アガリスクエンターテイメント「卒業式、実行」 [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
こだわりのコメディを上演し続けている、
アガリスクエンターテイメントの新作公演が、
今サンモールスタジオで上演されています。
この作品は2015年に同じ劇場で上演された、
「紅白旗合戦」という作品のリニューアル版です。
この初演は僕が最初に観たアガリスクの公演でしたが、
演技などには稚拙な点があったものの、
高校の卒業式で「君が代」を歌うかどうかで、
生徒の代表と教師が対立して議論をするという、
非常に難しい話題に挑戦し、
お互いに合意の出来る到達点に達する、
という段取りを、鮮やかにコメディにしていて、
とても感心しました。
特に一旦決裂した議論が、
最後になって奇策により合意に向かう辺りの段取りが巧みで、
これは新しい才能だとちょっと興奮すら感じたのです。
今回再演されるということでとても嬉しかったのですが、
前回から3年が経って、
劇団員の皆さんが高校生を演じるのは、
正直ちょっと厳しい感じがしたので、
前回の生徒役が先生役にスライドして、
生徒は若手を起用するのではないかしら、
完成度の高い台本でしたから、
基本ラインは変えずに行くのでは…
というように予想していたのですが、
実際にはその予想は全て外れました。
まず、熊谷有芳さんの生徒会長など、
劇団員の生徒役はその多くが初演と同じに生徒を演じ、
内容自体は大幅に書き換えられていて、
初演は卒業式直前のやり取りであったものが、
今回は直前から始まって、
卒業式開始後のドタバタにスポットが当てられていました。
三谷幸喜さんの「ショー・マスト・ゴー・オン」という、
東京サンシャインボーイズ時代の人気作があり、
これはトラブル続出の舞台を、
舞台袖から描いたものでしたが、
今回の作品はそのオマージュとなっていて、
舞台袖から卒業式のトラブルを回避する、
というものになっていました。
正直高校生役には違和感のあるメンバーも、
多かったことは確かですが、
今回はおそらくそれは承知の上で、
「学生役から卒業」というニュアンスもあったのではないか、
というように感じました。
熊谷さんの生徒会長も、
沈さんの美術部員に淺越さんの吹奏楽部員など、
名人芸を見る気分で楽しむことが出来ました。
ラスト前の伏線回収の部分など、
コメディとしての精度もなかなか冴えていて、
セットの工夫も面白く、
僕が今まで観たアガリスクの舞台の中では、
一番セットは充実していてプロ仕様になっていた、
と感じました。
ただ、正直なことを言えば、
無理矢理「ショー・マスト・ゴー・オン」に寄せた、
という感じがあって、
構成的にはやや破綻しているようにも感じました。
三谷さんの作品では、
舞台を続行しようという気持ちでは、
一致している中でのトラブルなので良いのですが、
今回の作品では、卒業式が始まっていてもなお、
君が代を歌うかどうかで揉めているので、
そこに更にトラブルというのが、
未整理な感じがして、
卒業式を無事乗り切ろう、
という気分で観客が一致しづらくなるからです。
初演を変えたいという思いは分かるような気もするのですが、
君が代を巡る生徒と教師の議論のドラマとしては、
前作のような形式の方が矢張り正攻法で、
今回のような作品にするのであれば、
素材も含めて完全な新作であって欲しかった、
というのが正直なところです。
今回の内容なら、卒業式を邪魔するものは、
君が代や国旗以外のトラブルで、
良かったのではないでしょうか。
キャストは皆好演で、
個人的にファンの熊谷さんの生徒会長は抜群でしたし、
今回は主演と言って良い、
榎並夕起さんの頑張りが光っていました。
そんな訳で初演版を愛する者としては、
ちょっと違和感を覚えるところはあったのですが、
アガリスク版「ショー・マスト・ゴー・オン」として、
いつもながら「熱量」の高い、
コメディ愛に満ちた力作であったことは確かで、
これからも活躍に期待をしたいと思います。
頑張って下さい!
