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インフルエンザ治療薬の有効性比較(2025年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
インフルエンザ治療薬のメタ解析.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2025年1月13日付で掲載された、
インフルエンザ治療薬の有効性を比較してメタ解析の論文です。

インフルエンザウイルスによる、
インフルエンザ感染症の治療薬としては、
オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)、
ペラミビル(ラピアクタ)、ラニナミビル(イナビル)、
ファビピラビル(アビガン)、バロキサビル(ゾフルーザ)、
アマンタジンがあり、
世界的にはオセルタミビルが、
最も広く使用されています。

ただ、その有効性については、
それほど明確なデータがある訳ではありません。

たとえば2023年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された、
メタ解析の論文では、
オセルタミビルを使用しても、
病状の悪化による入院のリスクは明確には低下しなかった、
という結論になっています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37306992/

勿論個別のデータでは、
症状期間の短縮や重症化予防など、
一定の有効性が確認されているものはあるのですが、
一般化出来るほどではないのです。

今回の研究は更に新しいデータを加えた、
再診のネットワークメタ解析です。

これまでの73の精度の高い臨床試験に含まれる、
34332名の患者データをまとめて解析したところ、
インフルエンザに罹患した患者さんの生命予後については、
どの治療薬を使用しても、
明確な改善は認められませんでした。

持病など重症化リスクのある、
治療の時点では重症ではない患者のインフルエンザ感染に対して、
オセルタミビル(タミフル)を使用しても、
入院の予防効果は確認はされませんでした。
対象となった全ての抗ウイルス薬のうち、
バロキセビル(ゾフルーザ)は、
入院のリスクを低下させる可能性が示唆されましたが有意ではなく、
それ以外の抗ウイルス剤では予防効果は確認されませんでした。

また、症状が消失するまでの期間を、
バロキセビルは1日程度短縮する効果が、
中等度の確実性で認められましたが、
オセルタミビルなど他の抗ウイルス薬では、
そうした効果は確認されませんでした。

主な有害事象や副作用についても、
バロキセビルはオセルタミビルより、
安全に使用可能な薬剤であることが示唆されました。

このように今回のメタ解析においては、
抗ウイルス剤の中でバロキセビル(ゾフルーザ)の有効性と安全性とが
他の同種の薬剤と比較して優れているという結果が得られました。

ただ、既存の薬の中では、
オセルタミビルが圧倒的にデータが多いことは間違いがなく、
もう少しバロキセビルの臨床データが蓄積されないと、
実証的な結論は得られないように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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