩素消毒された水道水が、
勢いよく噴出して身体を洗うもので、
それだけ考えると清潔で、
感染症の問題などはないように思えます。

ただ、実際にはシャワーヘッドの部分などには、
澱などが溜まりやすい死角があり、
そこにムコ多糖などと一緒になった形で、
細菌がバイオフィルムという構造を形成すると、
消毒薬などにも抵抗性となり、
それが予期せぬ病気の原因となることもあるのです。

今回の研究ではアメリカやヨーロッパにおいて、
656家庭のシャワーヘッドを調査したところ、
高率に細菌のバイオフィルムが見つかり、
塩素消毒した水道水においては、
塩素に抵抗性の強い、
非結核性抗酸菌症という慢性気道感染を起こす細菌が、
高率に検出されました。

そこで非結核性抗酸菌症の罹患率と、
シャワーヘッドの培養結果との関連を見たところ、
シャワーヘッドで非結核性抗酸菌が検出された地域で、
非結核性抗酸菌症の罹患率が高い、
という傾向が認められました。

これはまだ間接的なデータに過ぎないので、
シャワーヘッドの感染が、
非結核性抗酸菌症の原因であるとは言い切れませんが、
身近なところに意外な危険が潜んでいる可能性がある、
という点については、
心に留めておく必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「スマホを落としただけなのに」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
スマホを落としただけなのに.jpg
昨年11月公開の映画ですが、
見落としていたので新年に劇場で観て来ました。
原作は先に読んでいました。

若い男性がスマホをタクシーに落としてしまい、
それをある人物に拾われてしまうところから、
次々とトラブルが、
その男性の恋人の身に降りかかります。

原作は多視点の構成で、
事件の犯人と、ヒロインと、警察の捜査、
という3つの視点が切り替わります。

基本的には猟奇殺人犯を巡るミステリーですが、
そこにスマホの情報を乗っ取られたり、
なりすましで被害に遭ったりといった、
現代的な情報が盛り込まれているのが特徴で、
印象的な題名も相まって、
ベストセラーになったのだと思います。

ただ、スマホの情報が悪用されるのは、
物語の中でそれほど大きな位置を占めてはいないので、
題名に偽りあり、という印象も少しあります。

映画版はほぼ原作に忠実で、
原作の怖さや面白さは、
比較的そのままに活かされていたと思います。
犯人の設定は悪くないと思うのですが、
その点もキャスティングを含めて、
上手く映像化されていたと思います。

ただ、中田秀夫監督の映画なのですよね。

まあ少し前にも「劇場霊」という、
仰天するような駄作を見ているので、
もうそう驚かないのですが、
かつてのジャパニーズホラーの神様が、
一体どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?
今回の演出も極めて凡庸で、
作家性の欠片もありませんでした。
作家性を出さないことを決めて仕事をされているのかしら?
今回もクライマックスは閉園した遊園地が舞台なのですから、
幾らでも遊べそうなのに、
何1つ面白いこともしていませんし、
魅力的なカットもありません。

今回の作品など得意ジャンルだと思うので、
とてもとても不思議でした。

それでも、監督の情報がなければ、
「まあこんなものかな」という程度には仕上がっていて、
ラストの処理はかなり杜撰で不自然でしたが、
それ以外は娯楽ミステリーの水準作として、
まずは楽しく見ることが出来ました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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月刊「根本宗子」第16号「愛犬ポリーの死、そして家族の話」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日からクリニックはいつも通りの診療になります。
今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
根本宗子2018年末.jpg
昨年も大活躍の根本宗子さんですが、
年末に本多劇場で行われた月刊「根本宗子」の新作公演に、
先日足を運びました。

根本さんと言えば、
昨年春の「紛れもなく、私が真ん中の日」が、
トラウマ少女群像劇の大傑作で、
とても感銘を受けました。
昨年のベストプレイに推しているくらいです。

