ほりぶん「得て(再演)」 [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日最後の記事は演劇の話題です。
それがこちら。
ナカゴーの怪人鎌田順也さんと、
はえぎわの川上友里さんと墨井鯨子さんがタッグを組んで、
鎌田さんの作・演出に、
川上さんと墨井さんにゲストを加え、
毎回ワンピースの女性しか登場しないというユニット、
「ほりぶん」の第3回公演が、
阿佐ヶ谷の駅近くの地下の小劇場で上演中です。
ナカゴー関連の作品は最近人気があり、
今回も満席の盛況でした。
これは第2回公演の再演で、
前回はクリニックの開院直後でバタバタしていて観ていません。
第1回公演は足を運んだのですが、
作品的にはナカゴーで上演しているものとは、
少し違う傾向を狙っていて、
やや練り込み不足で不発に終わっていました。
今回の作品は再演ということもあるのだと思いますが、
オープニングの何気ない遣り取りから、
非常に精度高く練り込まれていて、
4人の役者さんも手練れが揃っており、
アンサンブルの良いので非常に楽しめました。
一種のホラーですが、
怖くて馬鹿馬鹿しくて、間抜けで、
それでいて過剰な熱気が舞台に横溢する70分で、
鎌田ワールドを堪能出来る快作でした。
物語としては掴みと中段の異様な盛り上がりは文句ないのですが、
ラストがいつも停滞気味になるのが鎌田さんの劇作の1つの欠点で、
それは今回も変わりはありませんでしたが、
とてつもない才能ですし、
いつかとてつもない演劇史上に残る大傑作が、
生まれるような予感が漂っています。
いつもは公共の視聴覚室みたいなところでの公演が多く、
雰囲気が全く演劇感がないのが残念でしたが、
今回は如何にもアングラ小劇場というタイプの小屋で、
こういう方が絶対いいよね、
というように思いました。
また、いつもはかなり無雑作な感じのある演出なのですが、
今回はメインとなる映像もしっかり作り込まれていますし、
統一感のある衣装と、
音効や照明もそれなりに「普通」に使用していて、
かなりクオリティの高い舞台になっていました。
鎌田さんの作品は、
初演は時間不足の感じがするものも多いので、
再演が良いな、という思いもしました。
以下ネタバレを含む感想です。
上田遥さん演じる遠山先輩と、
墨井鯨子さん演じる権代、
そして川上友里さん演じる大庭さんは、
仲良しの30代で、
ケンタッキーのスタッフとして働いていたのですが、
3人で旅行に行ったタイで、
ふざけていて墨井さんに押された川上さんは、
転んだ拍子に毒蛇に噛まれて死んでしまいます。
それから1年後に、
別のケンタッキーの店で働く、
青山祥子さん演じる出立さんという女性が、
上田さんと墨井さんの元を訪ねて来ます。
彼女は川上さんが付き合っていた店長を寝取って、
それを川上さんに目撃されるという、
修羅場を演じた人なのですが、
その後川上さんと和解して友達になり、
死ぬ前に川上さんから預かった、
ビデオテープを持って来た、
と言うのです。
墨井さんが自分が押したために、
川上さんが死んだのだと自責の念に駆られています。
出立さんは川上さんが本当は自分を許していないのではないか、
という疑念に駆られています。
そんな中でビデオが再生されるのですが、
ご想像の通り、
それは川上さんの怨念が籠った呪いのビデオで、
4人の女の罵り合いと、
阿鼻叫喚の地獄絵図がそこから始まることになるのです。
ラストは鯨井さんと出立さんは呪い殺されて、
あちらの世界の住人となり、
上田さんだけが取り残されて終わります。
前半にケンタッキーという実名を出して、
ファストフード業界の人間関係を、
面白おかしく綴るのは、
鎌田さんのいつものパターンです。
後半呪いのビデオが登場してからは、
「リング」のパロディになる訳ですが、
川上さんが登場するビデオ映像が、
非常に上手く作り込まれているので、
生身の3人との大暴れが新鮮味があって楽しいですし、
最後には満を持して川上さん本人も舞台に召喚されます。
今回はストーリーそのもののはじけっぷりよりも、
4人の手練れの役者さんの演技合戦と、
ビデオ画像を含めた緻密な演出に妙味があります。
クライマックスのいつもの大暴れも楽しく、
ナカゴーワールドを堪能出来ましたし、
次もまたとても楽しみになりました。
