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食生活と生命予後との関連について(アメリカの大規模調査) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
食事内容と病気との関連.jpg
本年のJAMA誌に掲載された、
食生活と病気との関連についての論文です。

食事は健康の維持や病気の予防のために、
非常に重要であると考えられています。

ただ、加工肉が多いと健康に良くないとか、
塩分の多い食事は高血圧になる、
というようなデータは沢山あっても、
その人にとってトータルに見た時に、
健康に食事の個々のバランスが、
どの程度の影響を与えているかについての、
精度の高いデータはあまり存在していません。

今回の研究はアメリカにおいて、
NHANESと呼ばれる大規模な健康栄養調査の結果を解析することで、
食事の内容と心臓疾患、脳卒中、2型糖尿病などによる死亡リスクとの関連を、
検証しています。

トータルな対象者は16620名で、
観察期間中に506100名は心臓病のために、
128294名は脳卒中のために、
67914名は2型糖尿病のために死亡しています。

このうちの45.4%に当たる318656件の死亡は、
食事内容の偏りとの関連が認められました。
その影響が最も大きかったのはナトリウムの摂取量で、
心臓病、脳卒中、2型糖尿病などによる死亡の9.5%が、
1日2000㎎(食塩に換算して5グラム)を超える塩分を摂っていることにより、
生じた死亡と推定され、
また8.5%の死亡は、
ナッツを1日20.2グラム未満しか摂らなかったことから、
7.8%の死亡は、
EPAなどの魚由来のω3脂肪酸が1日250㎎未満であることから、
7.6%の死亡は、
野菜の摂取量が1日400グラム未満であることから、
7.5%の死亡は、
果物の摂取量が1日300グラム未満であることから、
そして7.4%の死亡は、
コーラなどの砂糖含有清涼飲料水の摂取習慣から生じていると、
推定されました。

これは逆に言えば、
塩分を控え、果物や野菜を多く摂り、
砂糖を含むジュースは飲まず、
青身魚の脂とナッツを多く摂れば、
生活習慣病による死亡をかなり減らすことが可能だ、
ということを示しています。

これは1つの推計に過ぎないものですが、
大規模で長期間の調査によって、
食事内容の偏りが、
意外に大きく心血管疾患や代謝疾患の死亡リスクに関連している、
という指摘は興味深く、
今後の食事指導や生活指導においても、
大きなインパクトを持つ調査であると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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