それで今回の新作にも期待をしていたのですが、
残念ながら今回はあまりはじけた作品にはなりませんでした。

キャストもこれといった核のない地味なメンバーで、
おそらくは私小説的な側面のある家族のスケッチなのですが、
主人公の少女が家族の1人1人のエピソードを紹介する、
という構成が如何にも凡庸で回りくどく、
村杉蝉之助さん演じる怪しげな小説家のおじさんに、
少女が洗脳され影響されるというのも、
軽いスケッチ風に描かれるので、
深い描写に至りません。

いつもの演劇の枠を突き抜けるようなアジテーションもなく、
何か欲求不満のうちに終わってしまいました。

話が決して詰まらないということではなく、
人物スケッチに終始していて、
演劇的な展開や面白さが殆どないのが、
演劇としては致命的でした。

明らかな失敗作でしたが、
おそらく小説として書いた方が成功しそうな素材で、
今の根本さんは演劇より小説に振れているのかも知れません。

今年は「クラッシャー女中」というお楽しみもありますし、
他にも色々と企画が盛りだくさんのようなので、
次に期待して待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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2018年のオペラと声楽を振り返る [オペラ]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

本日までクリニックは年末年始の休診です。
明日からは通常の診療になります。

休みの日は趣味の話題です。

今日は昨年聴いたオペラと、
声楽のコンサートを振り返ります。

昨年聴いたオペラはこちら。
①東京春音楽祭「ローエングリン」(演奏会形式)
②イタリア・バーリ歌劇場「イル・トロヴァトーレ」
③新国立劇場「トスカ」
④オーケストラ・アンサンブル金沢「ペレアスとメリザンド」
⑤ローマ歌劇場「椿姫」
⑥ローマ歌劇場「マノン・レスコー」
⑦新国立劇場「魔笛」
⑧新国立劇場「カルメン」
⑨新国立劇場「フォルスタッフ」

2018年はあまりグッと来る舞台に出逢いませんでした。
ローマ歌劇場の2作品はまずまず充実した舞台であり演奏だったと思います。
2作品とも演出は面白くて、
特に「椿姫」の、
全ての場の間にきちんと幕間を取った、
堂々としてビジュアル的に豪華な舞台は、
最近場を繋いで幕間を減らすような演出が多いので、
とてもフレッシュに感じましたし、
これが本道だと改めて思いました。
日本にお金がなくなって、
大がかりな引っ越し公演のようなものがあまりなくなりましたから、
新国立劇場の持つ日本のオペラ界における位置は、
より大きな物となっているように感じます。
他に聴くものがないですからね。
ただ、カーテンコールを待たずに帰ってしまったり、
電話を鳴らしたりフライングの拍手をしたり、
マナーの悪い観客が大部分であるのにはうんざりします。

それから昨年は以下のような、
声楽のコンサートに足を運びました。
①東京春音楽祭 フォークトとクルーガーのリサイタル
②デジレ・ランカトーレ ソプラノリサイタル
③モイツァ・エルトマン ソプラノリサイタル

こちらも例年より少ない回数です。
リサイタル自体は皆良かったのですが、
実際大物の来日は減りましたし、
腰も重くなったのが実際でした。
それから良質なリサイタルを主催していた、
東京プロムジカがプロムジカさんの急逝でなくなってしまう、
という切ないニュースもありました。
お悔やみを申し上げます。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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2018年の演劇を振り返る [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

お正月、皆さん如何お過ごしでしょうか?

