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水を飲むことで膀胱炎は予防出来るのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
水の膀胱炎予防効果.jpg
2018年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された、
水を多めに飲むことが、
膀胱炎の予防になるのかどうかを、
科学的に検証した論文です。

これは他愛なく思えますが、
臨床的には重要な知見です。

膀胱炎などの尿路感染症は女性には非常に多い症状で、
その原因の多くは大腸菌の感染によるものです。

そのため、症状の早期改善のために、
通常抗菌剤による治療が行われます。

ただ、この症状は繰り返すことが多く、
抗菌剤を使用しても、
必ずしも再発の予防効果は実証されていません。

それでは、効率的に尿路感染症を予防する方法はないのでしょうか?

一般の方と医療者の双方が、
水を沢山飲むことを、
日々の習慣として勧めています。

しかし、その有効性は、
実はあまり科学的に検証されたものではありません。

そこで今回の研究はアメリカにおいて、
過去1年間に3回以上の膀胱炎の治療歴のある女性で、
1日の飲水量が1.5リットル未満である140名を登録し、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は1日1.5リットル以上の水を飲むことを指示し、
もう一方は特にそうした指示はせずに、
1年間の経過観察を行っています。

定期的に尿量と浸透圧を測定して、
飲水量が守られているかどうかと、
危険のあるような飲み方がされていないかを検証しています。

その結果、
1年間の平均の膀胱炎発症回数は、
1.5リットル以上の飲水指示群では1.7回であったのに対して、
コントロール群では3.2回で、
飲水の指示により、
膀胱炎発症回数は差し引き1.5回(95%CI: 1.2から1.8)
有意に抑制されていました。
抗菌剤の使用頻度も同様に抑制されていました。

このように、
特に腎臓の病気などのない方であれば、
1日の飲水量を1.5リットル以上に調整することで、
膀胱炎の予防には一定の有効性があるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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