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肉の摂取量と2型糖尿病リスク(2024年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
肉と糖尿病リスク.jpg
the Lancet Diabetes & Endocrinology 誌に、
2024年9月付で掲載された、
肉の摂取量と2型糖尿病リスクについての論文です。

肉の摂取量、特に牛や豚などの赤身肉や、
ソーセージなどの加工肉の摂取量が多いと、
2型糖尿病の発症リスクが高くなるというのは、
これまでにも度々報告されている知見です。

ただ、その多くは欧米での疫学データによるもので、
アジア人種などで同様の傾向があるかどうかについては、
明確ではない点があります。

また、データの解析法は様々で、
特に赤身肉についてのデータは多いのですが、
鶏肉などの家禽においても、
同様の影響があるかどうかについては、
そのデータは限られていて、
明確な結論には到っていません。

そこで今回の研究では、
アメリカ、ヨーロッパ、アジア、太平洋地域など、
世界中で施行された31の疫学データをまとめて解析するメタ解析の手法で、
この問題のトータルな検証を行っています。

対象は登録の時点で2型糖尿病のない、
18歳以上のトータル1966444名の一般住民で、
中間値で10年の観察期間中に、
そのうちの107271名が2型糖尿病を発症していました。

そこで糖尿病の発症リスクと、
食事調査による肉の摂取量との関連を、
赤身肉(牛、豚、羊など)、加工肉(ハム、ソーセージなど)、
家禽肉(鶏など)に分けて検証したところ、
赤身肉の摂取が1日100グラム増える毎に、
10%(95%CI:1.06から1.15)、
加工肉の摂取が1日50グラム増える毎に、
15%(95%CI:1.11から1.20)
家禽の肉の摂取が1日100グラム増える毎に、
8%(95%CI:1.02から1.14)、
2型糖尿病の発症リスクがそれぞれ有意に増加していました。
この肉の摂取による糖尿病のリスクの増加は、
主に北米、ヨーロッパ、西太平洋地域で主に認められていました。

ここで赤身肉や加工肉の摂取を、
家禽肉の摂取に置き換えると、
糖尿病のリスクは低下することが推計されました。

このように、
肉の摂取量が多いことは、
全体で2型糖尿病のリスク増加に結び付いており、
特に赤身肉と加工肉の摂取量が、
より強く影響することが今回改めて示されました。

特に加工肉の摂り過ぎは、
糖尿病のみならず、
心血管疾患のリスク増加に結び付くことが報告されていますから、
ソーセージやハムなどの摂取は、
健康のためには控えるに越したことはないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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