こういうものがあるので、
小劇場巡りはなかなか止められません。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日最後の記事は演劇の話題です。
それがこちら。
ナカゴーの怪人鎌田順也さんと、
はえぎわの川上友里さんと墨井鯨子さんがタッグを組んで、
鎌田さんの作・演出に、
川上さんと墨井さんにゲストを加え、
毎回ワンピースの女性しか登場しないというユニット、
「ほりぶん」の第3回公演が、
阿佐ヶ谷の駅近くの地下の小劇場で上演中です。
ナカゴー関連の作品は最近人気があり、
今回も満席の盛況でした。
これは第2回公演の再演で、
前回はクリニックの開院直後でバタバタしていて観ていません。
第1回公演は足を運んだのですが、
作品的にはナカゴーで上演しているものとは、
少し違う傾向を狙っていて、
やや練り込み不足で不発に終わっていました。
今回の作品は再演ということもあるのだと思いますが、
オープニングの何気ない遣り取りから、
非常に精度高く練り込まれていて、
4人の役者さんも手練れが揃っており、
アンサンブルの良いので非常に楽しめました。
一種のホラーですが、
怖くて馬鹿馬鹿しくて、間抜けで、
それでいて過剰な熱気が舞台に横溢する70分で、
鎌田ワールドを堪能出来る快作でした。
物語としては掴みと中段の異様な盛り上がりは文句ないのですが、
ラストがいつも停滞気味になるのが鎌田さんの劇作の1つの欠点で、
それは今回も変わりはありませんでしたが、
とてつもない才能ですし、
いつかとてつもない演劇史上に残る大傑作が、
生まれるような予感が漂っています。
いつもは公共の視聴覚室みたいなところでの公演が多く、
雰囲気が全く演劇感がないのが残念でしたが、
今回は如何にもアングラ小劇場というタイプの小屋で、
こういう方が絶対いいよね、
というように思いました。
また、いつもはかなり無雑作な感じのある演出なのですが、
今回はメインとなる映像もしっかり作り込まれていますし、
統一感のある衣装と、
音効や照明もそれなりに「普通」に使用していて、
かなりクオリティの高い舞台になっていました。
鎌田さんの作品は、
初演は時間不足の感じがするものも多いので、
再演が良いな、という思いもしました。
以下ネタバレを含む感想です。
上田遥さん演じる遠山先輩と、
墨井鯨子さん演じる権代、
そして川上友里さん演じる大庭さんは、
仲良しの30代で、
ケンタッキーのスタッフとして働いていたのですが、
3人で旅行に行ったタイで、
ふざけていて墨井さんに押された川上さんは、
転んだ拍子に毒蛇に噛まれて死んでしまいます。
それから1年後に、
別のケンタッキーの店で働く、
青山祥子さん演じる出立さんという女性が、
上田さんと墨井さんの元を訪ねて来ます。
彼女は川上さんが付き合っていた店長を寝取って、
それを川上さんに目撃されるという、
修羅場を演じた人なのですが、
その後川上さんと和解して友達になり、
死ぬ前に川上さんから預かった、
ビデオテープを持って来た、
と言うのです。
墨井さんが自分が押したために、
川上さんが死んだのだと自責の念に駆られています。
出立さんは川上さんが本当は自分を許していないのではないか、
という疑念に駆られています。
そんな中でビデオが再生されるのですが、
ご想像の通り、
それは川上さんの怨念が籠った呪いのビデオで、
4人の女の罵り合いと、
阿鼻叫喚の地獄絵図がそこから始まることになるのです。
ラストは鯨井さんと出立さんは呪い殺されて、
あちらの世界の住人となり、
上田さんだけが取り残されて終わります。
前半にケンタッキーという実名を出して、
ファストフード業界の人間関係を、
面白おかしく綴るのは、
鎌田さんのいつものパターンです。
後半呪いのビデオが登場してからは、
「リング」のパロディになる訳ですが、
川上さんが登場するビデオ映像が、
非常に上手く作り込まれているので、
生身の3人との大暴れが新鮮味があって楽しいですし、
最後には満を持して川上さん本人も舞台に召喚されます。
今回はストーリーそのもののはじけっぷりよりも、
4人の手練れの役者さんの演技合戦と、
ビデオ画像を含めた緻密な演出に妙味があります。
クライマックスのいつもの大暴れも楽しく、
ナカゴーワールドを堪能出来ましたし、
