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ビゼー「カルメン」(2018年新国立劇場レパートリー) [オペラ]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
カルメン2018.jpg
新国立劇場のレパートリーとして上演された、
ビゼーの「カルメン」を聴いて来ました。

「カルメン」はフランス・オペラとしては最もポピュラーな作品で、
音楽は誰でも知っていますし、その認知度は高いのですが、
意外に上演時間は長くて、
風俗描写的な部分が多いので、
初めて聴いて退屈して寝てしまう、
という人が多い作品でもあります。

また、タイトルロールのカルメンには、
男なら誰でも一目惚れして当然、
というような圧倒的なオーラが必要とされるので、
納得の出来るようなキャストに出会うことは滅多にありません。
歌の聴かせどころは意外に少なくて、
カスタネットを叩いて踊ったりもしないといけないので、
歌で聴かせる、というタイプの歌手では駄目なのです。

これまでに6回くらい生で聴いていますが、
納得のゆくカルメンに出会ったことはまだありません。

スターの闘牛士が出て来るのですが、
彼の歌がまた難物で、
何故かたどたどしく盛り下がってしまうことが殆どで、
これも納得のゆく歌唱を聴いたことは皆無です。

今回の上演はもう多分4回くらいは上演している、
鵜山仁さんの演出による舞台ですが、
鵜山さんの演出は保守的で地味で暗くて、
あまり好みではありません。
この舞台は鵜山さんとしては、
比較的派手で色彩感もある部類ですが、
お金の都合なのか4幕とも同じ壁のセットなのが如何にも詰まらず、
特に4幕は闘牛場の門の前という抜群のセンスで、
スペクタクルにも演出出来るところなのに、
ただ抽象的な門があるだけのセットで、
地味でガッカリしてしまいます。

今回の上演はカルメン役に、
イタリアの新鋭ジンジャー・コスタ=ジャクソンがキャスティングされていて、
初登場の瞬間から、イメージするカルメン通りのビジュアルに、
感心する思いがありました。
ハバネラの最初の歌い出しなど、
ゾクゾクするような興奮があります。
ただ、ハバネラ自体は今ひとつ膨らみには欠ける歌唱でした。
演技とビジュアルは申し分なのですが、
また歌唱にはカルメンの風格はありませんでした。
それでも伸びしろを感じる素敵なカルメンでした。
対するドン・ホセにはボリショイの若手オレグ・ドルコフで、
透明感のある声が役柄にフィットしていました。

音楽と合唱は優等生的ですがレベルは高く、
まずは満足のゆくカルメンだったと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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