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急性虫垂炎の手術までの時間と予後との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医の仕事などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
虫垂炎の手術時期.jpg
今年のJAMA Pediatrics誌に掲載された、
小児の急性虫垂炎の手術までの待機時間と、
その予後との関連についての論文です。

急性虫垂炎(盲腸)はお子さんにおいては、
対応が遅れると腹膜炎などにも繋がりやすいと言う点で、
現在でも慎重な対応と的確な治療が要求される病気です。

手術適応と判断されるようなお子さんの場合、
診断からなるべく速やかに手術が行われた方が、
穿孔や腹膜炎などの合併症が少ない、
というのはほぼ確定した事実ですが、
診断から24時間以内であっても、
より診断から手術までの時間が短い方が、
予後が良いかどうかについては、
これまで見解が分かれていました。

そこで今回の研究では、
アメリカの23の救急病院において、
18歳以下で救急受診から24時間以内に虫垂切除術を受けた、
急性虫垂炎の事例を2429件集め、
その受診から手術までの時間と、
腹膜炎や穿孔などの合併症との関連を検証しています。

その結果、
24時間以内であれば、
診断からの経過時間と患者さんの術後の予後との間に、
有意な関連は認められませんでした。

つまり、
24時間以内であれば、
殊更に手術を急ぐのではなく、
万全の体勢を整えて手術の準備に当たった方が、
良い結果に結び付くと考えた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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