次もまたとても楽しみになりました。
こういうものがあるので、
小劇場巡りはなかなか止められません。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
「クーリンチェ少年殺人事件」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日2本目の記事はまた映画の話題です。
それがこちら。
台湾映画の歴史的傑作と言われる、
「クーリンチェ少年殺人事件」が、
25年ぶりにフィルムをデジタル化して修復し、
今再公開されています。
封切りの1991年頃は僕が一番映画を観ていなかった時期で、
この作品の初公開版も観ていません。
封切りは188分であったそうですが、
その後236分というより長尺のバージョンが公開され、
今回公開されているのもその236分版です。
これは1961年の台湾を舞台にして、
第二次大戦後に中国本土から台湾に渡って来た一家が、
閉鎖的で抑圧的な環境と、
不運な偶然などから苦境に陥る物語です。
主人公はその一家の次男の高校生の少年で、
受験の失敗から不良高校生達との抗争に巻き込まれ、
曰くのある少女との淡い恋も無残な結末に至ります。
名作だとは確かに思いますが、
ほぼ4時間の上映時間で休憩なしというのは、
映画館で観る映画としては正直きついと思います。
僕が鑑賞した回は満席で、
上映時間中1人も途中でトイレに行く人はいませんでした。
皆さんさすがだなあとは思いますが、
僕自身ドキドキしてしまって、
まだまだ終わらないだろうなあ、
などと思うと、
あまり作品の世界に集中することは出来ませんでした。
僕は最初の188分版は観ていないのですが、
この内容で3時間8分というのは妥当な長さという気がしますし、
これなら休憩なしでも良いと思います。
今回の236分版はかなり編集はゆるい感じで、
1つ1つの場面のお尻は長過ぎると思います。
幾つかの山場があるのですが、
そこに向けて盛り上がるという編集にはなっていないので、
何となくモヤモヤしてしまいます。
「ニュー・シネマ・パラダイス」の時も、
結局最初の短縮版が一番観易く素直に感動出来て、
後から登場した長尺版は、
これが本当であるのは分かっても、
何かモヤモヤしてしまったのと同じような気分です。
今度是非188分版を観てみたいな、
というように思いました。
娯楽作品としては4時間休憩なしというのは、
成立はしていませんよね。
以前「旅芸人の記録」を観た時も、
トイレが気になって集中は出来ませんでした。
個人的には映画というのは、
特別な場合でなければ最初に公開されたバージョンが、
監督は不満であっても一番良いことが多いようです。
それでは次の記事に続きます。
今度は演劇です。
北品川藤クリニックの石原です。
今日2本目の記事はまた映画の話題です。
それがこちら。
台湾映画の歴史的傑作と言われる、
「クーリンチェ少年殺人事件」が、
25年ぶりにフィルムをデジタル化して修復し、
今再公開されています。
封切りの1991年頃は僕が一番映画を観ていなかった時期で、
この作品の初公開版も観ていません。
封切りは188分であったそうですが、
その後236分というより長尺のバージョンが公開され、
今回公開されているのもその236分版です。
これは1961年の台湾を舞台にして、
第二次大戦後に中国本土から台湾に渡って来た一家が、
閉鎖的で抑圧的な環境と、
不運な偶然などから苦境に陥る物語です。
主人公はその一家の次男の高校生の少年で、
受験の失敗から不良高校生達との抗争に巻き込まれ、
曰くのある少女との淡い恋も無残な結末に至ります。
名作だとは確かに思いますが、
ほぼ4時間の上映時間で休憩なしというのは、
映画館で観る映画としては正直きついと思います。
僕が鑑賞した回は満席で、
上映時間中1人も途中でトイレに行く人はいませんでした。
皆さんさすがだなあとは思いますが、
僕自身ドキドキしてしまって、
まだまだ終わらないだろうなあ、
などと思うと、
あまり作品の世界に集中することは出来ませんでした。
僕は最初の188分版は観ていないのですが、
この内容で3時間8分というのは妥当な長さという気がしますし、
これなら休憩なしでも良いと思います。
今回の236分版はかなり編集はゆるい感じで、