今日は昨年の演劇を振り返ります。

昨年は以下の公演に足を運びました。

1.別冊「根本宗子」第6号「バー公演じゃないです。」(再演)
2.歌舞伎座一月大歌舞伎夜の部
3.「テロ」
4.T-WORKS#1「源八橋西詰」
5.柿喰う客「俺を縛れ!」
6.伊東四朗コントライブ「生きるか死ぬか!」
7.唐組×東京乾電池コラボ公演「嗤うカナブン」
8.アガリスクエンターティメント「卒業式、実行」
9.「密やかな結晶」
10.オフィスコットーネプロデュース「夜、ナク、鳥」
11.「岸 リトラル」
12.三谷幸喜「江戸は燃えているか」
13.三浦大補「そして僕は途方に暮れる」
14.細川徹「さらば!あぶない刑事にヨロシク」
15.財団法人親父倶楽部「死んだと思って生きてみる」
16.TEAM NACS「PARAMUSHIR」
17.劇団☆新感線「修羅天魔~髑髏城の七人 Season極」
18.タクフェス「笑う巨塔」
19.「悪人」(2人芝居)
20.「火星の2人」
21.サモ・アリナンズ「ホームズ」(再演)
22.「PHOTOGRAPH51(フォトグラフ51)」
23.城山羊の会「自己紹介読本」(再演)
24.ナイロン100℃「百年の秘密」(再演)
25.シスカンパニー公演「ヘッダ・ガブラー」
26.月刊「根本宗子」第15号「紛れもなく、私が真ん中の日」
27.シベリア少女鉄道「今、僕たちに出来る事。あと、出来ない事。」(リニューアル)
28.マクドナー「ハングマン」(長塚圭史演出)
29.岩松了「市ヶ尾の坂」(再演)
30.カムカムミニキーナ「蝶つがい」
31.イキウメ「図書館的人生vol.4 襲ってくるもの」
32.ゴキブリコンビナート「情欲戦士ロボ単于」
33.山海塾「卵を立てることからー卵熱」(リ・クリエーション)
34.山海塾「金柑少年」(リ・クリエーション)
35.唐組第61回公演「吸血姫」
36.松尾スズキ「ニンゲン御破算」(再演)
37.ILLUMINUS selection「ナイゲン」
38.庭劇団ペニノ「蛸入道忘却ノ儀」
39.ジョンソン&ジャクソン「ニューレッスン」
40.ナイロン100℃「睾丸」
41.「マクガワン・トリロジー」(小川絵梨子演出)
42.藤田貴大「BOAT」
43.ナカゴー「まだ出会っていないだけ」
44.谷賢一「1961夜に昇る太陽」
45.阿佐ヶ谷スパイダース「MAKOTO」
46.劇団鹿殺し「俺の骨をあげる」
47.マーム&ジプシー「BEACH」
48.港.ロッ区.「ロックの女」
49.カンニング竹山「放送禁止2018」
50.「シティ・オブ・エンジェルズ」(福田雄一演出)
51.tsumazuki no ishi ×鵺的合同公演「死旗」
52.ほりぶん「牛久沼3」
53.劇団チョコレートケーキ「ドキュメンタリー」
54.前川知大「ゲゲゲの先生へ」
55.唐組第62回公演「黄金バット~幻想教師出現~」
56.カミュ「誤解」(新国立劇場レパートリー)
57.ケラマップ「修道女たち」
58.ゴキブリコンビナートなど「見世物ナイト」
59.「銀杯」(森新太郎演出)
60.タクフェス「あいあい傘」
61.劇団チョコレートケーキ「遺産」
62.「魔界転生」(堤幸彦演出)
63.NODA・MAP「贋作 桜の森の満開の下」
64.ナイツ独演会「ワッショイでない事だけは確か」
65.悪い芝居「メロメロたち」
66.「民衆の敵」(ジョナサン・マンビィ演出)
67.劇壇ガルバ「森から来たカーニバル」
68.城山羊の会「埋める女」
69.「ロミオとジュリエット」(クドカン演出)
70.唐十郎「腰巻お仙 振り袖火事の巻」(小林七緖演出)
71.月刊「根本宗子」第16号「愛犬ポリーの死、そして家族の話」
72.ジョビジョバ「keep on talking」(トークライブ)
以上の72本です。

映画と同じく本数は前年より少し減りました。
年の後半はかなりバタバタしていて、
もう少し観たい演劇があったのですが、
だいぶ観ることを断念しました。
歌舞伎は時間的に観るのは無理がありました。

