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電気自動車と心臓埋め込み機器の安全性について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
電気自動車と心臓.png
2018年のAnnals of Internal Medicine誌に掲載されたレターですが、
電気自動車と医療機器の安全性についての短報です。

携帯電話が普及した時には、
病院内での使用は他の医療機器に影響を与える、
という懸念があり、
その使用は禁止をされていました。
ただ、その後携帯電話の端末の進歩もあり、
医療機器との電磁気的な干渉は殆どない、
という研究結果が明らかになったことで、
その懸念はほぼ払拭されました。

唯一人工ペースメーカーや除細動器などの、
心臓に埋め込んで使用する医療機器については、
心臓に非常に近接した位置に電磁気の発生源があると、
その影響を完全には否定できない、
という考え方から、
電車などでは優先席付近での使用のみが制限されています。

ただ、これも新しい機器を使用する範囲においては、
ほぼ問題にはならないと考えられています。

最近電気自動車が実用化され、
ガソリン使用の自動車の環境問題などもあって、
今後急速にその使用が拡大する可能性があります。

電気自動車はその性質上、
充電や放電の際には強力な電磁波の発生源となります。

それでは、この電気自動車による電磁場は、
心臓埋め込み機器に誤作動などを起こす危険はないのでしょうか?

今回の小規模な研究では、
人工ペースメーカーや除細動器などの、
心臓埋め込み機器を連続使用している、
心臓病の患者さん150名を対象として、
BMW、日産、テスラ、フォルクスワーゲンという、
代表的な電気自動車メーカー4社の製品で、
その充電や運転時の電磁波の強さと、
心臓埋め込み機器に対する影響を検証しています。

その結果、
4社全ての製品において、
現状使用されている心臓埋め込み機器に、
誤作動などの影響は認められませんでした。
ちなみに電磁場の強度は、
充電時に最も強く、
30.1から116.6μテスラと算出されています。

こうした電磁波を発生させるような身近な機器は、
今後更に増えることが想定され、
想定外の医療機器への影響が、
起こる可能性はないとは言えません。
今後もこうした検証が丹念に行われることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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