1つ1つの場面のお尻は長過ぎると思います。
幾つかの山場があるのですが、
そこに向けて盛り上がるという編集にはなっていないので、
何となくモヤモヤしてしまいます。
「ニュー・シネマ・パラダイス」の時も、
結局最初の短縮版が一番観易く素直に感動出来て、
後から登場した長尺版は、
これが本当であるのは分かっても、
何かモヤモヤしてしまったのと同じような気分です。
今度是非188分版を観てみたいな、
というように思いました。
娯楽作品としては4時間休憩なしというのは、
成立はしていませんよね。
以前「旅芸人の記録」を観た時も、
トイレが気になって集中は出来ませんでした。
個人的には映画というのは、
特別な場合でなければ最初に公開されたバージョンが、
監督は不満であっても一番良いことが多いようです。
それでは次の記事に続きます。
今度は演劇です。
「ムーンライト」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
昨年の米アカデミー作品賞を受賞した、
「ムーンライト」を封切り初日に観て来ました。
最近のアカデミー作品賞の受賞作は、
あまり好みに合わないことが多いのですが、
この作品は繊細で詩情に溢れた素敵な映画で、
最近の受賞作の中では個人的には一番好きです。
黒人でゲイで麻薬の売人で、
唯一の肉親の母親は麻薬中毒という、
かなり凄まじい設定の主人公の、
少年期と思春期と青年期とを、
それぞれ別の俳優が演じて、
3つのオムニバスのように構成されています。
話はかなり殺伐としてドロドロした部分があるのですが、
一番暴力的な部分は、
3つのエピソードの間の時間にあって、
語られていないという構成がユニークで、
それでいて物足りなさは不思議と感じません。
それは語るべきことがしっかりと語られているからで、
むしろ省略の部分に、
「取返しのつかない何かが終わったしまった」
という情感が滲み出て、
それが観客の心に深い余韻を残すのです。
これまでのアメリカ映画の感動のさせ方とは、
ちょっと違う感じがあり、
ウォン・カーウェイにも似た感じがありますし、
初期の北野武映画に近いような感じもあります。
そうした映画がお好きな方には、
是非観て頂きたいと思います。
主な舞台はマイアミですが、
その乾いた空気感のようなものが、
リアルに肌触りとして感じられます。
それに対比されているのが、
主人公が恋焦がれる象徴としての「海」で、
少年時代の主人公が、
薬の売人の男と一緒に海に入る場面が、
観客まで一緒に水に触れているような、
体感的な描写で素晴らしく、
その後は洗面台の冷水でしか、
主人公は水と触れることがないのですが、
最後に恋人の胸の中で、
少年時代の姿の主人公は、
静かに月光の輝く海に帰って来るのです。
とても素敵なラストでした。
主人公を演じた3人はいずれも素晴らしく、
決して似たビジュアルではないのですが、
巧みな編集は観客を混乱させることがありませんし、
ちょっとした仕草や表情が、
確かに同一人物であることを感じさせるのが上手いと思います。
少年時代の主人公の庇護者であった薬の売人を演じた、
マハーシャラ・アリがアカデミーの助演男優賞を取っていて、
出番は短いのですが、
確かに印象的な演技です。
どうしようもない母親を3つの時代全てで演じたナオミ・ハリスも、
マハーシャラ・アリに劣らぬ名演でした。
映像はシネスコの画面を活かした、
体感的な描写や空気感が素晴らしく、
技巧的なワンカットや、
MV的なカットもあるのですが、
正攻法の描写と遊びの部分が綺麗に融合しています。
如何にも黒人映画という感じの音効も素敵でした。
そんな訳で非常にクオリティの高い、
繊細で情感に溢れた素敵な映画で、
それほど長くもありませんし、
是非にお勧めしたいと思います。
清涼感のあるスッキリとした後味は、
最近の映画ではあまり感じられない性質のものだと思います。
それでは次の記事に続きます。
もう1本映画、それから演劇です。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
昨年の米アカデミー作品賞を受賞した、
「ムーンライト」を封切り初日に観て来ました。
最近のアカデミー作品賞の受賞作は、
あまり好みに合わないことが多いのですが、
