「デトロイト」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
1967年のデトロイトで起こった「黒人暴動」を、
その中の一挿話であるアルジェ・モーテルの事件に絞って、
臨場感たっぷりに描いた骨太の社会派映画、
「デトロイト」を観て来ました。
監督はこうした社会派の映画に定評のある、
キャスリン・ビグローです。
アルジェ・モーテル事件というのは、
デトロイト暴動の最中に、
不良黒人がおもちゃのピストルをモーテルの窓から鳴らしたのを、
警備していた警官が本物の狙撃と誤解して、
モーテルに踏み込み、
存在しないピストルを探して、
モーテルにたまたまいた黒人男性を暴行し、
結果として3人を殺したというもので、
3人の警官は罪に問われて裁判になりますが、
結局は無罪になってしまいます。
映画はまず、
違法酒場の取り締まりに端を発した、
黒人暴動の始まりをドキュメンタリータッチで描き、
そこからアルジェ・モーテルの暴行の一部始終を再現、
その後裁判の顛末と、
事件によって人生を狂わされた人間達のその後を描きます。
2時間50分弱の長尺ですが、
緊迫感のある描写で迫力があり、
説明も分かりやすいので退屈はしません。
ただ、メインとなるモーテルでの暴行のパートは、
同じことの繰り返しなので、
途中は単調に思えました。
核となるのは、
ドラマティックスというソウルグループのボーカルで、
暴動とは何の関係もないラリー(アルジー・スミス)が、
巻き込まれて人生を狂わされ、
白人恐怖症からデビュー自体をあきらめて隠遁する、
という切ない顛末と、
正義感が暴走する若い警官クラウス(ウィル・ポールター)、
そして偶然その場居合わせた警備員の、
ディスミュークス(ジョン・ボヤーガ)の3人のドラマです。
このうちラリーのパートについては、
胸に迫るものがあり、
正義感のある差別主義者で一途な警官クラウスも、
納得のゆく造形なのですが、
中立的な立場で、
ドラマとしては一番重要な筈のディスミュークスのパートが、
あまり深みのあるものにならなかったのは、
少し残念に感じました。
通常3時間の尺でデトロイト暴動を描くのですから、
幾つかのエピソードが並行して進行するような、
最近であれば「ダンケルク」のような構成が通常ですが、
今回の作品は前半は暴動全体を描くという感じがありながら、
途中からはモーテルの暴行事件に絞られ、
それが空間的にも時間的にも遠い異国の観客からすると、
地味な素材に感じられて、
興味を持続することが難しかったのが正直なところです。
この辺りはこの事件自体が真相不明のもので、
実際の事件で関係者の多くも生きている、
というところに作品の限界があったようにも思います。
歴史の勉強としての興味はありましたが、
ドラマとして切実に感じる、
というところまではいきませんでした。
アカデミー賞最有力とチラシには書かれていますが、
結局は候補にはならなかったようです。
しかし、これぞアメリカ映画という骨太の作品ですし、
迫力も緊張感もありますから、
こうしたテーマに興味のある方でしたら、
映画館で観る価値はあると思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
1967年のデトロイトで起こった「黒人暴動」を、
その中の一挿話であるアルジェ・モーテルの事件に絞って、
臨場感たっぷりに描いた骨太の社会派映画、
「デトロイト」を観て来ました。
監督はこうした社会派の映画に定評のある、
キャスリン・ビグローです。
アルジェ・モーテル事件というのは、
デトロイト暴動の最中に、
不良黒人がおもちゃのピストルをモーテルの窓から鳴らしたのを、
警備していた警官が本物の狙撃と誤解して、
モーテルに踏み込み、
存在しないピストルを探して、
モーテルにたまたまいた黒人男性を暴行し、
結果として3人を殺したというもので、
3人の警官は罪に問われて裁判になりますが、
結局は無罪になってしまいます。
映画はまず、
違法酒場の取り締まりに端を発した、
黒人暴動の始まりをドキュメンタリータッチで描き、
そこからアルジェ・モーテルの暴行の一部始終を再現、
その後裁判の顛末と、
事件によって人生を狂わされた人間達のその後を描きます。
2時間50分弱の長尺ですが、
緊迫感のある描写で迫力があり、
説明も分かりやすいので退屈はしません。
ただ、メインとなるモーテルでの暴行のパートは、
同じことの繰り返しなので、
途中は単調に思えました。
核となるのは、
ドラマティックスというソウルグループのボーカルで、
暴動とは何の関係もないラリー(アルジー・スミス)が、
巻き込まれて人生を狂わされ、
白人恐怖症からデビュー自体をあきらめて隠遁する、
という切ない顛末と、
正義感が暴走する若い警官クラウス(ウィル・ポールター)、
そして偶然その場居合わせた警備員の、
ディスミュークス(ジョン・ボヤーガ)の3人のドラマです。
このうちラリーのパートについては、
胸に迫るものがあり、
正義感のある差別主義者で一途な警官クラウスも、
納得のゆく造形なのですが、
中立的な立場で、
ドラマとしては一番重要な筈のディスミュークスのパートが、
あまり深みのあるものにならなかったのは、
少し残念に感じました。
通常3時間の尺でデトロイト暴動を描くのですから、
幾つかのエピソードが並行して進行するような、
最近であれば「ダンケルク」のような構成が通常ですが、
今回の作品は前半は暴動全体を描くという感じがありながら、
途中からはモーテルの暴行事件に絞られ、
それが空間的にも時間的にも遠い異国の観客からすると、
地味な素材に感じられて、
興味を持続することが難しかったのが正直なところです。
この辺りはこの事件自体が真相不明のもので、
実際の事件で関係者の多くも生きている、
というところに作品の限界があったようにも思います。
歴史の勉強としての興味はありましたが、
ドラマとして切実に感じる、
というところまではいきませんでした。
アカデミー賞最有力とチラシには書かれていますが、
結局は候補にはならなかったようです。
しかし、これぞアメリカ映画という骨太の作品ですし、
迫力も緊張感もありますから、
こうしたテーマに興味のある方でしたら、
映画館で観る価値はあると思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。