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「Chime」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
chime.jpg
黒沢清監督が、
配信買取という特殊なフォーマットで製作した新作中編映画が、
今映画館で公開されています。

黒沢清監督は勿論大好きで、
この間のフランス版「蛇の道」も、
とても良かったのですが、
今回の映画は個人的には微妙でした。

「CURE」から、
催眠術というファンタジー的な趣向や、
事件の捜査という物語的な部分、
主人公の刑事の夫婦のドラマ要素などを、
全部削ぎ取って、
単純に不条理に人が殺される場面のみを、
繋ぎ合わせたような作品で、
技巧的にはさすが黒沢監督というカットの連続なので、
見応えはあるのですが、
あまりに殺伐として救いのない場面が連続するので、
息が抜けずにしんどい映画ではありました。

「CURE」のことも考えると、
多分主人公は妻と子供を既に殺しているんですよね。
それを隠して普段通りの生活を続けているのですが、
それが次第に破綻してゆく、
というストーリーのように理解しました。
主人公は最初から怪物で、
あの家は「悪魔のいけにえ」の一軒家と同じなのです。
ただ、そうではないと言われれば、
そうでもないようにも思えるので、
無理押しするつもりはありません。

個人的には、
職業柄なのかも知れませんが、
こういう怖さを娯楽として楽しむ、
という気分にはなれないのですね。
精神的にお辛い立場にある人の話は、
良く聞く機会があるので、
それがいきなり即物的に殺人に結び付くような感じの流れは、
あまり良くないもののように感じました。

実際に宇宙人がチャイムを鳴らしていたり、
催眠術で人に殺人をさせる能力のある怪人がいる、
というような虚構を持ってきた方が、
こういうお話では無理がないのではないかしら。
そうした逃げ道をなくしてしまうと、
「精神疾患=怖い」という図式が成立しかねないので、
「ちょっとまずいなあ」と思いながら観ていました。

黒沢監督の「怖い映画」への拘りは、
とても好きですし尊敬もしているので、
こういう方向にはあまり行って欲しくないな、
というのが鑑賞後の正直な気持ちでした。

次回作にまた期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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