血圧のセルフモニタリングの効果 [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2018年のLancet誌に掲載された、
血圧のセルフモニタリングの効果についての論文です。
高血圧の患者さんが自宅で自動血圧計を用いて、
定期的に血圧の測定を行い、
それを診療の時に持って来てもらって、
それを元にして薬の調節などを行うという方法は、
今では高血圧診療に携わる殆どの医師が、
日々の診療で行っていることだと思います。
こうした時に使用する血圧計は、
診療に必須の機器であることは間違いがありませんから、
健康保険で使用出来ても良いように思いますが、
あまりそうしたことが議論になることはなく、
患者さんが自己負担で購入をしなければいけません。
さて、血圧は1日の中でも変動するもので、
診察室などで測定する血圧は、
患者さんの緊張などによって、
その時だけ上昇する、ということも、
しばしばあることは誰でも経験していることです。
従って、その診察時の血圧は1つの参考としながらも、
患者さんが自己測定した血圧値を、
その都度活用して薬の調整や生活指導を行うことは、
極めて合理的な診療であることは間違いがありません。
しかし、実際にこうした血圧の自宅でのモニタリングは、
どの程度の効果があるのでしょうか?
また、自己測定の血圧値を、
どのように活用することが最も効果的なのでしょうか?
現状は医師によっても、
自己測定の血圧値の利用法は様々で、
特に一定のガイドラインのようなものがある訳ではありませんから、
その効果もあまり科学的な検証がされているとは、
世界的に見ても言えるものではありません。
今回の研究はイギリスにおいて、
142カ所のプライマリケアのクリニックの患者さんを登録し、
通常の診察室のみの血圧測定で、
血圧コントロールを行った場合と、
自己測定によるセルフモニタリングを活用した場合、
またセルフモニタリングと共に、
遠隔診療による指示を取り入れた場合とにくじ引きで分け、
12ヶ月の診療後にその効果の比較を行っています。
対象となっているのは35歳以上の高血圧の患者さんで、
3種類以上の降圧剤を併用していても、
上の血圧が140mmHg未満、下の血圧が90mmHg未満にならない、
血圧コントロール不良の場合で、
トータル1003例が3群に振り分けられています。
こちらが使用された自動血圧計です。
オムロンの海外製品ですが、
日本でも一般的なタイプです。
それからこちらをご覧下さい。
これがセルフモニタリングの患者さんに渡される、
判断材料となるシートです。
毎月の最初の1週間に朝2回、夜2回の血圧測定を行い、
それでその月の血圧の評価を行うのです。
血圧値が指定より高かったり低い時には、
48時間以内に主治医もしくは看護師に連絡をします。
遠隔診療の併用群では、
更に血圧値をウェブに記録した上で、
一定のアルゴリズムによる指示が伝えられる仕組みです。
その結果、12ヶ月の試験終了時の段階で、
通常の診察室血圧のみの診療では、
平均の収縮期血圧が140.4(SD16.5)mmHgであったのに対して、
セルフモニタリング単独群では137.0(SD16.7)mmHg、
遠隔診療併用群では136.0(SD16.1)mmHgとなっていて、
セルフモニタリング群では有意に血圧の改善が認められました。
そして、セルフモニタリング単独と遠隔診療併用では、
有意な効果の差は認められませんでした。
このように一定の有用性が、
自己測定によるセルフモニタリングにあることは、
ほぼ間違いがなく、
今後その手法の統一が、
その有用性を安定したものにするためには、
重要であるように思われます。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2018年のLancet誌に掲載された、
血圧のセルフモニタリングの効果についての論文です。
高血圧の患者さんが自宅で自動血圧計を用いて、
定期的に血圧の測定を行い、
それを診療の時に持って来てもらって、
それを元にして薬の調節などを行うという方法は、
今では高血圧診療に携わる殆どの医師が、
日々の診療で行っていることだと思います。
こうした時に使用する血圧計は、
診療に必須の機器であることは間違いがありませんから、
健康保険で使用出来ても良いように思いますが、
あまりそうしたことが議論になることはなく、
患者さんが自己負担で購入をしなければいけません。
さて、血圧は1日の中でも変動するもので、
診察室などで測定する血圧は、
患者さんの緊張などによって、
その時だけ上昇する、ということも、
しばしばあることは誰でも経験していることです。
従って、その診察時の血圧は1つの参考としながらも、
患者さんが自己測定した血圧値を、
その都度活用して薬の調整や生活指導を行うことは、
極めて合理的な診療であることは間違いがありません。
しかし、実際にこうした血圧の自宅でのモニタリングは、
どの程度の効果があるのでしょうか?
また、自己測定の血圧値を、
どのように活用することが最も効果的なのでしょうか?
現状は医師によっても、
自己測定の血圧値の利用法は様々で、
特に一定のガイドラインのようなものがある訳ではありませんから、
その効果もあまり科学的な検証がされているとは、
世界的に見ても言えるものではありません。
今回の研究はイギリスにおいて、
142カ所のプライマリケアのクリニックの患者さんを登録し、
通常の診察室のみの血圧測定で、
血圧コントロールを行った場合と、
自己測定によるセルフモニタリングを活用した場合、
またセルフモニタリングと共に、
遠隔診療による指示を取り入れた場合とにくじ引きで分け、
12ヶ月の診療後にその効果の比較を行っています。
対象となっているのは35歳以上の高血圧の患者さんで、
3種類以上の降圧剤を併用していても、
上の血圧が140mmHg未満、下の血圧が90mmHg未満にならない、
血圧コントロール不良の場合で、
トータル1003例が3群に振り分けられています。
こちらが使用された自動血圧計です。
オムロンの海外製品ですが、
日本でも一般的なタイプです。
それからこちらをご覧下さい。
これがセルフモニタリングの患者さんに渡される、
判断材料となるシートです。
毎月の最初の1週間に朝2回、夜2回の血圧測定を行い、
それでその月の血圧の評価を行うのです。
血圧値が指定より高かったり低い時には、
48時間以内に主治医もしくは看護師に連絡をします。
遠隔診療の併用群では、
更に血圧値をウェブに記録した上で、
一定のアルゴリズムによる指示が伝えられる仕組みです。
その結果、12ヶ月の試験終了時の段階で、
通常の診察室血圧のみの診療では、
平均の収縮期血圧が140.4(SD16.5)mmHgであったのに対して、
セルフモニタリング単独群では137.0(SD16.7)mmHg、
遠隔診療併用群では136.0(SD16.1)mmHgとなっていて、
セルフモニタリング群では有意に血圧の改善が認められました。
そして、セルフモニタリング単独と遠隔診療併用では、
有意な効果の差は認められませんでした。
このように一定の有用性が、
自己測定によるセルフモニタリングにあることは、
ほぼ間違いがなく、
今後その手法の統一が、
その有用性を安定したものにするためには、
重要であるように思われます。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。