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朝食抜きのリスクとそのメカニズム [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午後は5時で診療受付を終了させて頂きます。
受診予定の方はご注意下さい。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
朝食抜き生活の代謝異常のメカニズム.jpg
2018年のPLOS ONE誌に掲載された、
朝食抜きの食生活による代謝異常のメカニズムを検証した、
動物実験の論文です。
名古屋大学の研究グループによる研究です。

「朝食を抜くと太る」というのは、
比較的良く聞く食生活の常識的意見です。

そのために、
1日3食をしっかり摂るという食生活が推奨されます。

しかし、そこにはどれほどの科学的根拠があるのでしょうか?

こちらをご覧下さい。
朝食抜き生活のリスク.jpg
最初の論文にも引用されている知見ですが、
2013年のPublic Health Nutrition誌に掲載されたものです。
スウェーデンにおける16歳の年齢から27年という、
長期間の疫学データを活用して、
16歳時の朝食抜きの食生活が、
43歳時の肥満やメタボリックシンドロームと、
どのような関連があるのかを検証したものです。

その結果、朝食を食べないことは、
中年期のメタボリックシンドロームのリスクを、
1.68倍(95%CI: 1.01から2.78)、
中心性肥満のリスクを1.71倍(95%CI: 1.00から2.92)、
空腹時血糖のリスクを1.75倍(95%CI: 1.01から3.02)、
それぞれ相関は弱いものの有意に増加していました。

このように、朝食抜きの食生活は、
肥満やメタボの誘因になるというデータはあるのですが、
時間がかなり経ってから影響する、
というようなやや回りくどいもので、
差が付いていると言っても、
かなり微妙な差というレベルです。

最初にご紹介した論文は、
朝食抜きがメタボになるということを、
事実として前提とした上でのネズミの実験ですが、
朝活動してからすぐに食事を摂ることと比較して、
4時間後に餌を与えることで朝食抜きを再現すると、
体内時計が狂って脂質代謝が乱れ、
食事の時の体温上昇も低下していた、
という結論になっています。

ただ、データを見るとその差はかなり微妙な感じです。

要するに「朝ごはんを食べないと不健康で太る」というのは、
そうしたデータも確かにあるのですが、
それほど科学的に実証された現象とまでは言えず、
そのメカニズムもそれほど明確ではないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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