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肥満と糖尿病が癌の発症に与える影響について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
BMIと糖尿病と癌.jpg
2018年のLancet Diabetes & Endocrinology誌に掲載された、
肥満と糖尿病とが癌のリスクに与える影響についての論文です。

BMIという指標で25を超える「過体重」と糖尿病は、
いずれも癌の発症リスクとなることが、
多くの精度の高い疫学データから確認されています。

過体重は2型糖尿病のリスクになりますから、
この2つのリスクは互いに影響を受け合っています。

今回の研究は2012年の時点において、
世界175カ国の疫学データをトータルで集計した、
非常に大規模なものですが、
BMIが25以上の過体重と糖尿病が12種類の癌の発症に与える影響を、
個別にまた複合的に検証しているものです。

その結果2012年に世界中で報告された、
14067894件の新規に診断された癌のうち、
5.6%に当たる792600件は過体重もしくは糖尿病の影響によって、
生じたものと推計されました。

過体重の影響と糖尿病の影響には差があり、
過体重は乳癌の6.9%、子宮体癌の31.0%に影響していたのに対して、
糖尿病は乳癌の2.2%、子宮体癌の10.8%の影響に留まっていました。
一方で糖尿病は肝臓癌の14.5%、膵臓癌の12.8%に影響していたのに対して、
過体重の影響は肝臓癌では10.1%、膵臓癌では5.8%に留まっていました。

これは必ずしも、
体重や血糖が減少すれば癌がそれだけ予防される、
というようにも言い切れないのですが、
過体重や糖尿病が、
世界的に癌のリスクとして大きなものである、
ということは事実で、
その影響は今後より大きくなることもまた、
ほぼ間違いのないことのように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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