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コーヒーと大動脈弁狭窄症リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
コーヒーと大動脈弁リスク.jpg
2018年のNutrition, Metabolism & Cardiovascular Diseases誌に掲載された、
コーヒーの飲用と、
大動脈弁狭窄症という弁膜症のリスクについての論文です。

今日も故あってコーヒーの話題です。

コーヒーは以前には血圧や脈拍を増加させることから、
心臓病などのリスクであると考えられていましたが、
最近の大規模な複数の疫学データからは、
むしろ心血管疾患のリスクを減少させる効果が確認されています。

ただ、動脈硬化と関連のある弁膜症である、
大動脈弁狭窄症とコーヒーとの関係については、
これまでにあまりデータがありませんでした。

今回の研究は国民総背番号制を取るスウェーデンのもので、
71178名の一般住民のデータを解析し、
コーヒーの摂取量と大動脈弁狭窄症の発症リスクとの関連を検証しています。

その結果、
平均の観察期間15.2年の間に、
1295名の対象者が大動脈弁狭窄症と新規に診断されています。
年齢、性別、喫煙歴などの要素を補正した上で、
コーヒーの飲用習慣と大動脈弁狭窄症の発症リスクとの関連を見たところ、
1日のコーヒーの摂取量が0.5杯未満の場合と比較して、
コーヒーの摂取量が6杯以上では、
1.65倍(95%CI; 1.10 から2.48)有意にリスクが増加していました。
コーヒーの摂取量が多いほどそのリスクは高い傾向を示していましたが、
明確に有意な差があるのは、
1日6杯以上という最も多い群でのみでした。

これまでの結果を総合して考えると、
1日3から4杯くらいまでのコーヒーの摂取は、
大動脈弁狭窄症の明確なリスクではなさそうですが、
1日6杯を超えるようなレベルになると、
場合によりそのリスクが増加する傾向が否定出来ないと、
そう考えた方が良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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