何も出来ませんが陰ながら応援しています。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
こだわりのコメディを上演し続けている、
アガリスクエンターテイメントの新作公演が、
今サンモールスタジオで上演されています。
この作品は2015年に同じ劇場で上演された、
「紅白旗合戦」という作品のリニューアル版です。
この初演は僕が最初に観たアガリスクの公演でしたが、
演技などには稚拙な点があったものの、
高校の卒業式で「君が代」を歌うかどうかで、
生徒の代表と教師が対立して議論をするという、
非常に難しい話題に挑戦し、
お互いに合意の出来る到達点に達する、
という段取りを、鮮やかにコメディにしていて、
とても感心しました。
特に一旦決裂した議論が、
最後になって奇策により合意に向かう辺りの段取りが巧みで、
これは新しい才能だとちょっと興奮すら感じたのです。
今回再演されるということでとても嬉しかったのですが、
前回から3年が経って、
劇団員の皆さんが高校生を演じるのは、
正直ちょっと厳しい感じがしたので、
前回の生徒役が先生役にスライドして、
生徒は若手を起用するのではないかしら、
完成度の高い台本でしたから、
基本ラインは変えずに行くのでは…
というように予想していたのですが、
実際にはその予想は全て外れました。
まず、熊谷有芳さんの生徒会長など、
劇団員の生徒役はその多くが初演と同じに生徒を演じ、
内容自体は大幅に書き換えられていて、
初演は卒業式直前のやり取りであったものが、
今回は直前から始まって、
卒業式開始後のドタバタにスポットが当てられていました。
三谷幸喜さんの「ショー・マスト・ゴー・オン」という、
東京サンシャインボーイズ時代の人気作があり、
これはトラブル続出の舞台を、
舞台袖から描いたものでしたが、
今回の作品はそのオマージュとなっていて、
舞台袖から卒業式のトラブルを回避する、
というものになっていました。
正直高校生役には違和感のあるメンバーも、
多かったことは確かですが、
今回はおそらくそれは承知の上で、
「学生役から卒業」というニュアンスもあったのではないか、
というように感じました。
熊谷さんの生徒会長も、
沈さんの美術部員に淺越さんの吹奏楽部員など、
名人芸を見る気分で楽しむことが出来ました。
ラスト前の伏線回収の部分など、
コメディとしての精度もなかなか冴えていて、
セットの工夫も面白く、
僕が今まで観たアガリスクの舞台の中では、
一番セットは充実していてプロ仕様になっていた、
と感じました。
ただ、正直なことを言えば、
無理矢理「ショー・マスト・ゴー・オン」に寄せた、
という感じがあって、
構成的にはやや破綻しているようにも感じました。
三谷さんの作品では、
舞台を続行しようという気持ちでは、
一致している中でのトラブルなので良いのですが、
今回の作品では、卒業式が始まっていてもなお、
君が代を歌うかどうかで揉めているので、
そこに更にトラブルというのが、
未整理な感じがして、
卒業式を無事乗り切ろう、
という気分で観客が一致しづらくなるからです。
初演を変えたいという思いは分かるような気もするのですが、
君が代を巡る生徒と教師の議論のドラマとしては、
前作のような形式の方が矢張り正攻法で、
今回のような作品にするのであれば、
素材も含めて完全な新作であって欲しかった、
というのが正直なところです。
今回の内容なら、卒業式を邪魔するものは、
君が代や国旗以外のトラブルで、
良かったのではないでしょうか。
キャストは皆好演で、
個人的にファンの熊谷さんの生徒会長は抜群でしたし、
今回は主演と言って良い、
榎並夕起さんの頑張りが光っていました。
そんな訳で初演版を愛する者としては、
ちょっと違和感を覚えるところはあったのですが、
アガリスク版「ショー・マスト・ゴー・オン」として、
いつもながら「熱量」の高い、
コメディ愛に満ちた力作であったことは確かで、
これからも活躍に期待をしたいと思います。
頑張って下さい!
何も出来ませんが陰ながら応援しています。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。