今年の私的なベスト5はこちらです。
基本的に初演を対象としていますが、
再演でも大きく演出が変わっていたり、
前回の上演から時間が経っているものは含んでいます。

①月刊「根本宗子」第15号「紛れもなく、私が真ん中の日」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-05-03
2018年も精力的に活躍された根本さんですが、
若手俳優の群像劇として、
集団創作的な趣向に挑戦したこの新作が、
最も優れた舞台成果だったと思います。
途中でメインキャストが降板して、
根本さんが代役に立つ日があるなど、
舞台の出来には凹凸があったようですが、
僕が観た日はオリジナルキャストで、
素人に近い少女達の瑞々しいエネルギーと、
根本さんの緻密で老練とも言える演出とが、
見事に噛み合った素晴らしい舞台でした。
ここまで完成度が高く、躍動感に満ちた小劇場の舞台は、
そうざらにはありません。
内容的にも小児期のトラウマが、
その後の青春を支配するという根本さん得意のドラマで、
彼女のキャリアの中でも、
特筆するべき仕事であったと思います。
冬の本多劇場の新作は少人数の家庭劇で、
ホームグラウンドに戻った感じですが、
あまり舞台は弾みませんでした。

②唐組×東京乾電池コラボ公演「嗤うカナブン」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-02-11-1
これは2大劇団の精鋭のコラボというのも楽しいですし、
川村毅さんの台本が洒脱で力の抜けた楽しいもので、
それを受けた柄本明さんの演出が、
またバッチリと決まっていました。
おじさんだけの座組なのですが、
後半シュールになるハードボイルドタッチの物語が楽しく、
久しぶりに唐組関連の舞台に登場した、
稲荷卓央さんの芝居も感涙ものでした。
小劇場好きの方には絶対の贈り物です。
本当にいい芝居でした。

③ナイロン100℃「睾丸」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-07-15
2018年も精力的に活動を続け、
25周年記念公演として再演と新作が上演されました。
いずれも完成度の高い素晴らしい舞台でしたが、
特に新作のこの作品は非常に先鋭で刺激的な舞台で、
とてもとても感銘を受けました。
学生運動にのめりこんでいた学生が中年となり、
かつてを総括せざるを得ないような事件が起こる、
という物語ですが、
1993年を舞台にする、という辺りが巧みで、
現在からも過去からも距離を取り、
より普遍的で切実な青春と惜別と虚無のドラマとしていました。
演出も素晴らしく、
かつての大島渚映画を観ているような刺激がありました。
ケラさんの新たな挑戦とも言える力作です。
凄かった!

④tsumazuki no ishi ×鵺的合同公演「死旗」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-09-15
鵺的の高木登さんというのは、
独特の過激で病的なお芝居を書く人です。
アングラ演出では当代随一の寺十吾さんが演出に当り、
極めて刺激的で挑発的でグロテスクで暴力的な舞台が誕生しました。
何処とも知れない闇の部落で、
女を奪い合い犯し合う壮絶な抗争が展開されます。
明らかに昔のアングラとは肌合いの違う世界ですが、
この腹を括った悪趣味と過激の競演は、
これも小劇場の愉楽であることは間違いがありません。
ラストの愚者の行進のカタルシスは、
新たなアングラ芝居の誕生を告げる奇観でした。

⑤「PHOTOGRAPH51(フォトグラフ51)」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21
今年観た翻訳劇の中では、
最も好きだった1本で、
主役を演じた板谷由夏さんもなかなかでしたし、
シンプルな演出も良かったと思います。
ノーベル賞を巡る科学者の仁義なき競争に、
冷徹な仮面の下に愛を渇望する孤独な魂を秘めた、
1人の女性の人生を絡めた作劇は、
ほぼ日本人劇作家には書けない世界で、
それだけでも上演する価値はあります。
あまり評判にはなりませんでしたが、
繊細で良い芝居だったと思います。

これ以外には、
ベスト5には入れませんでしたが、
唐組の30周年記念公演として上演された2本は、
いずれも唐先生の戯曲の魅力を、
存分に感じさせる出来映えでした。
それから谷賢一さんによる福島原発事故を俯瞰する3部作の1作目は、
緻密な取材に裏打ちされた意欲作でした。
演出の小劇場的な安易さが、
作品の質を下げていたのが少し残念です。

今年何本くらいの舞台に出逢えるでしょうか?
一期一会の思いで作品に対したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良いお正月をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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2018年の映画を振り返る [映画]

