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朝食のメタボ改善効果(2024年スペインの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
朝食のメタボ改善効果.jpg
the Journal of nutrition, health and aging 誌に、
2024年12月1日付で掲載された、
朝食を摂ることのメタボへの効果についての論文です。

食事をどのようなタイミングで、
どのような回数で摂るべきか、
というのは、
まだ明確な結論の出ていない問題です。

朝食、昼食、夕食と、
活動している時間に3回に分けて摂取することが、
長く一般的な習慣とされ、
糖尿病などの生活習慣病の指導においても、
その3食を過不足なく摂ることが、
最も健康的であるとして推奨されています。

ただ、実際には1日1食や2食、4食以上など、
国や地域によっては1日3食以外の食習慣が、
文化的に維持されている地域もあり、
それを健康のために無理に1日3食にすることで、
より健康面でのメリットが大きいとする根拠は、
それほど明確ではありません。

一番健康的な食習慣であるとされることの多い、
朝食を摂ることの健康影響についても、
まだ見解は一致しているとは言えません。

朝食を抜くと太る、というのは、
以前から比較的よく語られている説ですが、
そうしたデータがある一方で、
明確な変化はなかった、とするデータもあります。

朝食の健康効果についても、
まだ不明の点が多いのです。

今回の研究はスペインにおいて、
ダイエットに関わる臨床試験のデータを解析する手法で、
朝食のカロリー及びその質と、
メタボの経過との関連を検証しています。

対象は、血圧高値や腹囲高値など、
メタボのリスク因子を複数持った、
55から75歳の383名で、
3年間の経過観察を施行しています。

朝食のカロリーは1日の摂取カロリーの20から30%を標準として、
20%未満を朝食低カロリー群、30%を超えるものを朝食高カロリー群として、
その比較を行っています。
またこの臨床研究では、
地中海食を基本とした食事指導を施行しているので、
果物や雑穀、ナッツ、ヨーグルトなどを多く含む朝食を、
品質の高い朝食として規定しています。

その結果、
朝食のカロリーが1日の20から30%であった場合と比較して、
カロリーが高くても低くても、
いずれも3年間で腹囲は増加し、
中性脂肪も増加し、
善玉とされるHDLコレステロールは低下し、
腎機能の指標である推計糸球体濾過量は低下していました。
また朝食の品質が低いことも、
同様のメタボの指標の悪化と関連していました。

これは中高年のメタボの傾向のある人に限ったデータですが、
朝食を1日総カロリーの20から30%とすることが、
朝食を摂らないよりもメタボの指標を改善するとする、
今回のデータは非常に興味深く、
今後より観察期間を長くした検証にも期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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