長時間の飛行機移動での静脈血栓症の予防法 [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2012年のJAMA誌に掲載された、
一般向けの解説記事ですが、
海外旅行などでの飛行機移動での、
静脈血栓症の簡単な予防法を解説したものです。
長時間椅子に座った姿勢で動かないでいると、
足の静脈の血液が滞り易くなります。
静脈には弁という部分があって、
血液の逆流を防ぐ働きをしているのですが、
その弁の部分が袋のようになっているので、
そこに溜まった血液が、
停滞し易くなり、血栓という血の塊が出来易くなります。
その血栓で足の静脈が詰まると、
足の筋肉が強く痛むような症状が起こります。
これが下肢静脈血栓症です。
そして、この足の静脈に出来た血栓が、
そこから血液を流れて心臓に戻り、
肺の動脈に詰まる病気が、
肺血栓塞栓症症です。
肺塞栓症が起こると、急に呼吸が苦しくなったり、
息切れや胸の痛みが起こり、
適切な治療を行なわないと命に関わることもあります。
この下肢静脈血栓症は、
たとえば老人ホームの高齢者が、
長時間座っている姿勢で動かない時にも起こりますが、
特に病気のない健康と思われる方でも、
飛行機での長期のフライトなどでは、
極めて長時間同じ姿勢を取り、
身体を動かすことも難しく、
トイレに行くこともストレスなので、
水分を取らずに脱水にもなり易いなど、
悪条件が重なるので起こる可能性が高くなります。
そのため、長期のフライトでの静脈血栓症のことを、
旅行者血栓症とかエコノミークラス症候群と通称することがあります。
長期のフライトでは静脈血栓症は、
誰でも起こる可能性があるのですが、
最近手術をしていたり、妊娠中や高齢者、
女性ホルモンを使用している場合、
癌や心臓の病気を持っている場合などは、
よりリスクは高いと考えた方が良いのです。
勿論以前肺塞栓症や下肢静脈血栓症を起こしたことのある方は、
そのリスクは最も高くなります。
それでは、静脈血栓症を予防するにはどうすれば良いのでしょうか?
こちらをご覧ください。
いつでも出来る飛行機内での、
血栓症の予防法を示したものです。
座ったままでつま先を上げ、次に踵を上げる、
という体操を繰り返します。
なるべく頻繁にやった方が効果的です。
何故これが良いのかを示したのがこちらです。
左の図が体操をせずにじっとしている場合です。
弁の部分に血液が停滞して、
そこで血栓を起こし易くなります。
体操をすると右の図のように、
筋肉によって血管が刺激を受け、
溜まっていた血液が心臓の方に戻り易くなるのです。
勿論これで100%予防出来る、
という訳ではなく、
リスクの高いことが分かっている場合には、
血液の凝固を抑えるヘパリンの注射を、
飛行機に乗る直前に自分で行う、
というような予防法も上記の記事には紹介されています。
これは現状は日本では難しいと思いますが、
リスクの高いことが想定される時の薬の使用については、
かかりつけの先生に一度ご相談してみるのが良いかも知れません。
病状によっては一時的に薬を使用することも、
1つの選択肢ではあると思います。
今日は飛行機の長期のフライトにおける、
静脈血栓症の予防についての話でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2012年のJAMA誌に掲載された、
一般向けの解説記事ですが、
海外旅行などでの飛行機移動での、
静脈血栓症の簡単な予防法を解説したものです。
長時間椅子に座った姿勢で動かないでいると、
足の静脈の血液が滞り易くなります。
静脈には弁という部分があって、
血液の逆流を防ぐ働きをしているのですが、
その弁の部分が袋のようになっているので、
そこに溜まった血液が、
停滞し易くなり、血栓という血の塊が出来易くなります。
その血栓で足の静脈が詰まると、
足の筋肉が強く痛むような症状が起こります。
これが下肢静脈血栓症です。
そして、この足の静脈に出来た血栓が、
そこから血液を流れて心臓に戻り、
肺の動脈に詰まる病気が、
肺血栓塞栓症症です。
肺塞栓症が起こると、急に呼吸が苦しくなったり、
息切れや胸の痛みが起こり、
適切な治療を行なわないと命に関わることもあります。
この下肢静脈血栓症は、
たとえば老人ホームの高齢者が、
長時間座っている姿勢で動かない時にも起こりますが、
特に病気のない健康と思われる方でも、
飛行機での長期のフライトなどでは、
極めて長時間同じ姿勢を取り、
身体を動かすことも難しく、
トイレに行くこともストレスなので、
水分を取らずに脱水にもなり易いなど、
悪条件が重なるので起こる可能性が高くなります。
そのため、長期のフライトでの静脈血栓症のことを、
旅行者血栓症とかエコノミークラス症候群と通称することがあります。
長期のフライトでは静脈血栓症は、
誰でも起こる可能性があるのですが、
最近手術をしていたり、妊娠中や高齢者、
女性ホルモンを使用している場合、
癌や心臓の病気を持っている場合などは、
よりリスクは高いと考えた方が良いのです。
勿論以前肺塞栓症や下肢静脈血栓症を起こしたことのある方は、
そのリスクは最も高くなります。
それでは、静脈血栓症を予防するにはどうすれば良いのでしょうか?
こちらをご覧ください。
いつでも出来る飛行機内での、
血栓症の予防法を示したものです。
座ったままでつま先を上げ、次に踵を上げる、
という体操を繰り返します。
なるべく頻繁にやった方が効果的です。
何故これが良いのかを示したのがこちらです。
左の図が体操をせずにじっとしている場合です。
弁の部分に血液が停滞して、
そこで血栓を起こし易くなります。
体操をすると右の図のように、
筋肉によって血管が刺激を受け、
溜まっていた血液が心臓の方に戻り易くなるのです。
勿論これで100%予防出来る、
という訳ではなく、
リスクの高いことが分かっている場合には、
血液の凝固を抑えるヘパリンの注射を、
飛行機に乗る直前に自分で行う、
というような予防法も上記の記事には紹介されています。
これは現状は日本では難しいと思いますが、
リスクの高いことが想定される時の薬の使用については、
かかりつけの先生に一度ご相談してみるのが良いかも知れません。
病状によっては一時的に薬を使用することも、
1つの選択肢ではあると思います。
今日は飛行機の長期のフライトにおける、
静脈血栓症の予防についての話でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。