この作品は繊細で詩情に溢れた素敵な映画で、
最近の受賞作の中では個人的には一番好きです。
黒人でゲイで麻薬の売人で、
唯一の肉親の母親は麻薬中毒という、
かなり凄まじい設定の主人公の、
少年期と思春期と青年期とを、
それぞれ別の俳優が演じて、
3つのオムニバスのように構成されています。
話はかなり殺伐としてドロドロした部分があるのですが、
一番暴力的な部分は、
3つのエピソードの間の時間にあって、
語られていないという構成がユニークで、
それでいて物足りなさは不思議と感じません。
それは語るべきことがしっかりと語られているからで、
むしろ省略の部分に、
「取返しのつかない何かが終わったしまった」
という情感が滲み出て、
それが観客の心に深い余韻を残すのです。
これまでのアメリカ映画の感動のさせ方とは、
ちょっと違う感じがあり、
ウォン・カーウェイにも似た感じがありますし、
初期の北野武映画に近いような感じもあります。
そうした映画がお好きな方には、
是非観て頂きたいと思います。
主な舞台はマイアミですが、
その乾いた空気感のようなものが、
リアルに肌触りとして感じられます。
それに対比されているのが、
主人公が恋焦がれる象徴としての「海」で、
少年時代の主人公が、
薬の売人の男と一緒に海に入る場面が、
観客まで一緒に水に触れているような、
体感的な描写で素晴らしく、
その後は洗面台の冷水でしか、
主人公は水と触れることがないのですが、
最後に恋人の胸の中で、
少年時代の姿の主人公は、
静かに月光の輝く海に帰って来るのです。
とても素敵なラストでした。
主人公を演じた3人はいずれも素晴らしく、
決して似たビジュアルではないのですが、
巧みな編集は観客を混乱させることがありませんし、
ちょっとした仕草や表情が、
確かに同一人物であることを感じさせるのが上手いと思います。
少年時代の主人公の庇護者であった薬の売人を演じた、
マハーシャラ・アリがアカデミーの助演男優賞を取っていて、
出番は短いのですが、
確かに印象的な演技です。
どうしようもない母親を3つの時代全てで演じたナオミ・ハリスも、
マハーシャラ・アリに劣らぬ名演でした。
映像はシネスコの画面を活かした、
体感的な描写や空気感が素晴らしく、
技巧的なワンカットや、
MV的なカットもあるのですが、
正攻法の描写と遊びの部分が綺麗に融合しています。
如何にも黒人映画という感じの音効も素敵でした。
そんな訳で非常にクオリティの高い、
繊細で情感に溢れた素敵な映画で、
それほど長くもありませんし、
是非にお勧めしたいと思います。
清涼感のあるスッキリとした後味は、
最近の映画ではあまり感じられない性質のものだと思います。
それでは次の記事に続きます。
もう1本映画、それから演劇です。
「キングコング:髑髏島の巨神」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午後は休診となります。
受診予定の方はご注意下さい。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
あの「パシフィック・リム」のスタッフが、
「ゴジラ」に引き続いて、
今度は「キングコング」を現代に蘇らせました。
そのアイマックス3D版を初日に見て来ました。
これは東宝の特撮怪獣映画をリスペクトした、
怪獣ファンにはともかく楽しい映画で、
特撮も勿論凄いですし、
設定やストーリーもマニアックに作り込まれています。
プロローグは第二次世界大戦末期に、
謎の孤島髑髏島に、
戦闘中のゼロ戦とアメリカの戦闘機が、
不時着するところから始まり、
そこから本編はベトナム戦争終結時という時間軸で展開されます。
ここで「地獄の黙示録」や「プラトーン」を大胆に換骨奪胎し、
ベトナム戦争映画の密林の軍隊ドラマを、
そのまま怪獣王国のような魔の島で展開させています。
「地獄の黙示録」の密林で、
「キングコング対ゴジラ」か「怪獣無法地帯」か、
というような怪獣タッグマッチが繰り広げられるのですから、
どちらの世界も大好物の僕としては、
これはもうどっぷりとその世界に浸るしかありません。
全体に東宝特撮怪獣映画へのリスペクトがあり、
最初にキングコングを探しに行く人間を集める、
と言う辺りや、
キングコングが大蛸と対決するのは、