新年おめでとうございます。

北品川藤クリニックの石原です。

今年もよろしくお願いします。

今日は昨年観た映画を振り返ります。
昨年映画館で観た映画がこちらです。

1.ビジランテ
2.バーフバリ 王の凱旋
3.プラハのモーツァルト
4.南瓜とマヨネーズ
5.希望のかなた
6.ルイの9番目の人生
7.スリー・ビルボード
8. 花がたみ
9.RAW 少女のめざめ
10.デトロイト
11.犬猿
12.シェイプ・オブ・ウォーター
13.ビガイルド
14.15時17分、パリ行き
15. ゆれる人魚
16.祈りの幕が下りる時
17.しあわせの絵の具
18.ラッキー
19.娼年
20.グレーテスト・ショーマン
21.ハッピーエンド
22.パシフィック・リム アップライジング
23.女は二度決断する
24.レディ・プレイヤー1
25.君の名前で僕を呼んで
26.サバービコン
27.ウィンストン・チャーチル
28.蚤取り侍
29.虎狼の血
30.友罪
31.ファントム・スレッド
32.ビジョン
33.万引き家族
34.羊と鋼の森
35.ハン・ソロ
36.アローン
37.もりのいる場所
38.パンク侍、斬られて候
39.男と女の観覧車
40.未来のミライ
41.ジュラシック・ワールド 炎の王国
42.菊とギロチン
43. コード・ブルー
44.人間機械
45.カメラを止めるな
46.サマー・ウォーズ
47. おおかみこどもの雨と雪
48. 検察側の罪人
49. ペンギン・ハイウェイ
50. 寝ても覚めても
51. かさね
52. プーと大人になった僕
53. クワイエット・プレイス
54. アントマン&ワスプ
55. バッド・ジーニスト
56. 来る!
57. ボヘミアン・ラプソディ
58. アリー スター誕生
59. くるみ割り人形と秘密の王国
60. ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生
61.羊の木(後から追加。実際には8と9の間で鑑賞)

以上の61本です。
昨年より減っていて、
これは時間が取れなかったで仕方がありません。
特に10月と11月は殆ど映画が観られませんでした。
去年は正直色々なことがやりきれずに、
嫌なことも多くて辛い1年でした。
今年はもう少しいいことがあると良いのですけれどね…。
結構見逃している作品も多いので、
特に年の後半はかなり補足が出来ていません。
昨年も日本映画をなるべく多く観たいと思っていて、
26本観ているので、
これは昨年より少し多くなっています。
ただ、マイナーな作品でガッカリすることが多くて、
今年はあまり邦画は観ないかも知れません。

良かった5本を洋画と邦画とに分けて、
エントリーしてみます。
2018年に公開された新作に限っています。

それではまず洋画編です。

①スリー・ビルボード
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-02-04
アイルランドの天才劇作家マクドナーの監督作品で、
現代社会の暴力の連鎖を、
彼ならではの切り口で描いた素晴らしいアメリカ映画でした。
イーストウッド監督の最盛期に匹敵する切れ味で、
役者も良く本当に感銘を受けました。
アイルランドの感性が紡いだ新時代の西部劇、
アイリッシュ・ウェスタンと称すべきかも知れません。
2018年のベストは揺るがないところです。

②しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-03-25
カナダの国民的画家で、
リウマチの持病のあるモード・ルイスという女性の生涯を、
何の取り柄もない粗暴な男との、
とてもささやかな愛情の物語として描いた、
人生の素晴らしさに満ちた見事な傑作です。
本当に良い映画を観たという感動に、
心から浸らせてくれる絶品です。
主役のサリー・ホーキンスが抜群に良く、
夫役のイーサン・ホークも絶妙です。

③ハッピーエンド
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15-1
オーストリアの一筋縄ではいかない名匠、
ミヒャエル・ハネケ監督の新作で、
彼が老人の目から、
SNSでしか世界と対話出来ない少女を描いた作品です。
ラストは真の意味で衝撃的でした。
ハネケでしか描き得ない世界観に没入する映画です。

