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アルコール性肝障害に与える食事の影響 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アルコール性肝障害と食事の影響.jpg
Nature Cmmunications誌に、
2024年8月1日付で掲載された、
アルコール関連肝疾患と食事との関連についての論文です。

飲酒の習慣による肝臓の病気を、
総称してアルコール関連肝疾患と呼んでいます。

多量の飲酒を続けることにより、
アルコール性脂肪肝やアルコール性肝炎が生じ、
それが進行することで肝硬変になったり、
肝臓癌の原因となり、
命に関わることがあります。

概ね1日60グラム(日本酒3合目安)以上のアルコールを、
5年以上常用することで,
そうした肝障害のリスクが高まると想定されています。

しかし、同じように多量の飲酒を続けていても、
そのうち重症のアルコール性肝炎や肝硬変になる人は、
全体の10から20%と報告されています。

つまり、アルコール性肝障害が重症化するかどうかは、
必ずしも飲酒量のみで決まっている訳ではないのです。

それでは、他にどのような因子が、
そのリスクに影響をしているのでしょうか?

上記論文の著者らが注目したのは食事の影響です。

食事が肝障害と関連していることは、
多くの研究により確認されています。

個々の病気との関連も調べられており、
特に重症のアルコール関連肝疾患と、
関連の深いものを一覧としたものがこちらです。
アルコール性肝障害のリスクを高める食品.jpg
これによると、
塩分が多いことや加工肉(ソーセージなど)や牛肉を多く摂ることが、
特にアルコール性肝疾患のリスクとなっていることが分かります。

そこで今回の研究では、
遺伝情報を含めた大規模な医療情報を収集している、
UKバイオバンクのデータを活用して、
特別な肝臓病などを持たない、
トータル303269名の医療データを解析し。
食事のパターンと飲酒量が、
中間値で10.7年の観察期間において、
入院や死亡に至るような、
重症のアルコール関連肝疾患に、
進行するリスクを検証しています。

その結果、
アルコール量の多いことや食事パターンは、
それぞれ重症のアルコール関連肝疾患のリスクを高めましたが、
アルコール量が多くて食事パターンが悪い人は、
両者のリスクを足し合わせたよりも、
2.44倍(95%CI:1.06から3.83)
有意にそのリスクが高くなっていました。

つまり、飲酒量が多く塩辛いものや加工肉を沢山食べる人は、
アルコール関連肝疾患が重症化するリスクが、
アルコール単独よりも高くなるので、
より注意が必要である、という結果です。

これでアルコール性肝障害の悪化の、
全てが説明可能という訳ではありませんが、
飲酒はその量ばかりでなく、
一緒に何を食べているのか、
という点も重要であるという指摘は興味深く、
今後の検証の積み重ねに期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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