もろ「キングコング対ゴジラ」ですし、
島に着いてからの段取りは、
「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」に良く似ています。
ラストにはゴジラやキングギドラ、モスラ、ラドンまで、
壁画の図像として登場します。
美男美女が良い側の怪獣のお気に入りとなり、
何故か心が通じて、
見つめ合ったり助け合ったりするのも、
一時期の東宝怪獣映画のパターンとほぼ同じです。
キャストもなかなか豪華で、
それも単なるお飾り的な出演ではなく、
怪獣を前にして熱演を繰り広げています。
SFXも凝りに凝っていて、
クライマックスの怪獣同士のバトルは、
「パシフィック・リム」と同じですが、
あちらは夜の場面が多かったのに対して、
今回はラストは昼間の光の中での対決となり、
より画面は鮮明で迫力を増しています。
見せ場は本当に山盛り沢山なのですが、
特に最初にキングコングが米軍ヘリの編隊を襲う場面の、
巨大なものがいきなり襲ってくるという、
体感的な描写は新鮮に感じました。
大画面の3Dで見ることを想定した作りになっているので、
是非アイマックスかそれに準じた規格の大画面で、
3Dでの鑑賞をお勧めします。
他愛のない作品ですが、
血沸き肉躍る最新版の怪獣映画として、
好きな方には絶対のお薦めです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午後は休診となります。
受診予定の方はご注意下さい。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
あの「パシフィック・リム」のスタッフが、
「ゴジラ」に引き続いて、
今度は「キングコング」を現代に蘇らせました。
そのアイマックス3D版を初日に見て来ました。
これは東宝の特撮怪獣映画をリスペクトした、
怪獣ファンにはともかく楽しい映画で、
特撮も勿論凄いですし、
設定やストーリーもマニアックに作り込まれています。
プロローグは第二次世界大戦末期に、
謎の孤島髑髏島に、
戦闘中のゼロ戦とアメリカの戦闘機が、
不時着するところから始まり、
そこから本編はベトナム戦争終結時という時間軸で展開されます。
ここで「地獄の黙示録」や「プラトーン」を大胆に換骨奪胎し、
ベトナム戦争映画の密林の軍隊ドラマを、
そのまま怪獣王国のような魔の島で展開させています。
「地獄の黙示録」の密林で、
「キングコング対ゴジラ」か「怪獣無法地帯」か、
というような怪獣タッグマッチが繰り広げられるのですから、
どちらの世界も大好物の僕としては、
これはもうどっぷりとその世界に浸るしかありません。
全体に東宝特撮怪獣映画へのリスペクトがあり、
最初にキングコングを探しに行く人間を集める、
と言う辺りや、
キングコングが大蛸と対決するのは、
もろ「キングコング対ゴジラ」ですし、
島に着いてからの段取りは、
「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」に良く似ています。
ラストにはゴジラやキングギドラ、モスラ、ラドンまで、
壁画の図像として登場します。
美男美女が良い側の怪獣のお気に入りとなり、
何故か心が通じて、
見つめ合ったり助け合ったりするのも、
一時期の東宝怪獣映画のパターンとほぼ同じです。
キャストもなかなか豪華で、
それも単なるお飾り的な出演ではなく、
怪獣を前にして熱演を繰り広げています。
SFXも凝りに凝っていて、
クライマックスの怪獣同士のバトルは、
「パシフィック・リム」と同じですが、
あちらは夜の場面が多かったのに対して、
今回はラストは昼間の光の中での対決となり、
より画面は鮮明で迫力を増しています。
見せ場は本当に山盛り沢山なのですが、
特に最初にキングコングが米軍ヘリの編隊を襲う場面の、
巨大なものがいきなり襲ってくるという、
体感的な描写は新鮮に感じました。
大画面の3Dで見ることを想定した作りになっているので、
是非アイマックスかそれに準じた規格の大画面で、
3Dでの鑑賞をお勧めします。
他愛のない作品ですが、
血沸き肉躍る最新版の怪獣映画として、
好きな方には絶対のお薦めです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。