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風邪ウイルスの感染はアレルギー鼻炎ではどう変わるのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ライノウイルスとアレルギー粘膜.jpg
2016年のClinical and Experimental Immunology誌に掲載された、
2種類の風邪ウイルスの感染の仕方が、
アレルギー性鼻炎の粘膜では、
どのように変わるかを検証した論文です。

これも花粉症と風邪との関連を示した、
一連の研究成果の1つです。

昨日と一昨日の記事でもご紹介しましたように、
インフルエンザの感染は、
鼻粘膜の防御機能の低下により、
アレルギー性鼻炎では起こりやすく、
ウイルスの増殖自体も亢進していることが示唆されています。

それは他の風邪の原因ウイルスでも同じなのでしょうか?

今回の研究はアレルギー性鼻炎(花粉症)の患者さんと、
アレルギー素因のない人の鼻の粘膜の細胞を採取して、
それを培養した上で、
いずれも代表的な風邪の原因ウイルスである、
パラインフルエンザウイルス(3型)と、
ライノウイルス(1b型)を感染させ、
感染の仕方と反応する免疫反応の強さなどを比較検証しています。

その結果、
鼻粘膜細胞における感染後48時間でのウイルス遺伝子の複製は、
パラインフルエンザウイルスではアレルギー性鼻炎において、
有意に抑制されていました。
ただ、ライノウイルスではそうした傾向はありませんでした。

2種類のウイルスに対するインターフェロンの産生能は、
いずれもアレルギー性鼻炎においては低い傾向を示しました。

このようにインフルエンザウイルスより鮮明ではありませんが、
他の風邪の原因ウイルスにおいても、
鼻粘膜における自然免疫は、
アレルギー性鼻炎の患者さんにおいて低下していました。

ただ、ウイルスの増殖自体も、
今回の研究ではパラインフルエンザウイルスでは低下していて、
風邪ウイルスの感染に対するアレルギー性鼻炎の影響は、
ウイルスによっても異なる可能性があるなど、
どうも一筋縄ではいかない点がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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