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「娼年」(監督三浦大輔) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
娼年.jpg
全編変態的な濡れ場の連続という、
唖然とする趣向で観客の度肝を抜いた、
石田衣良さん原作、三浦大輔さん演出の「娼年」の舞台が、
同じ松坂桃李さんの主演でR指定の映画になりました。

これは一種の若者の成長物語で、
無為なアルバイト生活をしていた、
松阪さん演じるリョウという若者が、
会員制ボーイズクラブのオーナーの女性に目を付けられ、
女性達に買われてその欲望を満たす、
という仕事を続ける中で、
人間的な成長を果たすという、
真面目なのか不真面目なのか分からないようなところもある話です。

全編殆どセックス場面のみが連続するのですが、
それでいてお話自体は極めてまっとうで、
道徳の教科書みたいなところもあるのが面白いのです。

2016年の舞台版では、
多くのキャストがほぼ全裸の熱演で、
精液が乱れ飛び、フェラチオの音が響くという、
今考えても規格外の舞台でした。

今回の映画版は、
ラストの一部を除いては、
ほぼ原作や舞台版を丁寧に踏襲した作りになっていて、
青を強調したスタイリッシュな映像は、
ちょっと北野武を思わせるところもあります。
主役の松坂桃李さん以外に、
江波杏子さんが舞台と同じキャストで、
それ以外は映画版オリジナルのキャストになっています。

問題は全編に繰り広げられる性行為の描写で、
性器を映さないのは勿論ですが、
暗い場面でモヤモヤした感じにしか見えませんし、
あまり生々しくもなくリアルでもありません。
それではそこに別個の美意識が感じられるのかと言うと、
そうしたものもあまりないように感じました。
何より性行為をしているようにはあまり見えません。
下着を着けたまま挿入しているようなところもありますし、
意図したものなのかどうか、
スポーツのような動きでリアルさが皆無なのです。

これで良かったのでしょうか?
大いに疑問です。

舞台版のボーイズクラブのオーナーは、
高岡早紀さんで、
紗幕越しですが全裸での絡みもあったのですが、
今回は真飛聖さんで絡みは全くなく、
無機的で艶っぽいところもないので、
舞台版の方が確実に良かったなあ、と思いました。
ラスト近くで興奮するところなど、
あまりに滑稽で悲しくなってしまいました。

三浦大輔さんはこの作品で、
本当の意味での映画監督としての力量を、
試されたという面があると思うのですが、
舞台となった場所のクレジットを入れながら、
移動撮影で見せるところなど、
わくわくする場面もあるのですが、
肝心の濡れ場に魅力がなく、
ちょっと腰砕けになったのは残念に思いました。

こうしたものがお好きな方だけに、
控えめにお薦めするくらいの作品です。
エロやAV的な興味で鑑賞されると、
ガッカリされることは確実です。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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