④ボヘミアン・ラプソディ
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-12-16-1
今年は音楽映画の当たり年と言って良いと思います。
中でもこの作品はその熱量では一番で、
クイーンを知る人にも知らない人にも、
その魅力が十全に伝わる素敵な作品でした。
かなり荒っぽく、俗っぽいドラマではあるのですが、
ラストのライブを再現した場面は、
間違いなく映画史に残る圧倒的なクライマックスでした。
大画面と大音響で是非。

⑤アリー スター誕生
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-12-23-1
5本目は「グレーテスト・ショーマン」とどちらにしようか悩みました。
2作品ともなかなかレベルの高い音楽映画でした。
年末に観たこの作品は、リメイクですが、
アメリカ映画の良さがよく出ていて、
なかなか感銘を受けました。
音楽も良かったですし、
主役2人の芝居もなかなか良かったと思います。

今年はそれ以外に、
アカデミー賞の「シェイプ・オブ・ウォーター」や、
ヨーロッパ的変態映画の「ファントム・スレッド」が印象的でした。
ウディ・アレンの「男と女の観覧車」も、
彼ならではの完成度で良かったですね。
ホラーでは「RAW 少女のめざめ」というのが、
度肝を抜く悪趣味の極地のような変態映画で、
これには相当驚きました。
それでいて意外に良く出来ているのです。

それでは次は邦画の私的ベストです。

①万引き家族
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-06-16
今年の邦画と言えば矢張りこの作品だと思います。
是枝監督の作品としても抜群の完成度で、
現代社会を活写すると共に、
かつての日本映画のエッセンスのようなものも含まれています。
役者も皆良かったですね。
今年観た邦画の中で完成度はピカイチです。

②パンク侍、斬られて候
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-07-14-1
町田康さんの筒井康隆テイストの時代劇を、
宮藤官九郎さんが脚本を書いて石井岳龍さんが演出した作品です。
これはクドカンが本人で監督する、
というのもありだと思うのですが、
石井さんが監督したことが結果としては成功だったと思います。
石井さんはこの前の「蜜のあはれ」も良かったですし、
物語の通底音に独特の「闇」があって、
それが今回の作品にはマッチしていたと思います。
後半に喋る猿が出て来る辺りの不気味さと、
あれよあれよと秩序が崩壊してカオスとなる壮絶さは、
時代劇でありながら、
まさに現代の恐怖を描いた映画でした。
個人的には2018年の邦画の中で一番好きです。
ただ、クライマックスのCGシーンは、
ちょっと完成度に問題があったと思います。

③カメラを止めるな!
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-08-05
今年一番話題になった邦画と言えば、
矢張りこの作品です。
演劇的なワンアイデアのチープな作品なのですが、
素材とアイデアが絶妙にマッチングしていて、
安っぽいので却って面白いという、
とても計算しても得られないような、
不思議な怪作が誕生したのです。
三谷幸喜さん的な世界ですが、
三谷さんの映画より数段成功していて、
三谷さんはくやしがっているだろうな、
と勝手に想像しています。

④羊と鋼の森
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-06-24
これはとても繊細である意味地味な原作を、
ほぼ忠実に原作をリスペクトする感じで映像化した、
愛すべき作品だと思います。
山崎賢人さんを始めとするキャストがまた素晴らしくて、
しっとりと心に残る映画に仕上がっていたと思います。
唯一駄目だったのは久石譲さんの主題曲でした。

⑤虎狼の血
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-06-03-1
これは白石和彌監督による、
正調東映ヤクザ映画で映像的には非常に見応えがありました。
ただ、原作が主人公が途中であっさり殺されてしまう、
という映画としては如何なものかな、と思うストーリーなので、
映画はもう少し派手にしてはいるものの、
原作の弱さが出てしまったかな、
という感じはありました。
また「仁義なき戦い」や「アウトレイジ」などの、
引用のようなパクリのような場面が多く、
もっとオリジナルな雰囲気のものが、
観てみたかったな、というようには思いました。

日本映画は洋画以上に昨年は見落としているので、
これ以外にも良い作品はあったと思うのですが、
数少ないうちでも、
ガッカリするような映画が多かった、
というのも実感でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良いお正月をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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